環境を守るほど経済は発展する: ゴミを出さずにサービスを売る経済学 (朝日選書 706)

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  • 朝日新聞出版
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  • Amazon.co.jp ・本 (254ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784022598066

作品紹介・あらすじ

いままでの経済学は間違っていた。消費すればゴミは必ず出るのに、ゴミを無視してきたのだ。いままでの環境論も間違っていた。ガマンを強いる環境論なんて広がらないのに。「物」を売って儲ける経済から「サービスが詰め込まれた缶詰」を売る経済にシフトするだけで、便利な生活を続けながら、森も川も空気もきれいになる。環境を守るほどに儲かる、新しい経済学とその実現のしかた。

感想・レビュー・書評

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  • 著者は環境庁の職員から研究者に転身した方。前半は環境問題の現状、後半は経済学的な考え方。物を売る経済からサービスを売る経済へ切り替えていくことを主張している点には賛成する。サービスの缶詰論で不要物を低減する人的資源を投入するモデルを紹介しているが、外部コストを内部化する考え方と同じように思える。共益状態を実現するために、阻害要因にいかに対応すればよいかという点に、もう少し事例紹介や議論があれば、理解を深めることができただろうと思う。ただ、この本が発行された時期と比べると、今は廃棄物への課税、拡大生産者責任、エコ商品の優遇制度といった政策がだいぶ浸透した。

    ・生態系の中で生物の個体数が変化する様子は、S字曲線とJ字曲線の2つの形に分かれる(オダム)。どちらをたどるかは、環境収容能力の上限に近づくにつれて、当該生物の増加を抑える仕組みになっているかどうかによって決まる。
    ・環境を守る目的のひとつは、制度や文化を継承すること。社会の基盤が破壊されることによって、過去の経験が失われることを避けること。
    ・生態系の一次生産全体のうち、人類は4割を独占している(ヴィトセク)
    ・1600年以降、哺乳類85種(2.1%)と鳥類113種(1.3%)が絶滅した。
    ・農業の収穫量を2倍にしようとすると、肥料・農薬・労力をそれぞれ10倍にする必要がある(オダム)
    ・化石燃料は、物流を促進することによって地域的な環境の限界を緩和した。

    市場メカニズムで共益状態が阻害される要因:
    ・認識の遅れと情報の欠如
    ・処理の義務がない気体や液体の廃棄物の発生→課税などの政策が必要
    ・消費段階で削減することが困難な廃棄物→拡大生産者責任の適用
    ・将来発生する廃棄物(消費者が長寿命製品を選択しないこと)

  • 大学1年の時に学んだ環境経済学っていう授業だったと思う。
    これもその時には気づけていなかった、大切な部分が書いてある。今だからこそ、もう一回読みたい。
    少しはわかるように成長していると思える。

  • 議論するときりがないが、こんなんで間に合うのか?

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著者プロフィール

倉阪 秀史(クラサカ ヒデフミ)
千葉大学大学院社会科学研究院教授
千葉大学大学院社会科学研究院教授。
1964年、三重県伊賀市生まれ。専門は、環境政策論、持続可能性の経済学、政策・合意形成論。
87年、東京大学経済学部経済学科卒業。同年環境庁(現環境省)入庁。環境基本法、環境影響評価法などの立案に関わる。94~95年まで米国メリーランド大学客員研究員。98年千葉大学法経学部助教授、2007年同准教授、08年同教授を経て、17年より現職。
著書に『政策・合意形成入門』(勁草書房)、『環境政策論 第3版』(信山社)などがある。

「2021年 『持続可能性の経済理論』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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