腕木通信 ナポレオンが見たインターネットの夜明け (朝日選書)

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  • 朝日新聞社
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レビュー : 3
  • Amazon.co.jp ・本 (294ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784022598400

作品紹介・あらすじ

たった3本の腕木の形状で信号を送受信し、情報を正確に伝え続けた「腕木通信」。フランスの要所に設置された通信基地では、望遠鏡を手にした通信手が腕木を操り、バケツリレー式に次々と符号を送信していた。その通信手法はすべて人力による原始的なものでありながら、「多様な文字を空中に書くという巧妙な技術」と絶賛され、ヨーロッパを席巻した。フランス革命のさ中、腕木通信を開発し、通信網の整備に尽力したクロード・シャップ、通信網の開発に積極的に取り組んだナポレオン-腕木をめぐる人々の物語とともに、インターネットの起源ともいえる、驚くべきシステムと技術開発の経緯をたどる。

感想・レビュー・書評

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  • ゾッキ本として入手。
    フランス革命期あたりから電信が発明されるまでの間に活躍した、通信システムに関する本。
    開発史・利用史・その技術的変遷(とその亜流システムについて)等が網羅。
    パリーリヨン間204キロメートルを平均120秒でつなぐとは、ちょっと驚き。
    また民間に開放はされなかったものの、株価がらみの犯罪(ネットワーク犯罪!)にも悪用されたそう。
    この亜流システムの流れが、日本の鉄道の腕木信号機につながるのも面白い。
    日本の江戸期の通信システム・旗振り信号についても記載。明治24年の大津事件で使われた記録があるそうだ。(大津=大坂間を事件の一報が5分後に到着!驚き!)
    長年、気になっていた本に巡り会えて、非常に満足。

  • 二本の腕木を人力で動かし、その配置を目視することで文章を伝達する腕木通信。日本ではあまり知られていませんが、1800年前後のヨーロッパではフランスを中心に普及し、一時期はオランダからイタリアに通じる通信網が構築されていました。ナポレオンの政権奪取やエルバ島脱出の報はこの腕木通信網を通してフランス全土へ瞬く間に広がったといわれています。
    80km/分程度という比較的高速な通信速度、ヘッダやエラー訂正などの通信プロトコルの存在など、腕木通信は現代のインターネットにつながる近代的な信号伝送形通信の草分け的存在であったようです。

    そんな腕木通信についてその開発の経緯や具体的な通信方法(国家機密だったので分からない点も多いのですが)、そして上記のような当時の世相との関わりについて簡潔に解説しているのがこの本。ちょっとマニアックですが通信に関心がある方は一読してみると面白いはずです。

  •  腕木通信とは、たった三本の腕木の組み合わせで迅速な通信を行った、電信の前の通信方法。帆船小説ではお馴染みで、主人公達が攻撃する、パリのナポレオンに送る秘密通信の送信所、あるいは主人公達の活躍をロンドンに伝えるの英国の通信線といったものが良く出てくる。<BR>
     この本ではその腕木通信の歴史と発展をインターネットとの比較しながら解き明かす。<BR>
     この本を読んで驚くのは、腕木通信の正確さと早さ。それを実感すれば、小説の中でなぜあれほどまでに送信所の破壊を決行するのか、といったようなことがよく判る。帆船小説に直接関係はないが、こういった背景事情を知っておくのは、帆船小説を読む楽しみを広げてくれるだろう。もちろん技術史として読んでも大変面白い。

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著者プロフィール

1962年、滋賀県生まれ。立命館大学文学部哲学科卒。ノンフィクション作家、同志社大学非常勤講師。著書に『超図解 勇気の心理学 アルフレッド・アドラーが1時間でわかる本』ほか多数。

「2017年 『超図解「21世紀の哲学」がわかる本』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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