【新版】 雑兵たちの戦場 中世の傭兵と奴隷狩り (朝日選書(777))

著者 : 藤木久志
  • 朝日新聞社 (2005年6月10日発売)
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  • Amazon.co.jp ・本 (296ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784022598776

【新版】 雑兵たちの戦場 中世の傭兵と奴隷狩り (朝日選書(777))の感想・レビュー・書評

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  • ゲーム等で知っていた戦国感がぶち壊される一冊。略奪とその対策や報復。奴隷狩りなど人の暗黒面が戦国時代というサバイバルの中でどう使われたのかを知る事ができる一冊。

  • 中世の奴隷狩りは想像以上に大規模に行われていた。
    そしてその奴隷の行先も日本国内に留まらず、
    海外に輸出されていたというのだから驚きだ。

    稼ぎのために奴隷を狩る雑兵の姿は、
    海外の暴動で店舗に押し寄せる暴徒を
    連想させられた。

    あれは海の向こうの特別な状況だと思っていたが、
    なんのことはない状況さえ整えば、
    人はこんなに粗暴になれるのかと思い知らされる。

    ともかく、華やかな戦国大名の影にあって、
    下級市民の生活にスポットライトが
    当てられているという点で貴重。

    出典もしっかり記載されていて
    詳細な研究の結果に書かれた本だというのが感じられる。

  • 2005(底本1995)年刊。

     大名の群雄伝で彩られる戦国時代にも庶民はいた。合戦中も彼らの生活はあり、戦乱を避け、あるいは強かに利用した。
     この庶民の目線で戦国時代を切り取ったのが本書である。

    ① 合戦中あるいは後で濫妨狼藉を働き、人・物を略奪した実態、
    ② 生きるために略奪は不可欠の糧、
    ③ 城が、恒常的に村の住民の避難場所で、整備・修復が住民の責任だった点、
    ④ 文禄・慶長の役は、武士層が恒常的に行っていた略奪・収奪を朝鮮半島に移植する結果となった
    等、別角度の視点からの戦国時代像を、多様な文献の具体的叙述から明らかにしていく。良書。

  • 戦国時代の奴隷売買や人々の町への流入・村からの流出など今の常識を上回る社会情勢にびっくりです。

  • 兵農未分離が「兵士だけでは食べていけない」からではなく「農業だけでは食べていけない」から、織田信長以前から人々の意識の上では兵士と農民が別れていたなど、一般人の視線で戦国時代を知ることのできる一冊。

  • 庶民の暮らしは実際どうだったのか。鎌倉時代の武家屋敷には生首がゴロゴロしていたと歴史番組で見たが、この頃もあまり変わってないんだろう。むしろ少しは金になるよう売買しだしたのか。秋冬に農作業がなくて食うものもないから、皆引き連れて隣近所に盗賊に行くような状況か。武士は自分の領土を広げるため。下々の者は食うため。大手を振って盗めるんだから当然やるんだろう。実は皆そういう状況にほとほと嫌になってたんじゃないか。秀吉は盗む先がなくなって半島へ渡った。家康は徹底して領地替えとかしていったんだろう。そうやって、世界中、傭兵としてどこへいっても怖がられるような野蛮な日本じゃだんだんなくなっていったんだろうな。

  •  大学の頃、日本古代・中世政治文化論という授業があって、90分×15コマがまるまる略奪放火強姦人身売買その他もろもろ乱暴狼藉しか扱わないという授業で、それはもうおもしろかったのをよく覚えている。その時に参考図書の筆頭としてあげられていたのがこれ。
     足軽やさらにその下の下級戦闘員、あるいは地域の百姓、商人たちにとって、戦争・戦場とはどのようなものだったのか、これを広範な資料をもとに明らかにする。そこには、武将たちが自らの領土を守り広げるための戦いとは全く異なる「生きるための戦争」があったと著者は指摘する。中世までのほぼすべての時代において、人々の生活は常に貧困と飢餓と隣り合わせだった。ただ田畑を耕し商いを行うだけでは生きてはいかれない。そのとき彼らの生活を支える貴重な収入源こそが戦争だったという。
     戦場における彼らの収入源とは何か、それこそが濫妨狼藉である。放火・苅田・乱取りといった行為が雑兵たちあるいは地域住民たちによって日常的に行われ、敵地の村々は蹂躙される。村々は自らを守るために武装し、有力な勢力を買収し、落ち武者に対しては逆に徹底的な略奪を行う。こうした行為をまた商人たちが仲介し、様々な商品が流通する。各軍にとっても彼らの濫妨狼藉は決してマイナスではなく、時に奨励し時に禁止し、常に軍事行為の中への取り込みを図る。
     中でも有力な経済行為なのが、人取り、すなわち人攫いとその後の人身売買だった。戦争捕虜とは別に、戦域における村々を襲い、女子供に至るまで生け捕りにして取引を行う。大きな戦のあとは、数千にのぼる生け捕りされた商品が発生し、数ヶ月に渡って人身売買のための市が立ち、多くの商人が人々を買い付ける。商人たちは買い付けた人々を各地に転売する。売られた彼らは荘園の労働力となり、武士階級の下人になり、売春宿の売り子となる。ときにはポルトガル船に乗せられアジア各地へと送られた。平戸や長崎は世界的にも有数の奴隷貿易港だったという。れっきとした奴隷売買、奴隷貿易が産業として成立していたといえる。
     村人が攫われた妻子を買い戻すということもしばしばあったという。相場としては20〜30貫文程度であったが、飢饉などが重なればそれこそ二束三文で投げ売られる。それは村にとっては口減らしの機会にもなり得た。
     戦争という国家間・豪族間の政治的衝突の背景には、庶民たちが自らの利益を獲得しようとする能動的な活動が同時に存在していた。そして、そうした各勢力の間のせめぎ合いの中でしかし、こうした日本の戦場におけるこうした活動(とくに奴隷狩りや人身売買)が現代の歴史作品のなかで描写されることはほとんどない(知っている中では未完に終わった石川雅之の「カタリベ」がもっとも肉薄していると思う)。勇猛果敢な武将が戦場を駆け巡る戦争観も、庶民は常に戦争の犠牲であったという戦争観も、いずれも戦争の一面のみしか見ていはない。ましてや狩猟民で略奪を是とする欧米人と農耕民で穏やかなアジア人というような俗流の民族観・人種観は、こうした史実の前では根拠のない妄想に等しい。洋の東西身分の上下に関わらず、戦場には人々の積極的かつ能動的なダイナミズムがあったことを、本書は教えてくれる。

  • -いままで私たちは、戦国武士はいつ兵だけで(農を兼ねずに)食えるようになったのか、と武士の側から「専業戦史の成立」ばかり問題にしてきた。ところが、ここにあるのは(平城照介著・『ドイツ中世史』)、空清農民はいつ農だけで(兵を兼ねずに)食えるようになったのか、とひたすら「専業農民の成熟」を問題とする農民側からの目であり、兵農分離の見方がまったく逆だからである-本書より引用

    中世のころから下層の人々(といったら語弊がありましょうが)にどのような仕事・糧を与えるかというのは政治の大事な役割だったのだなと思わせられる本。更にこの当時(徳川幕府以前)の戦争は「食うための戦争」であったという視点から切り込んでいるため生々しい中世の生活、戦争を糧にしていた人々の営みが垣間見ることが出来ました。
    一次資料にもしっかり当たってあり、疑問点は断定せずに記してある誠実な良書だと思います。

  • 以前ざざーっとパラパラ読みしただけなので今度はしっかり読む

  • (欲しい!)

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