里と森の危機(クライシス) 暮らし多様化への提言 (朝日選書786)

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  • 朝日新聞社
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  • Amazon.co.jp ・本 (206ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784022598868

作品紹介・あらすじ

今から約1万年前、定住生活を始めた人は燃料や建材を得るため、森の木を伐った。火や水の力を利用して山を切り拓き、食料となる植物の種子を播いた。植物の花々は虫を招き、それを追って動物たちがやってきた。こうして人の手によってつくられた「里」は、多様性に満ちた生態系を作りだした。また、里は人の感性も育んだ。花は人々の色の学校となり、その香りは季節を教え、果実は味覚を豊かに広げた。ところが今、私たちの心を育んだ里は崩壊への道を辿っている。休耕田は広がり、過疎化が進み集落は消え、森は荒れ、田畑は原始の森へ呑み込まれていく。いったい何が起きているのか-植物遺伝学の第一人者が「里」に迫る危機の意味を読み解き、再生への道を提言する。

感想・レビュー・書評

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  • 資料ID:80501874
    請求記号:612.1||S
    配置場所:工枚特集①
    (※配置場所は、レビュー投稿時のものです。)

    ☆特集展示「SDGs特集」☆
    SDGsを特別なものとしてではなく「自分ごと」として捉え、それぞれの活動、生活の中に浸透できるようSDGsを理解し社会課題に関心を持つことを目的としています。

  •  <b>里が人につくられたばかりか、反対に人が里によってつくられてきたことを書いた。ここでの結論は、「里は人の感性の学校である」という点である。そして最後に、どうすれば里の再生ができるかについて、私なりの「提言」をまとめてみた。「提言」というのは少々大げさだが、そのこころは、里や森だけでなく、日々の暮らしの中に生物多様性を保つことが重要だという点にある。</b>

     
     一見のどかで、落ち着いた環境のようでも、里は決して安定した生態系ではなく、常に移ろいを繰り返す、不安定な生態系である。人による攪乱の種類や強さがちょっと変われば、いつ壊れるともしれない。人間の生活の単一化により、里に迫る危機の実体を、植物遺伝学の第一人者が読み解き、再生への道を説く。鳥インフルエンザやBSE、猿、鹿など野生動物の跋扈、若者のダイエットなど、様々な問題が取り上げられる中で、花が色彩感覚を、虫の声や鳥のさえずりが聴覚を、様々な香りや、実りある豊かな味覚が季節感を…と、里に養われてきた五感こそが、今、人々から失われつつある事実が浮き彫りにされていく。(S)

  • 分類=森林。05年10月。

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著者プロフィール

1952年生まれ
京都大学大学院農学研究科修士課程修了
総合地球環境学研究所副所長・教授 農学博士
序章執筆
主 著 塩の文明誌(共著,NHKブックス,2009),イネの歴史(学術選書,2008),よみがえる緑のシルクロード(岩波ジュニア新書,2006),稲の日本史(角川選書,2002)など


「2010年 『麦の自然史 人と自然が育んだムギ農耕』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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