選書808 土一揆と城の戦国を行く (朝日選書 808)

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  • 朝日新聞出版
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  • Amazon.co.jp ・本 (304ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784022599087

作品紹介・あらすじ

いま世界各地に広がり続ける深刻な内戦の戦場と難民たちの運命に想いをはせるとき、日本の戦国時代もまた、「内戦の時代」であったという厳しい史実を忘れてはなるまい。各地に残る史料と実地調査によってダイナミックに描いた、飢餓と戦争に苦悶する戦国の町と村の実像と、そんな世をしたたかに生きる人々の姿-。さらに内戦の時代に領主から村や町までが地元の山の上に築いた無数の山城はどうなったのか。「山城停止伝承」を発掘することによって、「戦争から平和へ」という大きな歴史の転換の過程を明らかにする。『雑兵たちの戦場』で思いがけない戦国像を展開した著者の『戦国の村を行く』『飢餓と戦争の戦国を行く』に続く「戦国を行く」シリーズ第3弾。

感想・レビュー・書評

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  • 戦国時代というと戦国大名や国衆にのみ目が行きがちであるが、著者は「戦国時代における一般民衆」の生き様を一貫して追い続けている研究者である。本書でも戦国時代の一般人の想像を絶する生活を、古文書の記述を通じて描き出している。戦争に巻き込まれた民衆は、家屋を焼かれ、家財や作物を奪われ、自身は戦争奴隷として生け捕りに合うという弱者の側面と、村単位で武装して城を持ち、落ち武者の身ぐるみを剥ぐしたたかな強者の側面が両方描かれていて興味深い。豊臣秀吉が戦争奴隷の無効化(戦争で生け捕った民衆を無条件で住んでいた村に返すこと)を宣言していたことも初めて知った。天下人になってからの秀吉はあまり評判が良くないけど、秀吉の出自である一般民衆寄りの政策が意外と存在していることは、もっと広く知られて良いかもしれない。

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著者プロフィール

藤木 久志(ふじき ひさし)
1933年 新潟県に生まれる。新潟大学人文学部卒業。東北大学大学院文学研究科修了。群馬工業高等専門学校専任講師,聖心女子大学助教授,立教大学教授,帝京大学教授を歴任。現在,立教大学名誉教授。文学博士。日本中世史専攻。[主な著書]『豊臣平和令と戦国社会』(東京大学出版会,1985年)、『戦国の作法』(平凡社,1987年。1998年に平凡社ライブラリー,2008年に講談社学術文庫より増補版刊行)、『雑兵たちの戦場』(朝日新聞社,1995年。2005年に朝日選書より新版刊行)など多数

「2019年 『戦国民衆像の虚実』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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