解明・ 昭和史 東京裁判までの道 (朝日選書 866)

制作 : 筒井 清忠 
  • 朝日新聞出版
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  • Amazon.co.jp ・本 (320ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784022599667

作品紹介・あらすじ

最近の昭和史研究の進展にはめざましいものがある。すでに破棄されたり失われたと考えられていた原史料が現れたり、海外の史料を踏まえた多角的な視点の研究が行われたりして、次々と過去の歴史像は塗り替えられている。ところがこの成果が一般に知られることは少ない。そこでたとえば、"張作霖爆殺はコミンテルンの陰謀だった""東京裁判の被告席の数でA級戦犯の数が決まった"などの俗説が、典拠不明のままあたかも真実のように流布することになる。政党政治の始まりから日本が東京裁判を経験するまでの昭和史の14のポイントを、一番詳しい研究者たちが信頼できる史料をもとに徹底的に検証。最新の研究成果で読み解いた昭和史の決定版「大人のための教科書」。

感想・レビュー・書評

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  •  14人の研究者が各章を執筆。各テーマ自体は教科書にも出てくるようなよく知られた事項だが、陰謀論や「十五年戦争」史観のような単純化を意識的に排し、複雑さを丁寧に解説する。
     いくつか興味を持った指摘。張作霖爆殺の決着は、軍人が政治化し突出行動を生む下地を作った。ロンドン軍縮条約では、政府の調印決定後に艦隊派は一度は収まったのに、政党政治(政友会の政府批判)の中で再燃。美濃部憲法学は学会では主流となるも、「密教」エリート層と「顕教」民衆の棲み分けがあり、この棲み分けが崩れたのが天皇機関説事件。2.26事件では、指導部の「改造主義」者と、国体を素朴に信じる「天皇主義」者の併存。事件後に皇道派は陸軍での影響力は失ったが、政界上層部での影響力は残り、また「改造主義」的な社会平準化の発想は革新官僚や戦後改革、新憲法まで繋がる。日中戦争と世界戦争の関係は1940年前半までは流動的。日独伊三国同盟は、通説のようなソ連引き込みや対米交渉のためではなく、南進政策のため。東郷外相が日米交渉を断念したのは、ハル・ノートが最後通牒だったからではなく、事前に傍受した「暫定協定案」が削除されていた=米が対日戦を決定した、と考えたため。

  •  最新の昭和史について、最先端で研究を行う研究家が 事件の概要・最近判明したこと・今後の研究の課題までをまとめた いまの昭和史を知ることができる良本。

     昭和史を研究したい人もざっと知りたい人も(利便性の上でも、必要性の上でも)まず読むべき本と思われる。

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