こうすれば日本も学力世界一 フィンランドから本物の教育を考える (朝日選書)

著者 :
  • 朝日新聞出版
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  • Amazon.co.jp ・本 (280ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784022599742

作品紹介・あらすじ

日本の「学力不足」が問われて10年。授業時間を増やし、全国学力テストを実施し、基礎学力の習得に取り組み、新しいカリキュラムを作成した。2009年の国際学力調査PISAでは、学力低下に歯止めがかかったといわれるが、その実感は薄い。拡がる格差社会がもたらす歪みが学校教育に大きな影を落とし、教育の危機的状況は止まらない。新学習指導要領で解決がつくのだろうか。そもそも「学力」とは何だろう?PISAの上位を占め続けるフィンランドと日本やアジアの国々とのちがいは何か。カリキュラム、教科書、通知表、授業内容、進学状況、教師の待遇、教育行政の実際など具体例を豊富なデータとともに検証。日本の「学び」の弱点を分析し、世界で求められている「学力」とは何かを問い直し、日本がめざすべき「未来の学力」を提言する。

感想・レビュー・書評

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  • p50
    収入がストレートに教育条件になるわけではないが、収入に大きく依存した教育条件の存在が浮かび上がってくる→「文化資本」(ブルデュー)
    3つの形態
    ①「客体化された文化資本」絵画、蔵書等の文化財、楽器で能力発達を促し発現させるもの
    ②「制度化された文化資本」学歴、資格、免許状など。学歴が高ければ①を使いこなせる力があるだろう、資格・免許状などがあれば、専門的な知識を使用する力があるだろう
    ③「身体化された文化資本」言語の使い方、ふるまい方、好みや美的センスなど、慣習的行動として表れるもの

    p89
    「生活日課帳」
    ①年と月
    ②週の目標
    ③1週間の出来事、自分がすること
    ④週の学習計画
    ⑤今週とてもうまくいくようにすること(重点目標)
    ⑥今週好きになった本
    ⑦今週は今年の何週目
    ⑧計画の実施日誌(実際にどのように計画を立てて実行したか)
    ⑨英語課題(あなたの好きなスポーツを描いて色を塗りましょう)
    ⑩親と先生の所見
    ⑪理系の課題(試合は1時間15分経過ししました。時計の針を書き入れましょう)
    ⑫文系の課題(次の言葉を使って文章を作りましょう。「私の」「外へ」「ともに」「行く」「犬」)
    月曜日になると①~⑤を授業中に書き、その週の学びと行動の見通しを立てる。金曜日になると⑥以降を授業中に書いて、一週間で自分が学んだことを確認させる。

    日本の教育は間違えた方向に進んできてしまった。本書が書かれた時から時間が経ったので、教育改革は当然行われているだろうが、教育が消費される物であってはならないというのは変わっていないだろう。フィンランドの教育の良い面を部分的に取り入れても効果的に変わるかはわからない。先の見えない世の中を生き抜く力とは何か。それが、一言で言えるような簡単なものではないということはよく理解しておきたい。多分正解もないだろう。だからこそ、正解を導ければ◯がもらえる教育や評価方法ではダメなのだ。自分が受けてきた教育と違う価値観なのでなかなか受け入れられず、頭で分かっても実際にとなると、学校とはこういうものだと古い価値観で考えてしまうが、そこに反省。とにかく、教育は変わらなくてはならない。そのことをよくよく考え続ける必要がありそうだ。

  • 世界一と呼ばれるフィンランドの教育。日本の教育とは違い、個々の能力や興味関心に合わせて行われている。楽しく学べそうな環境だと思う。

  • フィンランド教育の紹介本は多くなったが、単なる紹介にとどまらず、知識とは、学びとは、学力とはを問いながらフィンランドと諸外国の教育を比べている。サブタイトルどおり、まさしく「本物の教育を考える」という内容。

  • 文化資本、社会資本や、その他教育学の理論的な話が、フィンランドという文脈以外でも説明されていて勉強になった。
    日本の教育の現状についても説明があって、比較しながら読み進められた。
    本のタイトルは違うものの方がよかった気がする・・・。

  • 日本にいる私たちがなかなか感じ取ることができない現地の人々の教育に対する考え方を、著書の中のインタビューから知ることができる点は大きい。

    また教育に関する調査結果を多用していて、著者がどのように解釈し論じているか、思考の過程が分かるのも面白い。

    ◎フィンランドと日本の異なる点
    学校が果たすべき役割
    教師が子供に果たす役割
    学力の定義
    子供の学習に対する態度

    フィンランドと日本の教育の物理的な違いを挙げるだけではなく、国家の教育風潮の違いを追求している点が深い。

    読む前、「学力世界一」というタイトルに圧迫感を感じたが、筆者の推す「学力」を知り納得。

  • •日本とフィンランドで学力の定義がちがう。
     学力とは「考える力」である。
    •情報を取り入れて、理解して、処理して、作り出す。この一連の流れを導く力を養う必要がある。
    •環境により「学力」に差がでる。豊な文化資本が求められる。
    •処理して、作り出す ことができるような教育を実施することが大事
    •家庭では何ができるだろう?答えをすぐに与えないでヒントを与え、導く。自然、芸術、スポーツ、なんでも触れる、経験すること
    •自分が受けて来た教育や評価軸を否定するのは抵抗感がある部分もあるが、現状否定する/できるマインドをもつことが大事。
    •個人の違いを認める。無理強いせずに子どもの知識欲を刺激して学習へ導く。

  • 日本の教育は、「100点をめざす教育」フィンランドは「ここの自立をめざす教育」そのために、フィンランドでは、一人一人の課題に応じた適切な指導が行われている。また、テストではなく、教師が日頃の個々の成長を適切に評価している。フィンランドと同じことを目指していると思っていたがやはりずれているのかと思われた。

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著者プロフィール

1950年、岐阜県生まれ。東京大学大学院教育学研究科博士課程修了。都留文科大学副学長。主な著書に『格差をなくせば子どもの学力は伸びる』『フィンランドは教師の育て方がすごい』(小社刊)、『競争をやめたら学力世界一』『競争しても学力行き止まり―イギリス教育の失敗とフィンランドの成功』『こうすれば日本も学力世界一』(朝日選書)、他多数。

「2015年 『国際バカロレアとこれからの大学入試改革』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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