新版 原子力の社会史 その日本的展開 (朝日選書)

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  • 朝日新聞出版
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  • Amazon.co.jp ・本 (424ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784022599834

作品紹介・あらすじ

福島第一原発の破滅的な事故にいたるまでの70年間、日本の原子力開発はどのように進められてきたのか。大戦中の実らなかった原爆研究の後、戦後は核平和利用の旗のもとで世界にもまれな「安定成長」をとげてきた日本の原子力発電だが、核燃料サイクルも使用済燃料処理も計画通りに進まず既設原子炉の老朽化が進む-それらを担ってきた政・官・産・学・自治体のせめぎあい、さらに背景にある核をめぐる国際政治などをあざやかに切り分けた本格的通史。福島事故後、再刊希望が殺到した旧版を改訂した待望の新版。

感想・レビュー・書評

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  • 心からご冥福をお祈り申し上げます。
    吉岡斉さん死去:脱原発に力強い意志 - 毎日新聞
    https://mainichi.jp/articles/20180115/k00/00m/040/124000c

    朝日新聞出版のPR
    戦争期から始まり、破滅的な福島第一原発事故にいたる半世紀以上、日本の原子力開発はどのように進められてきたのか。核をめぐる国際政治の下、政・官・産業界・学界・自治体を巻き込んだ原子力の政策の展開をあざやかに切り分けた通史。原発事故直後から再刊希望が沸騰した旧版を改定した待望の新版。著者は政府の「原発事故調査・検証委員会」(畑村洋太郎委員長)の委員を務める。
    https://publications.asahi.com/ecs/detail/?item_id=13090

  • 地域史

  • 国の原子力政策について、原爆の時から遡って解説している。

  • 5/25 県立図書館にて借用。 早めに購入予定。

  • 日本がアメリカと原子力協定を結びアメリカから原子力発電所をユニットとして導入した当初から概ね僕が生まれる頃までのお話までを読みかけ。ページ数にしてだいたい1/4程度しか読めていないけれど、色々と理解できないところもたくさんあるし、これは僕にとってはかなり難読な読み物であろうと思われる。

    少し集中して読まなきゃ、と思いながらなかなか読み進めていない、集中力、気力…読書力を要求される読み物です。

  •  福島第一原子力発電所の炉心溶融事故以来、原発に関する本は随分たくさん出ています。たくさんありすぎてどれを読めばいいのか分からない方も多いでしょう。かく言う私もごく一部に目を通したに過ぎないのですが、とりあえず基本的な問題を整理するという上で絶好なのがこの著作。戦中に日本でも原発製造計画があったことも最近では大分知られるようになりましたが、そこから福島第一の事故に至るまでの日本の核エネルギー政策の概略が一冊で分かります。

     この本のいいところは、核エネルギー開発に積極的な立場(つまり、政府や電力会社)を批判的に描きながらも、感情的なところがなく、全体を冷静に見つめ直す視点に立っていることです。原発をめぐるネット上の議論は感情的になりがちですが、それに流されないためにも本書のような著作で基本的な流れを整理するのはいいでしょう。

     また、著者が科学技術史の専門家ということもあり、原発がどのような仕組みで出来ているのかということもところどころで簡単に説明してあります。「読み飛ばしてもいいですよ」と書いてありますが、私が見た限りでは最も簡明に原発の仕組みを解説してくれています。

     政策面が中心なので反対運動に関する記述はわずかですが、それは別の書籍に当たるのがいいでしょう。また近いうちにそちらの本も紹介します。また、原発の技術的な問題に興味がある方は同じ朝日新書の桜井淳『新版 原発のどこが危険か』をどうぞ。私には専門的すぎて細かいところは分かりませんが、とにかく原発の重大事故が起きるには様々なパターンがあることだけはよく分かります。(もなど)

  • 99年刊行の同著に11年までの経過を増補した改訂新版。核分裂発見から先の原発事故に至る日本の原子力利用史を俯瞰する。戦後は原子力開発凍結から始まる。突如成立する54年の原子力予算。旗振りの中曽根と尻馬に乗る財閥。

    政治家と官僚、財界と学者の思惑と利益が癒着しながら「国策」として推進されてきた原子力事業の歩みがよく分かる。90年代後半以降、続発する事故と対応の延長線上に今回の事故は必然の「想定内」となる。通史が少ない故、本書は貴重な日本の原子力開発の社会史。

  • 松岡正剛氏の本を読んで、まじめに原子力の歴史を勉強始めた。

     この本には、日本が原子力発電を取り入れた歴史が詳細にかつ批判的に記述されている。

     自分は、国民や国内産業に安定的に安い価格で電力を供給することは国益に合致すると考える。

     しかし、なぜ、政治家、役人、電力会社は、その国益で説明できないような原子力発電に猛進していったのか。

     第一に、原子力発電の立地について、その手続きが地域住民、地方公共団体の関与が一切ないこと。

     第二に、そのような国策的な行政によって、国および電力会社の情報隠しと、積極的な広報活動が行われたこと。

     第三に、電力会社が地域独占であるため、国策のための非効率的、採算のとれない事業についても、価格を電力料金に転嫁することによって、対処できたこと。

     第四に、電力会社の地域独占による利益を背景にした強力な資金力をバックにして、政治家、官僚、マスコミなどを取り込むことが可能であったこと。これは、電力会社組合も同じことがいえる。

     今後、もっと、原子力発電の勉強はするが、本来の国益、国民の利益は何か、そのために今、行政が行っていることが、反していないか、省益、局益に偏っていないかの検証が、自分の担当する行政分野も含めて、必要だと強く感じる。

  •  日本の原発の通史。福島原発事故後に復刊されたもので,事故の概要とその影響について一章が加えられている。情報量が多く,一読して消化するのは厳しいが。
     著者は東大理物出身。三十年来科学技術批判に取組んできただけあって業界に批判的。

     長い通史なので,六つに時代区分。
     1.戦時研究から禁止・休眠の時代(-53),
     2.制度化と試行錯誤の時代(-65),
     3.テイクオフと諸問題噴出の時代(-79),
     4.安定成長と民営化の時代(-94),
     5.事故・事件の続発と開発利用低迷の時代(-2010),
     6.原子力開発利用斜陽化の時代(2011-)。

     通産省と電力業界の連合が商業化以降を担当,科学技術庁が廃棄物処理や高速増殖炉などの研究段階を担当する体制でずっとやってきて,もんじゅや核融合など,実用化時期の「ハッブル的後退」もあって,科学技術庁グループが力を失って,科学技術庁解体の原因となったそうだ。なかなか思うようにはいかないな。実現すればすごく良い技術なのに。引っ込みをつけるのは難しい。

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