選書885 日本人の死生観を読む (朝日選書)

著者 :
  • 朝日新聞出版
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  • Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784022599858

作品紹介・あらすじ

幅広く活躍する宗教学者が、柳田国男・折口信夫、吉田満、宮沢賢治などの作品をもとに、日本人の死の受容の変遷を読み解く。

感想・レビュー・書評

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  • 『本書の「日本人の死生観を読む」の意味はもっとすなおなもので、「死生観」を表現した日本人の書物やテクストを読むというものだ。』(p236) 死生観の入門書だと思う。死生観の概要ないしは日本人の思想、仏教、哲学、文学など、様々な観点から、死生学を紹介している。あーしかしこういう本難しーわw

  • 宮沢賢治が描く死の場面
    向こう側の世界を垣間見る
    大局的な死生観の併存
    死生観を物語で表す
    1章 「おくりびと」と二一世紀初頭の死生観
    死に向き合うことの勧め
    死を超える力はいずこから
    欧米からの移入と日本の死生学
    第2章 死生観という語と死生観言説の始まり
    死生観という語が優勢になった敬意
    武士道的死生観
    死生観はなぜ必要か
    死生観論述の時代背景
    第3章 死生観を通しての自己確立
    教養成年の死生観
    志賀直哉の自己確立
    死生観を描く教養小説
    死生観文学の系譜
    第4章 「常民」の死生観を求めて
    死生観を問う民俗学
    固有信仰論に世代間連帯の思想を見る
    近代人の孤独から死の意識を透視する
    第5章 無惨な死を超えて
    戦中派の死生観の内実
    内なる虚無との対面
    協働行為としての戦争の意味・無意味
    死生観と倫理
    他者に即して戦争の死を捉え返す
    第6章 がんに直面して生きる
    死生観の類型型
    死に向かう旅路

  • 死生観を集めてくる対象範囲にやや偏りがあるように思いました。もう少しこの分野を広く捉えて読んでいきたい。

  • Amazon、¥1105.

  • ●日本についてもっと知りたいという思いから、本書を手に取った。日本独自の死生観に触れることはできるかと期待したが、何ともよくわからなかった。
    ●映画『おくりびと』に象徴されるシーンとして、納棺夫となった主人公の妻が、彼に向かって「穢らわしい。近づかないで」と言い放つシーンがある。しかし、なぜ「死=穢れ」となるのだろう? もちろん、「死」が恐怖や遠ざけたいもの、否定したいものといった感情を喚起するものだということは何となくわかるが、なぜ「穢れ」と結びつくのだろう? そもそも「穢れ」とは何か? さらなる知的好奇心が湧いた。

  • 神道や仏教を始めとした日本人の中にある様々な宗教観に基づく死生観や、キリスト教や西洋哲学に軸足を置いたそれなど、様々な切り口で日本的死生観が語られ興味深い。けれど「近代日本絞った」とは言うものの、僕にはそれでも散漫な感じがした。
    多くを語っているが断片の集まりという感が否めず、著者が何を一番伝えたかったのかが掴みきれなかった。
    そんな一冊だったけれど、読んでみて心に浮かんだことは「日本人にとって死生観とは生き様に於いて使う言葉ではなく、死に様に於いて語られるべき言葉である」ということだ。
    「いかに生きるか」が西洋哲学に源流を持つ死生観だとしたら、「いかに死ぬか」が日本人の死生観なのではないだろうか。

  • 創造力なき日本 からのリファレンス。タイトルのとおり、日本人が死というものをどのように定義しようとしてきたかが学べる一冊。

    武士道のように、明治期において定義されたイデオロギーとしての死、志賀直哉の世界観を通じて見る哲学としての死、そして日本に古来より土着する、ご先祖さまの世界へと繋がる死。

    死は門のようなものだとは、映画おくりびとの中のセリフだそうですが、その向こうが見えない、あるいは、それを通じてこそ本当の生が映し出されるという意味で、死は神殿に祀られる鏡のようなものではないかと考えさせられました。

  •  宗教学者の島薗進が様々な文学作品などを通して日本人の死生観を語る。

     「おくりびと」から明治文学や柳田国男までその話題の多さに圧倒され、日本人の死生観を単純にくくれないことが実感できる。この本から多くの日本人の死についての読みたい本が見つかった。
     特に印象に残ったのはいわゆる天国の思想が定着する前に、日本でも死んだら魂は山に行くという死後の世界が身近にあるという思想があったことだ。これはインディアンやアボリジニの考え方に近い。

     日本人の死生観を探るとっかかかりになる一冊。

  • 膨大な文献の引用を的確にまとめ、淡々と論が展開されいて濃密である為、非常に読みごたえがあります。

  • 感想未記入

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著者プロフィール

島薗進(しまぞの・すすむ) NPO東京自由大学学長、大正大学客員教授、上智大学グリーフケア研究所客員所員。著書に『現代救済宗教論』『現代宗教の可能性』『スピリチュアリティの興隆』『日本仏教の社会倫理』『明治大帝の誕生』『新宗教を問う』ほか多数。

「2023年 『みんなの宗教2世問題』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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