ネアンデルタール人 奇跡の再発見 (朝日選書)

著者 :
  • 朝日新聞出版
3.20
  • (1)
  • (3)
  • (10)
  • (0)
  • (1)
本棚登録 : 82
感想 : 10
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (218ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784022599919

作品紹介・あらすじ

ネアンデルタール人骨の発見地として有名なネアンデル渓谷は、かつて風光明媚な土地だった。模式標本となった人骨は1856年に渓谷内の「小フェルトホーファー洞窟」で発見されたという記録が残っている。その後、じつはネアンデル渓谷は19世紀の産業革命期の徹底的な石灰岩採掘で削平され、洞窟自体がなくなってしまった。考古学や人類学にとって非常に重要な出土地点がわからなくなってしまったのだ。以来、出土地点の「再発見」は幾度となく試みられたが、誰にも果たせなかった…。だがついに、発見から143年を経て、奇跡的に地点が特定された。なぜ、どうやって?何が「再発見」を可能にしたのか?「再発見」をめぐる研究者たちの熱き物語。

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 1997年に発見された骨片が1856年発見のネアンデルタール人の模式標本の左大腿骨にぴったりあった。1999年1月。
    当時の洞窟は石灰岩の掘削により所在不明となっていた。

  • ネアンデル渓谷(タール)で発見されたのでネアンデルタール人と呼ばれている旧人類の骨を再発掘した顛末を述べている。ネアンデルタール人のいたと思われる洞窟は石灰岩採掘のために全て掘りつくされて跡形が残っていなかったのだ。そんな環境でどのように再発掘したかは探偵物のようである。

  • 恥ずかしながらネアンデルタールという場所、ドイツだったことでさえ知らなかった。壊されて埋められてしまった洞窟残骸を掘り出して、150年前に発見されたネアンデルタール人の人骨と整合する骨の破片を発見する奇跡的な大発見のお話。ほんと知らなかったなぁ。

  • 1856年、ネアンデルの渓谷で人骨が発見された。だが、おりしも産業革命のさなか、谷は削られ出土地点は失われてしまう。
    それから143年、ついに奇跡が起こる。
    ネアンデルタール人と我々との繋がりはあるのか。なぜ消えてしまったのか?

  • ネアンデルタール人の骨が、ドイツのネアンデル渓谷で発見されたことは有名な話。ただ、石灰岩の採掘で発見場所や地層が分からなくなったことは知らなかった。それらを明確にするため、採掘で破壊されつくした場所を根気良く発掘する様や、それに向けた準備はすごいと思う。1856年に見つかった最初の骨と、1999年に発掘した骨の断片がくっついたとき、初めて場所が特定された瞬間。臨場感をもって読めて面白かった。

  • ネアンデルタール人が、ネアンデル峡谷(タール)で発見されたということぐらいしか知識がなかので、発見地が石灰岩の採掘場で跡かたもなく破壊されていたこと等は本書で初めて知りました。以前、たまたま石灰岩の採掘抗を見学する機会があったため、現地の地形などの説明がよく理解できました。19世紀に発掘されたネアンデルタール人の骨に接合する部分が、発見地が破壊され場所の特定ができなくなったにもかかわらず、20世紀末に再発見される経緯には、まさに題名のとおりの奇跡を感じました。関連する情報や知識も多く、図版も豊富に掲載されており、楽しく読めました。

  • 発掘当時の洞窟の場所探しから、DNA 鑑定・放射線核種分析まで色々な分析手法が紹介されている。読み進めるうちに興奮した。

  • 考古学者がネアンデルタール人が発見場所(ネアンデル渓谷)が特定されたその再発見の過程をネアンデルタール人の基礎知識とともに再現する。
    そもそもドイツで石灰岩の採掘の際に発見されたということは知らなかった。
    こういう現役の学者による現場のプロセスの紹介は職業に対する愛があって読んでいて楽しい。

  • ピンとこなかった

  • (欲しい!/新書)

全10件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

1946年新潟県高田市(現・上越市)生まれ。
明治大学文学部卒業。岡山大学法文学専攻科修了。博士(文学)北海道大学。
奈良国立文化財研究所、岡山大学助手、新潟大学助教授を経て東京都立大教授を2009年定年退職。日本第四紀学会会長、日本旧石器学会会長、アジア旧石器協会(APA)会長、国際記念物遺跡会議(ICOMOS)考古遺産管理国際学術委員会副会長、明治大学黒耀石研究センター長などを務める。現在、東京都立大学名誉教授、明治大学黒耀石研究センター客員研究員。
主な著書『打製骨器論─旧石器時代の探求─』東京大学出版会(2001)、『旧石器時代の日本列島と世界』同成社(2007)、『ネアンデルタール人奇跡の再発見』朝日選書(2012)など。訳書B.ボジンスキー『ゲナスドルフ─旧石器時代狩猟民の世界─』六興出版(1991)。

「2020年 『ビジュアル版 考古学ガイドブック』 で使われていた紹介文から引用しています。」

小野昭の作品

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

有効な左矢印 無効な左矢印
冲方 丁
三浦 しをん
シーナ・アイエン...
中沢 新一
クリス・アンダー...
ウォルター・アイ...
ジャレド・ダイア...
有効な右矢印 無効な右矢印
  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×