街道をゆく 13 (朝日文庫 し 1-14)

著者 :
  • 朝日新聞出版
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感想 : 11
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  • Amazon.co.jp ・本 (244ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784022601834

感想・レビュー・書評

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  • 古代両島は鹿卜の占人を出すことになっていた。残念ながら鉄器や甲骨は発掘されたが文字が無く詳細不明だが万葉集十五巻に遣新羅使一同の歌がある。対馬(府中)藩は米が穫れず、釜山との管理貿易で利を得るという変則的藩。江戸時代初期、『海遊記』申某の尊大な態度で朝鮮通信使を迎える格式について新井白石は簡素化を図り、対立した雨森芳州は忘れられた存在となった。壱岐は平戸藩に属し米の産地で孤立農地が多いため「触れ」という独自の単位で統治され、数年毎に耕作地を交代する土地公有制。朝鮮に友情のある著者でも対馬領土主張には不快感

  • ★3.5。
    農耕という観点からの日本社会の考察というのは色んな人がやっているんでしょうが、漁業と対比しての考察というのは少なくとも勉の足りない当方からすると結構新鮮で面白かったです。
    でも紀州・泉南地域の敬語の欠落ってそうなんですかねぇ、いまいちピンと来なかったけれども、昔の社会が消失してしまったということやもしれず、この意味で都市化・グローバル化というのは画一化と同義という議論も成り立ちうるんでしょうな。

  • 1985年刊(底本1981年、週刊朝日初出1978年)。

     対馬関連書を読む「食前酒」的な書として読破した。

     地誌的観点から日朝関係を外し得ない地域だが、叙述の時代相では古代、近世(豊臣秀吉政権期を含む)と近代に偏り、中世が欠落している。
     とはいえ、70年代初出ではやむを得ないか。

     さて、中国以上に儒教国家性の高い半島。その儒教=典礼主義=形式主義=先例主義の強固さが、各時代の底流にある情報収集排除の頑なさという特徴を生んだとの指摘は一つの視座を持たせてくれそうだ。
     他方、平戸藩随一の穀倉地帯・壹岐が該藩の植民地的存在というのも同様に意味ある指摘だろう。

  • 「対馬は朝鮮領だと李大統領はいっている」まわりの者はみな大声をあげて笑った・・・しかし、彼らは当時のアメリカの国務長官に対馬の領有権を主張したのである。この申し入れに対しては国務長官は対馬は「きわめて長期的にわたり日本の領土であった」(会談メモ)と簡潔に答え問題を終了している(P152参照)かっての対馬十万石の地が朝鮮領であるなどとは思ってもいなかった・・・その声明が憎むべき日本に対する隣国のブラック・ユーモアだと思っていた(P144参照)

     この両国の意識のヅレは恐ろしいものがある。竹島を韓国に譲れといった山本太郎議員は、対馬も同じように考えているのだろうか、国会では一人牛歩で目立っていたがあの姿が国益に利するというのだろうか、はなはだ疑問である。

  • 韓国からかえってきたところだったので、対岸の対馬についても思うところがあった。
    古朝鮮王、麻立干についての考察、ハンだったのではないかには脱帽。そうなのかもしれない。
    やはり朝鮮ももともとは北アジアの範囲なのだ。

  • 14/12/28読了 20/4/28再読

  • 朝鮮との接点に位置する壱岐・対馬は、異文化交流の文物や建物が残されているのではと期待しました。しかしながら、例えば対馬などは島の大半が山林に覆われ、田畑無く、道なく、貧しい漁村でした。交流も朝鮮の人が来たというより、釜山の倭館に出向いたようです。遺跡も乏しく、司馬さんの筆を持ってしても感興が湧きませんでした。

  • 対馬の予習。

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著者プロフィール

司馬遼太郎(1923-1996)小説家。作家。評論家。大阪市生れ。大阪外語学校蒙古語科卒。産経新聞文化部に勤めていた1960(昭和35)年、『梟の城』で直木賞受賞。以後、歴史小説を次々に発表。1966年に『竜馬がゆく』『国盗り物語』で菊池寛賞受賞。ほかの受賞作も多数。1993(平成5)年に文化勲章受章。“司馬史観”とよばれ独自の歴史の見方が大きな影響を及ぼした。『街道をゆく』の連載半ばで急逝。享年72。『司馬遼太郎全集』(全68巻)がある。

「2020年 『シベリア記 遙かなる旅の原点』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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