黒澤明の世界

著者 :
  • 朝日新聞出版
3.29
  • (1)
  • (1)
  • (4)
  • (1)
  • (0)
本棚登録 : 23
感想 : 1
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (442ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784022603876

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 映画評論家である著者が、おおむね時代順に黒澤映画の内容を紹介し、その魅力を語っている本です。

    「おわりに」で著者は、「初期の黒澤作品には、正に時代状況の索引そのものであるような時代との密着ぶりがあり、それが大きな魅力だったものである」と述べています。本書の冒頭で著者は、小学校を卒業する1943年に黒澤明の『姿三四郎』を見て、大きく心を動かされたことが語っており、その後ところどころで著者自身の来歴とリンクさせながら、そのときに感じたことを振り返るかたちで作品の紹介がなされています。こうしたスタイルによって、期せずして本書は、黒澤明の作品とその時代のドキュメントのような意義をもつことになっているように思われます。

    また著者は、「『蜘蛛巣城』以後の黒澤作品の足どりは、一作ごとに現実からの遊離に見えてくる」と語り、いくつかの作品については率直な不満を表明しています。ただこれらの批判にかんしては、印象論の域を出ていないことに加えて、時代状況に対する著者自身のやや硬直した受け取り方にもとづいているようにも感じられました。

全1件中 1 - 1件を表示

著者プロフィール

1930年、新潟市生まれ。「映画評論」・「思想の科学」の編集にたずさわり、その後、映画評論家として活躍。日本映画学校校長を歴任。数多くの映画人を育てる。1996年に紫綬褒章を受章。アジアや中東の映画にも精通し、映画文化の世界的な貢献にも寄与。主な著書に、「日本映画史」(岩波書店)「黒澤明の世界」(朝日新聞社)「映画をどう見るか」(講談社)など多数。

「2009年 『意地の美学 時代劇映画大全』 で使われていた紹介文から引用しています。」

佐藤忠男の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×