本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
- Amazon.co.jp ・本 (442ページ)
- / ISBN・EAN: 9784022603876
感想・レビュー・書評
-
映画評論家である著者が、おおむね時代順に黒澤映画の内容を紹介し、その魅力を語っている本です。
「おわりに」で著者は、「初期の黒澤作品には、正に時代状況の索引そのものであるような時代との密着ぶりがあり、それが大きな魅力だったものである」と述べています。本書の冒頭で著者は、小学校を卒業する1943年に黒澤明の『姿三四郎』を見て、大きく心を動かされたことが語っており、その後ところどころで著者自身の来歴とリンクさせながら、そのときに感じたことを振り返るかたちで作品の紹介がなされています。こうしたスタイルによって、期せずして本書は、黒澤明の作品とその時代のドキュメントのような意義をもつことになっているように思われます。
また著者は、「『蜘蛛巣城』以後の黒澤作品の足どりは、一作ごとに現実からの遊離に見えてくる」と語り、いくつかの作品については率直な不満を表明しています。ただこれらの批判にかんしては、印象論の域を出ていないことに加えて、時代状況に対する著者自身のやや硬直した受け取り方にもとづいているようにも感じられました。詳細をみるコメント0件をすべて表示
全1件中 1 - 1件を表示