街道をゆく〈23〉南蛮のみち2 (朝日文庫)

著者 :
  • 朝日新聞社
3.46
  • (8)
  • (7)
  • (21)
  • (1)
  • (2)
本棚登録 : 128
レビュー : 12
  • Amazon.co.jp ・本 (234ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784022605207

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
  • これもかなり以前に読み終わったもの。
    面白かった。

    司馬遼太郎さんの、旅行記というか、歴史を考えるエッセイ、とでもいうようなもの。

    前巻に引き続き、フランシスコ・ザビエルの足跡を追って、彼の留学先のパリから、生地のバスクへ。そしてそこからスペイン、そしてポルトガルへ。

    #

    大航海時代に、恐ろしい技術&自然破壊による木造船建造&冒険心で、南米などに出かけていったスペイン人。
     目もくらむような鮮やかな虐殺ぶりで、「草でも刈るように」現地の人間を殺し、略奪し、(言語文化まで破壊して、キリスト教を押しつけて)腰が抜けるくらいの巨万の富を手に入れた。そして「何でも買えば良い」状態になって、産業は衰退。むしろ、スペインにモノを売ったフランスやイギリスが産業国家の足腰を鍛えた。

    そんな西洋史と日本史の交錯。天正遣欧使節団。そして秀吉や家康による、キリスト教の弾圧、鎖国。
    鎖国というのも、スペインなどが南米ほかでやってきたことを考えると、賢明だったかも?
    実際に、ポルトガルやスペインは、「事前協議」で日本の支配について相談していたし、多くの文献が、「なんだか、日本っていう国は、武装した階級の男たちがいて、これが結構強くて厄介なんだよね」と、侵略者側からすれば面食らったという状況を示しているらしい。

    #

    話は具体から抽象へ、個人から民族へ、過去から現在へ。
    イスラムとヨーロッパの接するイベリア半島の数奇な運命。レコンキスタ。アジアからのモンゴル侵略の余波。紙の製造技術や森林伐採の功罪。めくるめくオモシロエッセイ、唯一無二。

    日本語を理解咀嚼できることの喜びは、司馬遼太郎を原文で読めることだ、と言っても過言では無い。

    ################
    (本文より)
    人間が集団を組んで異常な行動に出るとき、神とか平和とかといったように、およそその行為の実態とかけ離れた高貴なことばをかかげる。二十世紀に入って日本軍が中国を侵略したのも「平和のため」であり、ヴェトナム人がカンボディアを侵略したのも「正義」のためであったということを、後世、信じられるだろうか。

    (本文より)
    イデオロギー的正義というおそろしいものをこの地上で発明したのは、やっつけられる側のイスラムではなく、十字軍以来のキリスト教の側であった。

    ##############

    現政権があと10年も続いたら、司馬遼太郎も村上春樹も禁じられる時代が来るのでは無かろうか。
    今のうちに買っておかなくては。

  • >日本における大航海時代の影響を源流の地で感じたいというのが、この旅の目的である。(司馬氏)

    おお!奇しくも今日は『海の日』!

    そうして書かれた『南蛮のみち』第一巻はバスクを中心に、そしてこの第二巻は、第一巻の6割の厚さで、マドリード付近、そしてリスボン特急に乗ってポルトガルへ。

    マドリード付近では、天正遣欧使節やフェリペ二世に触れ、トレドやエル・エスコリアルなどにも。

    ポルトガルについてこう語る司馬氏

    >私がポルトガルにきたのは、信じがたいほどの勇気をもって、それまでただむなしく水をたたえていた海洋というものを世界史に組み入れてしまった人々の跡を見るためであった

    そういえば第一巻ではこんなことが書かれていてちょっと笑った
    >(前略)この船が、勇敢な…というよりも陸(おか)からはじき出されたような…ポルトガル人たちを東へ運んだのである

    エンリケ王子に惚れた私。
    あきらめかていたポルトガル旅行、サグレス岬に行ってみたくなります。

    >大陸の果つるところ
    >大海の始まるところ
    (ポルトガルの詩人カモンイス)

  • ポルトガルという国が何となく身近に感じたなぁ。ホントのところはよく分かりませんが、何処となくその属する地域の「極」に位置することからくる気恥ずかしさがあるんでしょうか?その地に住む人々には。
    表紙の写真も何かこう独特の寂れ感があるかと。

  • ポルトガル行きたくなった。

  • 2013.10.14 読了

  •  日本の戦国時代初頭、ポルトガル人はスペイン人のような大規模な悪業の事歴はない、元来がおだやかな民族で人口が少なかったことが考えられる。両国の征服事業について、互いの競争をさけるために地球を両国によって二分した。この境界線は西経四十六度三十七分を境に東はポルトガル、西はスペイン領とした。日本の領有権を両国が主張するがローマ法王庁がポルトガルの独占権をみとめていた(P40~参照)

     もし、スペインが日本の独占権を取得していたならば南米のインディオたちのように大虐殺されるとまではいかなくても、当時の日本が大混乱をきたし、時代が大きく変わってしまったかもしれない。

  • ヨーロッパには本当に縁遠い私だが、アラビアがイベリア半島を支配していたのにはびっくり。
    だからアラブっぽい顔立ちがスペイン、ポルトガルには多いのか。
    1巻はバスク人について、2巻はスペイン、ポルトガルについて。
    過ぎ去った栄光をもつ両国の歴史の調べ。

  • 14/8/16読了

  • 前巻をまるっとバスクに費やしたせいか本巻はスペイン・ポルトガル横断を駆け足で。かつて世界の歴史を変えたほどの二大海洋帝国となりえたのはイスラム勢力のおかげだった。レコンキスタでキリスト勢力が盛り返してから、この両国は衰退を始める。キリスト世界よりイスラム世界のほうが進んでいた時代があったというのは新鮮な驚き。

  • 前作のバスク地方に続き、スペイン、ポルトガルを訪ねる「南蛮のみち」。赤茶けた大地に息づくかつての栄華の名残をアラビア、レコンキスタ、植民地支配などさまざまな視点から描き出す博識ぶりには毎回感心させられる。かつて「日の沈まぬ帝国」と称えられた二大海洋王国がなぜ繁栄し、そして没落していったのか?というテーマを東洋の旅人の視点から語っている。天正遣欧使節など日本と南蛮との深い関わりについても触れられていて、外国を訪ねると司馬氏が常に文化交流に深い関心を持っていた事がよくわかる。以前訪ねたスペイン・ポルトガルの景色が目の前に浮かんでくるようで非常に懐かしかった。いつも思うがこれを先に読んでいれば違った見方ができただろうに…と悔やまれる(苦笑)

全12件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

司馬遼太郎は、1923年、大阪市生まれの日本の歴史小説家・エッセイストである。故人。
本名、福田 定一(ふくだ ていいち)。大阪府大阪市生まれ。筆名の由来は「司馬遷に遼(はるか)に及ばざる日本の者(故に太郎)」から来ている。
特に歴史小説の大家として知られ、代表作は「竜馬がゆく」「坂の上の雲」「翔ぶが如く」「燃えよ剣」「新撰組血風録」「菜の花の沖」「花神」「世に棲む日日」「梟の城」「関が原」「功名が辻」「国盗り物語」「街道をゆく」「十一番目の志士」「城をとる話」「風神の門」「二十一世紀に生きる君たちへ」他多数。その多くが大河ドラマ化、テレビドラマ化、映画化、コミック化などの形でマルチメディア展開されている。

司馬遼太郎は産経新聞社記者として在職中の1960年に、『梟の城』で直木賞を受賞。
1966年に『竜馬がゆく』『国盗り物語』で菊池寛賞を受賞したのを始め、数々の賞を受賞。
戦国・幕末・明治を扱った作品が多い。
1996年2月に72歳で逝去。
2001年には、東大阪市の自宅隣に司馬遼太郎記念館が開館。

街道をゆく〈23〉南蛮のみち2 (朝日文庫)のその他の作品

街道をゆく 23 単行本 街道をゆく 23 司馬遼太郎

司馬遼太郎の作品

街道をゆく〈23〉南蛮のみち2 (朝日文庫)を本棚に登録しているひと

ツイートする