ベトナム戦記 (朝日文庫)

著者 : 開高健
  • 朝日新聞社 (1990年10月1日発売)
3.69
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  • レビュー :58
  • Amazon.co.jp ・本 (300ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784022606075

作品紹介・あらすじ

この本は1964年末から65年初頭にかけて、開高健がサイゴンから「週刊朝日」に毎週送稿したルポルタージュを、帰国した開高自身が大急ぎでまとめて緊急出版したものである。

ベトナム戦記 (朝日文庫)の感想・レビュー・書評

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  • 開高健はベトナム戦争がなぜ起きたか語らない。どちらが悪いのかも語らない。ただヘルメットをかぶって、ベトコンの狙撃兵に怯えながら、兵隊と一緒に地べたを這いずる。その低い視点で見た戦争こそ、戦争を戦っている兵隊たちの目に映る戦争なんだろうと思う。それは悲しく、アホらしく、悲惨を通り越して滑稽ですらある。

  • これは「ジャーナリストによるルポルタージュ」ではなく、「小説家によるルポルタージュ」だと思う。本書で伝えている事が私的な感想レベルに留まっているのだ。これは本書が書かれた時期(1965年)にもよるものもあるだろうし、半世紀近くたった2012年現在からみての読後感なので、出版当時の反響・評価とは異なるだろう。
    だけど、ベトナムへ行っているのに、ベトナム語は喋れない&通訳もつけないで、その国のことを取材しようだなんて、それで本当に何がわかるというのだろう?

  • 当時34歳の人がこれを書いたのか。ベトナムに来て100日で。大したもんだなあ。
    私がベトナムに来た当初の100日なんか右往左往していただけだな。SNSやブログに文章は書いたけど、洞察も何もないものしか書けなかったし。
    比較するほうが悪いって言われればそこまでだけど。

    この本の舞台は1964年末から1965年ぐらい。
    読んでいて呆れるのは、その10年ほど前を舞台にした「おとなしいアメリカ人」と書いて有ることがほとんど同じだからだ。そしてこの10年後の1975年サイゴン陥落時のルポでもほとんど変わらない。

    曰く:
    ベトナム人は神秘的で貧乏でよく分からない。
    これはそのまま、ホー・チ・ミンの評価でもある。

    ちなみにホー・チ・ミンで言うと、彼が1945年9月2日に独立宣言を読み上げたあたりでOSS(CIAの前身)と接触しているが、そこにあるアメリカ人の彼の人物評も上のとおり。
    いや君ら、1945年から1975年まで何してたのよ。

    この本の中で開高健はベン・カットの戦いを参観してベトコンに襲撃されている。基地でも戦闘でも死ぬときでも、開高健の筆を持ってしても、ベトナム兵は撃たれて呻きもせずに死んでいく。
    開高健が中学生の時に勤労奉仕中にグラマンの機銃掃射で襲われたそうだが、そのとき撃たれていて、その様子をグラマンのパイロットが書いていたら、同じように書いたと思う。
    また、このベン・カット戦で彼が撃たれていたら、なんで自分はこんなところで死ぬんだろうって思いながら、呻きもせずにぽかんと死んでいっただろう。

    昨年末にTwitterで夏休み子ども科学電話相談のやり取りがバズった。
    「アリを踏むと黒い汁が出るのはなぜ」→「君もつぶれたら汁が出る」
    というもの。

    1965年のことは分からないが、もし今戻れるのならば、戻ってみてみたい。
    本当に当時のベトナム人は貧しかったのか?

  • ベトナム戦争初期の100日間に及ぶルポ。当時まだこの戦争?の現状が正確に世界に伝わっていなかった状況で現地(南ベトナム)で見聞したことをリアルに伝えている。

    自ら見聞きしたことを元にここで何が起こっているのか、また未来はどのようになるのか真摯に考え抜いて
    いるのが伝わってくる。

    ジャングルへの従軍同行のリアルさは言わずもがな。現在から振り返っても分かり難いベトナム戦争は、いったい何のための戦争だったのか、改めて考えさせられる。

  • ベトナムに旅行したので、読んでおかなければと思い、近代史を勉強するつもりで読みました。

    戦争中なのに昼寝 という事実が戦後世代には驚きでした。

    戦争ダメ絶対 といった上っ面だけを撫でた本ではないです。
    体験記です。力強い本です。

  • 1990年(初出1964~65年の週刊朝日)刊行。著者は菊池寛賞受賞作家。米国の在り様を一変させたベトナム戦争も遠くなりにけりだが、本書は米国介入・北爆前の同戦争下の現地に分け入った著者の取材記。解説者の言うようにルポらしからぬ文学的表現に彩られ(個人的には解説者ほど好意的には見ていない)、好みが分かれるかも。が、現地の生々しさ、特に、反米・反政府・反共・非暴力抵抗主義の仏教僧の諦観、ベトコンに武器使用法・戦術を伝授した元日本陸軍兵士の現地生活、南ベトナム軍兵士に蔓延していた厭戦気分は強い印象を残す。
    また、著者の小説家としての原点と言えるかもしれない体験記でもあろうか。

  • ベトナム

  •  アメリカが北爆を始めた1964年末から65年初頭にかけてサイゴン(ホーチミン)でカメラマンとともに行動した開高健によるルポ。解説によれば、「ベトナム戦争の現場で日本人が書いた最初の記念すべき書物であり、日本国内でベトナム戦争への関心を一挙にかきたてた歴史的な書物」(p.293)。4分の1か3分の1くらいは、野戦服を来た著者ら、銃殺される少年、ジャングルの中で銃撃されている様子を含む生々しい写真が載っている。
     ベトナム戦争自体がまだ歴史にはなっていない、その真っ只中にいる頃の話なので、ベトナム戦争の全容や概観を知るものではなく、とにかく現地で何が起こっているのか、現地の人(農民、坊さん、兵士たち)は何を思い何を語っているのかを記録したもの。全体的には、絶望、諦観といった雰囲気が漂う。政府軍の青年将校は、「何年となく毎日毎日たたかいつづけている相手の指導者の名も知らず、つづりも知らず、正しい名称も知らない」(p.267)という事実に、虚しさを感じた。
     別の観点では、著者らの弁やベトナムでの見聞の中に、第二次世界大戦の余韻が感じられる部分があるのが興味深い。例えばシンガポールへ出征し、その後ハノイに送られたが、ベトナムにとどまった旧日本兵がいるという話は驚いた。「彼らはベトミン軍に参加してベトナム兵を帝国陸軍の戦法と規律によって鍛えあげ、たいへん尊敬された」(p.147)そうで、なんか劇団四季の「南十字星」という芝居にもインドネシアの独立に手を貸した旧日本兵というのが出てきたなあと思った。
     この本の解説も書いている日野氏の言葉が本文中に出てくるが、少年が広場で処刑される場面を見た後、「おれは、もう、日本へ帰りたいよ。小さな片隅の平和だけをバカみたいに大事にしたいなあ。もういいよ。もうたくさんだ」(p.170)という発言が最も印象的だった。これを書いている今この瞬間にも、当時のベトナムさながらのことは世界のどこかで起こっていて、「小さな片隅の平和」の中で、のんきにこんなコメントを書いているおれがいる、と考えさせられる。(16/03/27)

  • ジャングルの中の描写は読みながら息がつまる臨場感でした。真実がどこにあるのかもわからないこのベトナム戦争というのを文面から実感することができた。
    なぜ、何のために戦争をしているのかは現場に行けば行くほどわからないというのを実感した。
    もう一度しっかり読み直してみたい。

  • 読みにくくて途中放棄中。冒頭に取材理由が明記されてない。いきなり「ベトコン」て言われても。

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