殺す側の論理 (朝日文庫 ほ)

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  • 朝日新聞出版
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  • Amazon.co.jp ・本 (280ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784022608147

感想・レビュー・書評

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  • 「では、もしその窃盗の現場を教授なり司書なりに発見されたらどうなるか。その場合は『ゴメンナサイ』『スミマセン』と謝罪すれば、この行為は不問に付されます。ただもし『ゴメンナサイ』『スミマセン』とあやまらなければ、この『あやまらない』ことに対しては、徹底的な追及がなされます。しかし、もしこの際、その教授なり司書なりが、謝罪してもしなくても、窃盗は窃盗だから、その行為は当然法にふれると考えて、謝罪させた上でその生徒を警察に引き渡したなら、今度は逆にその教授もしくは司書が非難され、おそらく『教育者の資格なし』と断定され、免職になるかも知れません。日本教の世界では、これが当然とされることは、今までのところを読み返して下されば、ほぼ理解していただけると思います」

    『日本人とユダヤ人』がベストセラーとなった、イザヤ=ベンダサンの言。
    ここから本田勝一との討論?が始まるのだけど、中身に関しては、ただ面倒くさい(笑)

    元になった「中国の旅」のルポルタージュも、またイザヤ=ベンダサンの正体も、色々話題になっていて結局のところ、よく分からないままだ。

    上に挙げた日本教ゴメンナサイ論については、今なお考える所があると思うが、そのことを戦争に当てはめると、またややこしい気がする。

    誰が何をやったから、どう悪いのか。
    そして、その悪は誰が許すまで終わらないのか。

    国はそもそも見えない概念であり、国民がそのようなものがあると信じて成り立っているに過ぎない。
    それは歴史的な時間の積み重ねで真実味を帯び、私たちに帰属意識という紐帯をもたらす。

    そこで機能する法は、誰にとっての味方なのか。
    これは本田勝一のソンミ虐殺論にも繋がってくる。
    人は国の力を借りて、いかようにも「解釈」をすることが出来る。つまり、殺す側の論理になる。

    話を大きく変えて、今に目を移すと。
    学校が、警察を頼るようになったこと。
    SNSの声が、人を殺すようになったこと。

    こうしたことの背景とは、何が繋がっているのだろう、いや、何が断ち切れてしまったのだろうか。

  • 自称「ユダヤ人」と真性日本人の公開討論
    イザヤ・ベンダサン

  • めっちゃ懐かしいです!
    ものすごく若くて青いときに読んでました。
    今読むとまた違うのかな?




  • イザヤ・ベンダサン=山本七平を論破した文章が痛快。
    しかし、これだけ理科系的に事実と論理の積み重ねが身上だったジャーナリストが、今では首をひねるしかないようなおかしな発言をするようになっているのは不思議。

  • イザヤ・ベンダサン=山本七平。

    このヒトの抱えた闇とはなんだったのだろうか。それは本多さんのそれと親和性のあるものだったのだと思う。

  • 何事にも「曖昧」「言動不一致」「流されやすく」「利己主義」な日本人の気質を、彼は断固拒否する。戦争責任の「一億総懺悔」に象徴されるこの国の悪しき通念を駆逐し、権力はもとより、「体制側御用」文化人・知識人を完全論破・粉砕していく彼の言動は、堕落した日本の思潮への義憤に発するものであって、本多勝一が自著で繰り返して述べているように、この日本を、日本人を愛しているからこそ、の論理である。『殺される側の論理』と並ぶ必読の書。

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