南京への道 (朝日文庫)

  • 朝日新聞社 (1990年1月1日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (400ページ) / ISBN・EAN: 9784022608222

みんなの感想まとめ

南京事件の被害者たちの声を通して、歴史の真実に迫る作品は、読者に深い考察を促します。著者は新聞記者としての冷静な視点から、当時の状況をドライに描写し、リアルな感情を呼び起こします。作品を読み進める中で...

感想・レビュー・書評

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  • 笠原十九司『南京事件』の中で取り上げられていたのでいつか読んでみたいなと思っていたが、『南京事件』を読み終えた次の日、たまたま図書館の書棚を眺めている時にこの書籍を発見した。何か運命というか、強い縁のようなものを感ぜずにはおれなかった。以下衝撃的な内容が続くため、猟奇的な描写が苦手な方は画面を閉じることを強くお勧めする。

    この資料は主に中国側の被害者、生き残った人々による証言を、日本軍が侵攻していった行程に沿って掲載していく形を取っている。皇軍を自称する無法者達は、行く先々で中国人を殺し続ける。ある時は大勢の人間を手当たり次第銃殺し、ある時は一室に大量の人間を閉じ込めて火をつけて焼き殺し、ある時は四肢を切断して宙吊りにして見せ物にし、ある時は大柄な男性を逆さ吊りにして肉を削いで軍用犬の餌として与える。
    女性を見かければ多くの男どもが強姦する。一人が事を致せば、また別の人間が、今度はそれを聞きつけた別の集団が、被害者の下腹が膨れ上がり股が腐ったようになるまで犯し続ける。妊娠している女性であれば腹を引き裂いて中の嬰児を取り出してみせる。子宮に手榴弾を詰めて爆発させることもやってみせる。
    こういった非道な行いは、あたかも当然な事であるかのように実施された。あまりの惨事に目を背けたくなる。信じられるか?と聞かれたら、信じられないと答えると思う。当時にもし私が生きていて、内地で兵士たちの帰りを待っていたと仮定してみる。やはり、そんな事が行われているとは思わなかっただろうし、聞かされても信じなかっただろう。これは人間のやることではない。蚩尤ですらこんな事はしなかったはずだ。

    恐ろしいのが、こういった虐殺行為が杭州上陸直後から行われていたということだ。上海での激戦が続く中であったが、杭州に派遣された兵士たちは死と隣り合わせであるような悲惨な戦いの渦中でもなかったはずだし、飢餓状態に陥っていたわけでもない。中国人達を目の前にして急に人が変わってしまったというのだろうか。それとも、軍隊という環境と、その手に携えた銃器、そして無抵抗の人々という図式が彼らの内の狂気を呼び起こしたのだろうか。まったくもって理解不能だ。

    もう一つ背筋を凍らせる話をさせてもらう。虐殺行為の証拠は中国側の証言のみではなく、日本軍からのものも大量にあるということである。数々の戦争文学を上げ連ねる必要はない。一兵士や将校の陣中日記や手記には、程度の差はあれ虐殺が行われたことがわかる記述が残されている。中には日本刀で中国人の首を刎ねたことを誇らしげに書き記すものもある。また、戦後数十年してからの雑誌の記事には、楽しんで強姦をしていた将校の発言が載っている。でっちあげというには詳細すぎる記事がずらりと並んでいる。
    南京陥落直前、人々は列を成して長江へと急いだ。老若男女、兵士か否かも問わず機関銃で一網打尽にする日本兵、そしてそれを指揮したことを誇らしげに語る将校。いったい当時の軍人達の倫理観はどうなっていたのだろうか。

    捕虜の虐殺に関しては、軍上層部の指示によることがわかっている。しかし、当時の新聞記事には、これらの捕虜を「保護」したことしか記録されていない。新聞記者や、軍関係者はこのジェノサイドが国際法違反であることをちゃんと知っていた可能性が高い。なんという矛盾であろうか。

    ふと思った。南京大虐殺否定派の人々はこういった資料をどう思っているのであろうか。読んだ事があるのだろうか。南京事件といいつつも、実は事前の空襲、杭州上陸後から南京に至るまでの道のりでの悪辣非道な行為、南京入城式までの大掃蕩とその後の物資徴発といった全てを含めての南京事件だということを知っているのだろうか。これらの証言の数々を見てどう思っているのだろうか。でっちあげとしか思わないのであろうか。理解に苦しむ事ばかりだ。
    しかし、しかと目を見開いて現実と向かい合わなければならないと、私は思う。

  • 久しぶりに読む本多勝一。南京への道を辿り、南京事件の被害者たちの話を聞いていく。殺される側から見た、大日本帝国軍。新聞記者らしいドライな描き方だが、それだけに聞く方も、話す方も、読む方もたまらない。見たくないものに目をつぶって生きていけたらそっちのほうが楽だなあ、と思いつつ、今の日本のいろいろを考えると、こういうのを今読まなくちゃ、と読む。20世紀で懲りたはずでしょ?

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