ベストセラ-小説の書き方 (朝日文庫 て 4-1)

  • 朝日新聞出版
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感想 : 64
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  • Amazon.co.jp ・本 (365ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784022611567

感想・レビュー・書評

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  •  すごくよかった。クーンツの言い方は体育会系だしアメリカンなオプティミズムも溢れんばかりで、たとえば「まず売れる作品を書かねば作家としてダメ」「読者が読みたいと思えるものを提供することもできないで何が作家か」といった論調が強いのだけど、基本的なポリシーとして「読みまくり、書きまくれ」という単純な、だけど何よりも真っ当な主張があるから、「いやそんな一面的な」と辟易する前にまず書いてみよう、そして何でも読もう、という方向に背中を後押しされるような感じがします。
     こうすべきだ、という部分も少なくないし、エンターテイメントの手法を自作の引用から説明していくところは、さすがに読んでいてつらかったり退屈だったりもするのだけど(読みまくれって言ってるんだからそれだけでよくないすか、先生、みたいなね)、「私は肉体労働その他過酷なこともやってきたが作家よりきつい仕事はない」なんてありがたいお言葉だし、具体的に「一日14時間ほどタイプの前に座る生活を7年続けた」上でのノウハウだって言われれば内容はさておき背筋がピンとしちゃうよね。いい話です。

    (今本が手元にないから上の具体的な数字間違ってるかもしれません。まあ雰囲気で)

  • ベストセラー作家のディーン・R・クーンツの指南書。どうすれば大衆にうける物語を作れるのか、小説を読む上でも知っていると楽しめる知識だと思います。古い本ですが、物語の作り方はそうそう変わらないようです。
    【瞬読73冊目 毎分9000文字】
    【ストーリー・ライン】
    最初の三ページで読者の心を掴む
    冒頭をとにかく書いてみる→アイデア・ポンプが動き出す。
    プロット(物語の中の出来事に秩序と首尾一貫性をもたらす)を大切にする。
    テーマは小説を豊かにするが、説教やエッセイぽくならないように。テーマは作者が述べる人間の条件についての声明である。モラルではない。
    物語は自分の経験と感性から→自分が学んだ教訓や真実、物語から育む。
    読んで読んで読む→描いて書いて書く→潜在意識の大釜を作る→アイディアが作品になる。
    【キャラクター】
    主人公には行動を起こさせる(言葉で状況を説明しない)アクションを研究する。
    キャラクターの作り方・・身上書を作る、動機付けはリアルに説得力のあるものを。
    ①愛②好奇心③自己防衛④金銭的欲求⑤義務⑥復讐など
    【文体】
    セリフは自立させる。○○は~と入れるのはキャラが立っていない
    説明は会話の中にいれるなど工夫する。単調な文章を避ける。リズムを作ること。
    作家として活躍するには優秀な編集者を見つけること。

  • 小説を書くことの大変さがよくわかる。
    思いついたことをただ書いているわけではない、ということが。

    量を読むことが勧められているけど、要はインプットが大事、ということなんだと思う。

    それは他の仕事でも同じ。

    圧倒的なインプットの先に良質なアウトプットが生まれる。

    だからといってはなんだけど、この本を読んだからといってベストセラー小説は書けない。

    意外と、筆者の言いたかったことはそういうことかもしれない。

  • ●学んだこと
    ・エリートのためではなく一般大衆の読者のために書く。
    ・ものを書くということは、技術であると同時に芸術である。
    ・最初の3ページで主人公を過酷な困難に放り込む。
    ・物語の中で起こる事件は、決して作者から読者に対して直接話す形で予告されてはならない。
    ・主人公に要求される資質:高潔さ、有能さ、勇気、好感、不完全さ
    ・自分が興味を持ち、書きたいという衝動を覚える小説だけを書く。

    ●感想など
     既知の内容もあれば新たに学んだこと(上記参照)もあった。示唆に富む内容は多いものの、本書自体が読んで楽しいものとなっており、そうするためか、系統だった説明というよりは筆の運ぶままに書いたという印象が強い。また、刊行当時(1981年)のアメリカ文壇の事情を分析しているため、2010年代の日本の業界とは状況が異なることに注意しなければならない。

  • つまり創作とは創作本を読むことではなく創作することによってのみ力を得るということを改めて気づかされた

  • 興味深いが、アメリカの話だよね、という感じ。

  • 創作の参考書にしています。小説以外にも有効。

  • 著者について知らなかったので、検索してみたところ
    ”アメリカ・ペンシルベニア州出身の作家。SF小説からホラー、ミステリー、サスペンスなどジャンルミックスした手法で80年代から現在に至るまでベストセラー作家であり続けている。”
    ということでした。残念ながら、日本ではあまり知られていませんが、アメリカでは「ベストセラー作家であり続けている」人物が、本のタイトルの通り、ベストセラー小説の書き方を教えてくれる本です。
    「本はもう売れない」などというのは誤解であること、ではどんな内容にするべきかということなど、まだ見ない作家を実例を交えて励ましてくれます。
    作家の実態や、出版業界のからくりを知りたい方にはとても参考になる本だと思います。
    ただ、書かれたのは35年ほど前であること、そしてアメリカの事情であることも承知して読む必要はあると思います。

  • ある人がオススメしていたので、購入してみましたが、私は普段フィクション小説をそんなに読まないせいか、この本に書かれたノウハウでハラオチする回数が少なかったです。

    というのも、ノウハウの実例として、多くの有名どころの小説を挙げていますが、
    そもそもそれらを読んだことがないので、この点でなかなか理解を深めることができませんでした。

    なので、「ベストセラー小説を書くノウハウを得たい」と思うなら、まず先人が残したベストセラーを読んで読んで読みまくっておく必要があると再認識しました。
    (もちろん、書き写しもいいと思います)

    ただし、いくつかのノウハウはスっと理解できたので、そのうちの3つを取り上げて書きとどめておきます。

    ●1. 悪人の方が魅力的なキャラクターをつくりやすい

    普通の人間の多くは、欠落した部分があり日常生活に不満をかかえているため、悪人に対して
    自らの思いを重ねたりし、感情移入できる。
    対して健全無欠なヒーローは非現実的でつまらないし、憧れはあれど、なかなか共感できない。
    そして、この悪人が改心なりし、味方になった時は非常に人気がでやすい。

    ●2.場面転換は事細かにかかない、意味がないし読み手が冷める

    例えば、主人公が「仕事場から家に帰る」など、場面転換するときにその道中(例えば駅まで歩き、電車で三駅通過、乗り継いで・・・など)を事細かに書く必要はまったない。
    その細部描写には意味もないし、ただリズムを悪くするだけで読み手を飽きさせてしまう。

    そういう場合は、仕事場の時点で、家に帰ることを読み手に想像させる一文さえあればいい。
    「そして、主人公はPCを閉じ、職場を後にした」


    ●3「荒唐無稽で話が信じられない」と読み手に思わせてしまう場合は、大抵は細部の描写が非現的だったり、背景が調査不足だったりといった「甘さ」ゆえ。

    そもそもフィクション小説は、それ自体がウソなのは明白。
    だが、例えば登場する都市の風景描写がデタラメだったり、あきらかに調査不足な表現だったりすると読者は冷めてしまう。
    読み手は、フィクションの中でも「リアリティを感じたい」し、それこそが物語の魅力の厚みを増してくれる。

  • 地元書店の「お薦め文庫」のコーナーで紹介されていたので、気になって手に取ったところ、著者の波長と合いそうだったので購入した。
    タイトルこそ「ベストセラー小説」と銘打っているが、実際は「売れる『アメリカ流エンターテインメント小説』の書き方である。発刊されてから30年以上経過しているため、アメリカ国内の出版事情やセールス方法を扱った冒頭3章については、古さが目立つ。また作者の考え方を、そのまま日本の事例に当てはめるのは無理がある。とはいえキャラクターの造形方法、プロットの立て方、スランプ克服法など、豊富な経験に裏付けられた彼の見解は、今もなお説得力を持つ。筆者は短い簡潔な文体が好みのようで、形容詞を豊富に使った、日本流の長い文体を愛好する読者には、違和感をもつ可能性もある。最終章で取り上げられる「読んでおくべき作家」のリストは、著者の好みであるということをあらかじめお断りしておく。しかし、この本で取り上げられた作家たちは、作家志望の人間は、必ず目を通すべきである。そしてベストセラー作家になるためには、とにかく読み、書くこと。それ以外の近道はない。

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