小耳にはさもう (朝日文庫 な 14-1)

著者 :
  • 朝日新聞出版
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本棚登録 : 104
感想 : 7
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  • Amazon.co.jp ・本 (219ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784022611673

作品紹介・あらすじ

貴乃花のあの発言からビートたけしのこの発言まで、何気ない"ひとこと"も、ナンシー関にかかったら、まな板の鯉。思わずもれた"ひとこと"に、ホンネのホンネを見抜く早わざと、歯の衣きせぬ語り口は痛快そのもの。大好評の単行本をついに文庫化。おなじみの消しゴム版画つき。

感想・レビュー・書評

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  •  ナンシー関の名声を磐石なものとした週刊朝日連載の同名コラムからの書籍第一弾。記念碑的な作品である、と思う。
     ナンシー関の本の解説を書いている人の中だけでも、彼女のことを男性だと思っていたという人が多くて驚くのだが、実は私も相当長い間男性だと思っていた。あまりの文章の切れ味の良さと切った後に漂う寂寥感にダンディズムまで感じ、孤高のおじさまがその知性を存分に振るって滅多斬りにしているのだと信じていたものである。同時期に連載されていた「恨ミシュラン」が西原のおねーちゃん的キャラを前面に出していたのとは対照的に、消しゴム版画一つで引き締められたストイックな紙面のせいもあったかもしれない。余談だが西原はナンシー関の二つ年下なだけである。
     さて中身だが、当時を知らない人が読んだらさすがに厳しいかもしれない。出てくる固有名詞はかなりのものが歴史上のもの(あるいは灰塵)と化しているし、そもそもこの頃はまだインターネットが普及しておらず、テレビはまだ娯楽の王様の座に安寧していた。「昨日なに見た?」といえばテレビ番組のことであり、手持ち無沙汰な夜に頭を使わずに一人でできることといえば深夜番組を見ることくらいだった。隔世の感がある。
     しかし、ナンシー関がテレビを切って切って切りまくったその道行としてこの本を読むと、そんなテレビの絶頂期にあって、心中も辞さないほどに深く「おもしろい」テレビを愛し、その先行きを案じていたのだと感じる。(忖度という言葉が今ほどはやる前であるが)忖度するテレビのつまらなさ、内輪ウケするテレビの危うさを心配し、愛するテレビが面白くなくなってしまうことに怯えるナンシーの危惧は案の定現実となり、今や「テレビ離れ」という言葉はWikipediaに載っているほどである。
     もうすぐ没後20年である。ナンシー関が生きていたら、今のテレビをなんと書くだろう? テレビに「ひっかかるもの」を見つけるたびに、いつも思ってしまう。私自身も田舎のテレビっ子として育ったので、刷り込みとして「テレビには面白くあってほしい」と思ってしまう部分がおそらくあって、それがナンシー関と共通しているのだと思う。しかしナンシー関の深い愛情(もしかしたら愛憎かもしれないが)と明快な分析力には遠く及ばないので、もはや死に体のテレビの「もやもや」をすっきりと説明してくれるナンシー関を、今こそ強く求めているのだ。

  • 1993年~94年頃の週刊誌のコラムをまとめたもの。 取り上げられている芸能人とその内容はさすがに時代を感じる。 しかし文章とモノの見方は素晴らしいの一言。 少しずつ読んで学びたい(吸収できるところは吸収したい)と思えた。 他の本も少しずつ手を出していきたい

  • 何にも左右されず思いのままに意見する。かっこいいと思う。

  • 貴之花のあの発言からビートたけしのこの発言まで、何気ない"ひとこと"も、ナンシー関にかかったら、まな板の鯉。思わずもれた"ひとこと"に、ホンネのホンネを見抜く早わざと、歯に衣きせぬ語り口は痛快そのもの。大好評の単行本をついに文庫化。おなじみの消しゴム版画つき。

  • 笑いにきびしく

  • これがナンシー関のエッセイ「小耳にはさもう」の第一弾なのだが、3冊読んでみての感想。
    自分の意見にしっかりと責任を持っているとこがいい。どんな反論も受け付ける感じ。言いたい事を言いたいだけ言う。読んでいてスッキリする。毒舌家、と捉えるならば、ある意味私と同じタイプ。(笑)

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著者プロフィール

1962-2002 青森県生まれ。法政大学中退。消しゴム版画家。雑誌のエッセイや対談でも活躍中。著書に『ナンシー関の顔面手帖94夏』『信仰の現場』『小耳にはさもう』ほか多数。

「2014年 『語りあかそう』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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