アフリカを食べる (朝日文庫)

著者 :
  • 朝日新聞社
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本棚登録 : 64
レビュー : 9
  • Amazon.co.jp ・本 (245ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784022612373

作品紹介・あらすじ

アフリカの人々は、サルを食べるが豚は食べない…なぜ?アフリカ通の著者が、大陸の風土・歴史を背景に、「食」を通じてアフリカの人々を描く。食が地域に根ざすものであること、文化の共存は他者の価値観を尊重するところに始まることを感じさせる、洒脱なアフリカ体験記。

感想・レビュー・書評

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  • 強烈なインパクトの表紙とタイトルで、古本屋で何気なく手にとったこの本。
    朝日新聞の駐在特派員として、ケニアのナイロビ及びエジプトのカイロに滞在中、アフリカ各地を見て回った際の、現地の食べ物の記録。
    食は歴史や風土に根差していて、所変われば食も変わる。
    食についてだけでなく、援助の在り方や、アフリカの抱える問題(政治腐敗、治安悪化、飢餓、貧困、遊牧民の定住化…)についても考えさせられる。本当に興味深く面白かった。

    アフリカといっても一口ではいえない。
    土地によって部族によって宗教によって、食べるものは変わるから。
    マサイ族のモランは牛を大切にし、食べるのは肉、乳、血のみ。
    そんなマサイたちは森の狩猟民のピグミーを軽蔑する。あいつらはサルを食べるから、と。
    本来肥沃な土地であるルワンダの主食はコメを食べる。モザンビークなどで主食としているソルガムは家畜のエサとする。
    アフリカでもイスラム文化圏では決して豚を食べない。
    …などなど。

    でも、どこに行って何を食べても、本書を通じての筆者の基本姿勢は一貫している。
    異国の食文化は、自国の食文化と比べると奇異に感じることはあるかもしれないが、その食が生まれたのには理由があり、ひとつの食文化として尊重すべきだ。食を知ることはその食文化が生じた背景(歴史や風土)を考えるきっかけともなる、と。

    “食文化というのは、暑さ寒さや雨の量、地形、その他もろもろの影響で、長年かかってその地域で形成されてきたものだ。土地が狭くて冬が寒いため、犬を食べなければ生きていけなかった地域もある。それを、別の食べ物で十分に生きていける地域の人々が、自分の基準だけで判断してはいけない。”

    どんなものでも何でも食べてみよう!という筆者だけど、いつも醤油とわさびを持ち歩いていて、刺身を食べられそうなときを逃さずに食べていた、というから、筆者もしっかり日本の食文化をしょってアフリカを歩いていたんだな。

    どのエピソードもよかったのだけど、自分に食べられるものは少ないなぁと思っていたところ、あとがきにあったエピソードに驚いた。
    この本の映像化のためアフリカ各地で撮影が行われた際、筆者は、主演の渡辺満里奈さんを連れてケープタウンのスラム街に「スコップ」(羊の頭をゆでた料理)を食べに行く。
    丸木でできた壁もない粗末な小屋で、豪快に出されるこの料理。
    筆者が意地悪心を出して、羊の目玉を取り出し、「ここがご馳走なんだよ」と彼女の口に放り込むと、彼女は「うん、おいしい!」と全部食べたのだとか。
    気持ち悪くないの、と聞く筆者に、「いいえ、だって、ここの人たちが食べているものですから」。
    アイドルとして一世を風靡し、ちやほやされることも多かっただろうし、日本のきれいなマンションに住み、美味しいものもたくさん食べてきたであろう彼女。当時、まだ20代。本文とは関係ないけど、渡辺さんすごいと思った。

  • 1998年(底本1996年)刊行。朝日新聞のコラムをまとめたもの。内容は、アフリカ各地の食を見開き3~4頁で解説するもの。虫、ワニ、マンゴー、象、キリン、猿、白トウモロコシ、駱駝といったアフリカ特有の物産のみならず、鰯や羊等も。確かに、網羅的で面白いのだが、奈何せん短すぎて食い足りない。また、「食」に特化していない、つまり、所々、貧困・戦争・内乱など政治状況への批判的言説が混ざっているため、焦点がぼやけた感はある。

  • 短い文章の中にいろいろ考えさせられるエピソードが詰まっている。プロの仕事。

  • 新聞で連載されたコラムの単行本。東西南北に大別した章立てでアフリカの食事情が詰めこまれている。
    内戦や飢餓、政情不安とうんざりするような要素も含め、その土地の風土・習慣に根差した食が描かれていている。日本と比べあまりに異質な世界に対し、どうしてこうなのかも踏み込んで書いているため、単なるアフリカ食(どちらかというとゲテモノと感じる)の羅列に終わらず、食を通じたアフリカ事情が見えてくるいい本だった。

  •  今世紀に入って大きな変化を遂げたアフリカ。アパルトヘイト廃止後もそれまでの統治と民族主義のはざまで、いまも揺れ動いています。そんなアフリカ各地を取材して書かれたのがこの「アフリカを食べる」。アフリカ大陸に興味があるなら、もう一冊「アフリカで寝る」とともに読んでおきたい本です。

     ジャーナリストでありながら、松本仁一の取材スタイルは「飛び込んでいって現地の人と暮らす」というもの。だから報道記者のお決まりの視点とは違うアフリカを、克明に書きあげています。「食べる」と「寝る」は生活の基本。ここにこだわるから、戦禍のアフリカでさえも興味深く思えてきます。

     マサイ族がウシの血にミルクを混ぜて飲む理由。アフリカでは猿を食べるが豚は食べないわけ。生活を共有することで、異民族の考え方の違いを知ると共に、その文化を大切さを説く姿勢は、すべての旅人が持っているべきものです。

  • おもしろい。アフリカ行きたくなった

  • まったく未知なアフリカ料理ですが、おいしそうだ。ワイルド。

  • アフリカ通の著者が、アフリカの風土・歴史を背景に、「食」を通じてアフリカの人々を描く。
    アフリカのことを知らない人でも楽しく読める本。一つの食べ物に対して4ページほどなので電車の中や寝る前に気軽に読める。

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