憲法大論争 改憲vs.護憲 (朝日文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (207ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784022612885

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  • 1997年に行われた、中曽根氏と宮澤氏、元総理大臣両氏によるなんともゴージャスな対談。論点は日本国憲法改正についてだがそれだけではなく、戦後はもちろん戦中の様子なども、終戦を経験した両氏の生々しい証言を通して伝わってくる。

    改正自体は引っ込めてしまったものの、先日行われた集団的自衛権に関する9条解釈についての閣議決定によって、次段階の法整備まではしばらく棚上げになるような空気ではあるが、そもそも憲法論議というものは回数を重ねることによって、その考え方が少しづつ形成されていくものである。話題に上がらなくなる期間が長くなればそれだけ、憲法と法律の区別がつかないような方々がより増えることとなるのではないか。そういう状態で誰が得をするかということは今更言うまでもないだろう。

    本書によって、政治あるいは自民党の歴史に触れてみると、今の政権が拘っていることについて「改憲」「オリンピック誘致」「安保改定」「警察官職務執行法改正」といったキーワードが浮かび上がってくる。もしこの流れが続くことになると、次は何をしようとするのかがなんとなく予測できるのではないだろうか。

    政治における普遍的な原理はそれほど多いものではなく、時代時代のニーズによって次々と変わってくるものである。しかし、そう考えているのは我々一般市民だけであり、為政者の視点では、右にいったり左にいったりしつつも常に一定に保たれているのが本当のところなのではないかと思う。その方針は望ましいこともあるかもしれないし、そうでないこともあるかもしれない。そのうち「変える」「変えない」の対立軸では解決できない状況が生じるということも考えられないわけではない。そうしたことも踏まえて、政治の動向を常に注視しておくことは、投票も含めた政治活動をする者が有する必須の責任であると思う。

  • ▼中曽根(康弘)氏と宮沢(喜一)氏、二人の首相経験者の大御所が議論し合う、憲法論議からは迫力と奥深さが感じられた。15年近く前の対談でありながら、今の憲法論議に欠けている「ヴィジョン」がそこには存在している。
    ▼両者ともに、「一国平和主義」には限界がある。そして、「武力の必要な場面が存在する。」という認識に、違いはなさそうだ。憲法が生き抜いてきた60余年、その傍らには常に日米安保の存在があった。しかし、「ビンのふた」論に代表されるように、両者が絶妙のバランスをもって戦後東アジア地域の秩序構築に貢献してきたことは事実である。
    ▼現状維持では前に進めない――だが、改憲派にせよ、護憲派にせよ、何を目指し、そのために何が必要なのかを分かって議論しなければ、行き先を誤ってしまう。
    ▼還暦を過ぎた憲法は、どんな言葉で私たちに語りかけているのだろうか。本当の意味での憲法論議はこれから始まるのだと思う。

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