雷蔵、雷蔵を語る (朝日文庫 い 59-1)

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  • 朝日新聞出版
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  • Amazon.co.jp ・本 (405ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784022614254

作品紹介・あらすじ

「眠狂四郎」シリーズをはじめ、日本映画を代表する俳優の一人でありながら、37歳で夭折した市川雷蔵が、自身の言葉で著した唯一の著作。生い立ちから、趣味、映画、家族、共演した女優たちについて、おおらかに、饒舌に語る。他では見ることのできない貴重なプライベート写真を多数収録。

感想・レビュー・書評

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  • 歌舞伎役者から映画俳優に転身し、多くの作品に出演して、
    37歳の若さで病没した八代目・市川雷蔵の人物像。
    最初は評伝を読んでみようと思っていたが、
    本人の言葉で綴られたものの方が面白そうだと考え直して、
    こちらをチョイス。
    内容は後援会会誌に執筆したエッセイと雑誌掲載記事、
    インタビュー記録やフィルモグラフィなど。
    仕事や私生活について、支援者に対する気遣いからか、
    慎重に言葉を選びながら、丁寧に語っている印象。
    1950~1960年代の日本映画界の盛況ぶり、
    延いてはそれを支えるために
    俳優が過密スケジュールに縛られ酷使されていたことが
    伝わってくる。
    雷蔵はオフショットを見ると整った顔立ちだが地味で、
    エリートサラリーマンかと見紛う実直そうな風貌なのだが、
    衣裳を纏ってメイクすると
    尋常でない美青年(主に美剣士)に一変するという、
    一種の天才だったらしい。
    亡くなった祖父は恐らく『眠狂四郎』シリーズなどを
    好んで観ていたに違いない……のだが、
    生前そういう話をしなかったのが、今頃になって悔やまれる。

  • 市川雷蔵がファンクラブの会報に書いた文章などを編纂した一冊です。これを読むと、市川雷蔵の人となりがおぼろげながら浮かんできます。知的な側面、厳しい批判精神もあるが、映画俳優として会社やファンクラブなどへの気配りも怠らない。私生活と俳優生活とのケジメ、プロデューサーへの志向などなど。実際のところ、もう少しで実現されるはずだった演劇公演が、死去により中止となったことは残念です。もしも、長命であれば雷蔵プロデュースの映画も何本かは実現していたでしょう。
    読み物として面白いのは、「雷蔵をめぐる女たち」と題された、九人の女優評の文章で、一部辛辣な表現もあり雷蔵らしさが滲み出ています。

  • 1969(昭和44)年の今日、不世出の時代劇俳優・市川雷蔵が37歳の若さで他界しました。もう40年になるのですねえ。そこで私も、『雷蔵、雷蔵を語る』を語ることにしませう。
    内容は後援会の会誌に寄稿したものをまとめたものです。あまり自分の事を語らない人といふ印象がありますが、実に率直に思ひを綴つてゐますね。
    映画界(といふか、大映)の現状を憂える記述も多いです。これは、やはり良い映画を作りたいとの信念があるからでせう。何しろ当時はスターシステムですから、大映に限らず人気映画俳優は毎月のやうに主演映画の封切があつたのです。これが粗製濫造につながるのは容易に想像がつくでせう。
    まさに俳優たちは、映画会社にとつて「商品」そのものだつたのである。特に大映の永田、新東宝の大蔵両氏は、しばしばさういふ発言をして反感を買つてゐました。
    共演した女優たちについて書いてゐますが、これが面白い。小川真由美さんの鼻が立派すぎて、キスシーンでは鼻がかちあひ、はなはだ困つた、とかね。

    実際に雷蔵を見たくなり、『眠狂四郎無頼剣』のDVDを引つ張り出す。これは良いですよ。眠狂四郎シリーズでは、『勝負』『炎情剣』『無頼剣』が私の好みであります。これらはすべて三隅研次監督によるもの。三隅監督は大映の娯楽時代劇映画では一番と私は思つてゐます。ちなみに彼は、円月殺法の時に残像を表現しません。それも好感が持てます。
    『無頼剣』については、敵役の天知茂が良い。新東宝の倒産後、大映に移籍した彼ですが、やはり外様の悲しさか主演は撮らせてもらへなかつたやうですね。原作のシバレンさんは、この映画を評価しなかつたさうですが、傑作であることに相違はありません。
    『忍びの者』や『濡れ髪』もまた見たくなつてきました...やはり良い役者です。

    http://genjigawakusin.blog10.fc2.com/blog-entry-35.html

  • 大ファンです♪読むのが楽しみ。

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