スターリングラード 運命の攻囲戦 1942-1943 (朝日文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (600ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784022614773

作品紹介・あらすじ

第二次世界大戦の転換点「スターリングラードの大攻防戦」を描く壮大な戦史ノンフィクション。膨大な資料や個人の手記、書簡、証言などをもとに史実を丹念に読み解き、兵士たちの肉声に触れながら、愚行と冷酷さに彩られた戦いの真の恐怖に迫る。世界23カ国で翻訳されたベストセラーの文庫化。サミュエル・ジョンソン賞ノンフィクション部門、ウルフソン歴史賞、ホーソーンデン賞受賞。

感想・レビュー・書評

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  • 独ソ戦でのターニングポイントになったスターリングラード攻防戦の本。
    ここに包囲されるドイツ軍第六軍の運命を中心にした内容で、読みやすさと資料性を水準以上に保っている良い本。買って損はない。

    ロシア侵攻作戦から33万人の第六軍が包囲され降伏してその後までの紹介があります。ドイツ軍に協力した5万人のロシア人市民の運命など知られていなかった事実を丹念な取材で掘り起こします。描写が非常にサバサバとしてて戦況も地図があり分かりやすい。

    残虐過酷無残なエピソードばかりなのだがあっさりと書かれていてその量と種類の豊富さからめまいがするほどです。ある種の感慨がありました。

  • 分厚いなぁと思ったけれど
    逆に起こった出来事の量からしたら駆け足でおさらいしている感じだろうか
    一気読みではなく 国語の授業のように 一章ずつじっくり読み込んだら 事の恐ろしさをまだ一部しか理解していないことに気づきそうだが
    コロナ禍で気分が落ち込んでいる今 なかなか辛いテーマの本である
     
    コロナ禍で自分に都合の良いマスコミ情報に飛びついてしまったり またはそんな情報を見つねるまで検索してしまっている今
    戦時下の楽観的ともとれる上の命令に従う気持ちも分からなくもないなぁと思った
    何より情報規制もされているだろうし どちらの国もここまで長期化するとは思ってなかったのだろう
    (第一次世界大戦のイギリス・ドイツでも同じ見解であった 一回目の戦争を知っている人は二回目の戦争をどう思ったのだろう?)

    捕虜になった悲惨さと(生き残っても帰国できたのは10年後とか)
    病院に搬送されても治療は受けられなかったり
    病気が蔓延して 食料不足の中の戦いと
    何より寒さによる戦場の厳しさ

    無知で申し訳ないが スターリングラードが街なのだと驚いた
    戦場の代名詞のようなイメージだったので

    環境や上司や戦況による運も大きいが
    果たしてそこで「自分」を保つことが出来るのだろうか
    それとも戦争が無ければ知り得なかった「戦争下での自分」が現れるのだろうか
    生き残った時 その記憶とどう向き合うのだろうか

    ふと ロシアといえば芸術面が有名だけれど 戦後どうやってまた一流を取り戻したのだろうかと 戦死者の多さに疑問に思った

  • スターリングラード攻防戦を書いた戦記。
    日に日に悪化する独ソ両軍の兵士の消耗していく描写が辛すぎて読み返すには中々重い作品だが、未読なら読むべし。

  • 証言や、個人の手紙、公式資料を駆使した(独ソ)スターリングラードの戦いを描いたドキュメンタリー作品。

    侵攻するドイツ帝国と侵攻される旧ソ連とのドイツ優勢と言われた初戦が、徐々に、立場が逆転するまでの作戦レベルの過程を描き、これでもかと不条理で残酷な現場レベルとしての戦場を描く。

    独裁者同士の消耗戦は、ここまで残虐かと思う。1人が死んでも、同僚達には、悲しむ余裕すら与えられない両国民の地獄絵図。

    難点は、翻訳が悪いせいか、文章構成の欠陥か、アレ?独ソのどちら側の人だっけと混乱するのが苦痛であった。

    反独裁制や反戦争の常識的なテキストだけで、この作品を楽しむのは、もったいない。
    日本と同様に、敗戦国となったドイツ帝国におけるマネージメントやリーダーシップの失敗例を学ぶ価値は大いにあると思う。

  • 両軍の死傷者数が約200万人、民間人の死亡者数が20万人と第二次世界大戦最悪とも呼べるスターリングラードの戦いについて、戦史ノンフィクション作家の著者が、元陸軍という経歴を生かした戦術解説と、両軍関係者の生の声に基づき、その実態をまとめ上げた一冊。

    戦争の様子は悲惨としか言えない壮絶なものであり、ヒトラーとスターリンという2人の狂人の誇大妄想・偏執狂っぷりにより、軍人の生命が極めて軽視される模様が執拗に描かれる。極寒の大草原の地でまともな食糧も届かず、塹壕の中で死にゆく運命を待つだけの悲哀。

    歴史的にはこの戦いの勝利により、スターリン並びにソ連はが連合国の中でのプレゼンスを確立し、戦後の超大国化のきっかけになったと言われているが、それは名もないソ連の兵士たちの屍によるものだとことがよく理解できる。

  • 独ソ戦最大の激戦地、スターリングラードの攻防戦を描いた本。
    これだけの事実を掘り起こしたのは、驚嘆に値します。独ソ戦開始からバルバロッサ作戦。そしてスターリングラードの市街戦と、戦争の歩みとともに、物語りも小気味良く進みます。
    その後の市街の攻防戦からそれんの反撃、そしてドイツ第6軍の敗北と、悲惨な事実を淡々と描きながら、物語りは進んでいきます。

    登場人物がかなり多いので、途中で混乱がちではありますが、かなり面白いです。

    それにしても、何でこんな無謀な闘いになったのか、それを思うと絶望的な気分になります。

  • 「Stalingrad」の翻訳(2005/7/15発行)。

    第二次世界大戦時の独ソ戦の分岐点となったスターリングラードの戦いについて、ソ連崩壊後の資料をもとに書かれた書籍。

  • 以前に読んだ本だけど、今般のウクライナ・クリミア騒動で思い出したので登録。よくも悪くもロシアという国のイメージが変わりました

  • (欲しい!) 独ソ戦

  • この間読み終わった「独ソ戦全史」と題材は被ってるが、
    書きっぷりはかなり違う。

    こちらは戦術的な戦史ではなく、前線の兵士の戦闘と生活に密着し、
    それ故にあまりにも凄惨な現場が赤裸々に描かれている。

    赤裸々過ぎて、あまりにも悲惨過ぎて、正直胸が悪くなる場面も少なくなかった。
    例えれば火垂るの墓の15倍くらいの悲惨さという感じか。

    戦争のやり切れなさだけが痛烈な後味として残る一冊。

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著者プロフィール

1946年生まれ。戦史ノンフィクションの世界的ベストセラー作家。バークベック・カレッジ、ケント大学客員教授。『スターリングラード 運命の攻囲戦』でサミュエル・ジョンソン賞、ウルフソン歴史賞、ホーソーンデン賞受賞、『ベルリン陥落1945』でロングマン歴史賞受賞、『スペイン内戦1936-1939』でラ・ヴァンガルディア・ノンフィション賞受賞、その他の訳書に『ノルマンディー上陸作戦1944 上下』『パリ解放1944-49』などがある。

「2015年 『第二次世界大戦1939-45(下)』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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