黒澤明と「七人の侍」 (朝日文庫 つ 11-1)

著者 :
  • 朝日新聞出版
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感想 : 7
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  • Amazon.co.jp ・本 (305ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784022615039

作品紹介・あらすじ

黒澤明の代表作であり、ルーカス、スピルバーグら後世の映画人に多大な影響を与えた「七人の侍」。撮影日数148日、予算の五倍の費用を投じた大作の製作過程には、いかなるドラマがあったのか。豊富な資料をもとに、日本映画界の至宝とも言うべき作品の誕生を追った迫真のドキュメンタリー。

感想・レビュー・書評

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  • BSをついつい録画して、またも一気見してしまって、その夜2時くらいまでかけて読んだ。
    制作準備。あとはストーリーに従って、筋の紹介とトリビアを織り交ぜながら進めていく。
    映画のテーマについて言及するときは、どうかしているくらい黒澤礼讃に思えてしまうが、この感想は読者たる私側の「逆贔屓目」だろう。
    そもそも映画自体が雄弁にテーマを語っているのだから、それを文章で繰り返そうとすると黒澤が映画に込めた自身の理想像を語りなおすことになってしまう、からだ。
    いま本が手元にない状態でつらつら思い出すに……
    ・脚本3人体制。
    ・『本朝武芸小伝』や塚原卜伝といった下敷きの存在。
    ・魂はドストエフスキーに、筋はトルストイ「戦争と平和」に、あともうひとつ失念してしまったがロシアの小説を下敷きに。
    ・キャスティングについて。利吉役の土屋嘉男について、彼は笑うと暗い顔になるのがいいんだよね。平八役の千秋実は気楽なムードメーカーなのに、実際は緊張で唇が青くなるほど、緊張をほぐすためにキャッチボールをしたり炭坑節を歌わせたり。久蔵役の宮口精二は線が細くてどうかと心配していたが、菊千代が盤木を鳴らしてすわ野武士かと駆けつける場面で一番足が速く上体がブレなかったので、よかった。
    ・大量の衣装。役者の普段着にさせて馴染ませる。
    ・小屋の壁や床の質感は、何度もこすって。
    ・ロケ現場が数か所に分散。
    ・馬の扱いづらさ……外国から仕入れた馬らしい。
    ・繰り返し撮影できないからこその、望遠カメラとカメラ数台主義。
    ・小屋を焼くときはガソリンで……京アニを思えばガソリンはやばい。
    ・菊千代は侍と百姓の「楔」。
    ・黒澤のロケ宿泊での横暴ぶり・幼児性・バイタリティ。

  • 世界に賞賛され何度観ても面白い映画の製作秘話を丹念に綴った逸品。何度読み返しても面白い。

  • (01)
    この映画をめぐるさまざまなエピソードや証言が本書には寄せ集められており,映画の筋や進行とあわせ,その裏側を照覧することができる.
    本書に目を通すと,映画の異様や,黒澤明の威容が浮かび上がり,また映画の感動的なショットやシーンの感動味がさらに増すとともに,フレームアップやでっち上げが映画においていかに行われていたかに関心が向く.
    ロケやオープンセットの凄まじい撮影が伝わるが,本書でとらえられた黒澤の野心はシンプルな印象を受ける.彼の野心には鬱屈や屈折の様々な反射と反映があり,映画にもその複雑さは投影されている.証言やエピソードは,場面をひととおりに解釈するものではなく,場面の多面的な解釈を可能にしているように思われるが,本書はそこまでは立ち入っていない.
    いずれにしても,黒澤理解と映画「七人の侍」の入門として,楽しく,感動をもって読むことができる.

  • DVDで映画を見た直後に読んだので、ノベライズにメイキングがついたような、独立した本としては中身が薄いように感じた。もっとも、映画や出版からリアルタイムだと場面説明などがこれくらい必要だったのかもしれない。筆致は力の入った絶賛ぶりで、ちょっと引く。黒澤明といえば評価は定まっているだろうに、出版された1999年でもこんなに肩を持たなくてはならなかったのか。

  • 七人の侍がどのようにして作られていったのかが書かれている。
    読み終わった後、もう一度映画が見たくなるような書。

  • 2006年4月

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