ニッポン問題: M2:2 (朝日文庫 み 16-7)

  • 朝日新聞出版
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  • Amazon.co.jp ・本 (298ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784022615145

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  • 『M2―われらの時代に』(朝日文庫)の続編。

    「単行本前書き」で、「宮台と宮崎は馴れ合っている」という批判に対する釈明が置かれており、そこでリベラリズムとコミュニタリアニズムはほんらいレヴェルの異なる主張であり、対立的ではなく相補的だという説明がなされています。簡単にまとめると、リベラリズムは、共同体的価値の存在を前提とした上で、特定の共同体や個人における信念が自由や平等を圧殺することを防ごうとする立場だとすれば、コミュニタリアニズムは、法や公共体が諸々の価値観の仲裁をおこなう機能を必ずしも否定しないとされています。これに対して宮台は「単行本あとがき」で、リベラリズムは立場を入れ替えても耐えられるかどうかを吟味する公正原則を掲げ、コミュニタリアニズムは自由な振舞いが自由の基盤である共同体的前提を壊すという逆説に敏感であるという補足をおこない、ともに人びとが「自由」であるための前提について考えようとしていると述べています。

    「自由」の意味ではなく「自由」の前提を問題にするというのは、いかにも宮台らしい問題設定だと感じます。「この私」といった実存的な主体は存在するけれども、社会思想の認識対象にはならず、仏教的な世界把握においても実体性を否定されるということで、両者の立場の結節点となっています。

    いくつかおもしろい議論もありましたが、私自身が経済学的な素養をまったく欠いているため、理解できないところも多々ありました。もうちょっと勉強してから読んだ方がよかったかもしれません。

  • m2の対談本の第2弾。

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著者プロフィール

宮台真司:1959年宮城県生まれ。社会学者、映画評論家。東京都立大学教授。1993年からブルセラ、援助交際、オウム真理教などを論じる。著書に『まちづくりの哲学』(共著、2016年、ミネルヴァ書房)、『制服少女たちの選択』(1994年、講談社)、『終わりなき日常を生きろ』(1996年、筑摩書房)、『私たちはどこから来て、どこへ行くのか』(2014年、幻冬舎)など。インターネット放送局ビデオニュース・ドットコムでは、神保哲生とともに「マル激トーク・オン・ディマンド」のホストを務めている。

「2024年 『ルポ 日本異界地図』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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