梅原猛の授業仏教 (朝日文庫 う 10-2)

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  • 朝日新聞出版
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  • Amazon.co.jp ・本 (302ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784022615190

感想・レビュー・書評

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  • 表紙が仏像だし、タイトルが仏教の授業だから何となく敬遠してしまいそうだが、中身は柔らかい口語調で分かりやすい。なぜなら、梅原猛が中学生向けに授業をした内容を起こしたものだからだ。

    宗教は必要か否かを学生にディベートして貰ったり、日本独特の仏教の歴史、その開祖の人間性を分かり易く説明してくれる。それを文学や現代社会にも当てはめながら考える。親鸞とか空海とか、この本を読んでもっと深く知りたいという気になりました。

  • 梅原先生が2001年に中学生に行った全12回の「宗教」の授業。仏教を中心としてキリスト教やユダヤ教、イスラム教などの宗教。そして「宗教のない文明はない」ということでハンチントンの『文明の衝突』や直後に起こった9.11を引用しながら「世界は多を含むことによってすばらしい」と諭している。仏教のみならず人類の「いちばん大切なこと」かもしれない。

  • 日本の基礎を作った聖徳太子が重んじたのは、法華経だった。これは平安時代に最澄が天台宗として引き継ぎ、鎌倉時代には日蓮の教えにつながっていく。鎌倉時代は、今の日本で最も栄えている宗派が生まれた時代だと筆者は言う。それが浄土宗、禅宗、それから日蓮宗。やがて禅宗は室町、江戸と幕府の厚い保護を受ける。

  • 中学校での仏教の授業の様子を収録。日常の例えを交えながらわかりやすく講義。生徒との質疑の記録も新鮮。
    梅原仏教は20世紀後半に生まれるべくして生まれた、と思わせる。

  • ずっと積読されていた本。20年経ってやっと手に取った感じです。洛南中学校で12回にわたって行われた授業をまとめたものらしく、とても優しく、宗教と仏教全般について語ったもの。個人的には日本に色々ある仏教の宗派と自分の菩提寺の宗派である曹洞宗の位置づけが判ったような気がして良かった。全12回の構成は
    1.なぜ宗教が必要なのだろうか
    2.すべての文明には宗教がある
    3.釈迦の人生と思想を考える
    4.大乗仏教は山から町へ下りた
    5.生活における仏教の道徳
    6.討論:人生に宗教は必要か
    7.日本は仏教国家になった 聖徳太子、行基、最澄
    8.空海が密教をもたらした
    9.鎌倉は新しい仏教の時代(1) 法然と親鸞
    10.鎌倉は新しい仏教の時代(2) 日蓮と禅
    11.現代の仏教はどうなっているのか
    12.今こそ仏教が求められている
    という構成。道徳を身につけるためには宗教が必要。これからは文明の衝突になること。一神教と多神教、多神教である仏教と多神教の多様性を認める心。後は仏教の考え方、11の現代の仏教はどうなっているのかに書かれていたのは、先日読んだ「国家を超える宗教」と同じコンテクストだったような気がする。とても勉強になりました。

  • どこかの中学校で梅原先生が講義したものをまとめたもの…すごいなぁ,というか,すごい内容だよ.なぜ人は宗教が必要かすごくよく分かる内容.

  • 梅原さん3人のお孫さんも通う洛南中学3年生に行った、2001年実施の前11回の授業と1回の討論会。
    討論「人生に宗教は必要か」で宗教がなくても倫理や道徳があれば十分ではないかという意見にわたしもそう思ってるのだが、切り花がすぐ枯れることに例えて宗教という根があるから道徳という花が咲き続けるなどの例をもって両者の密接関係を説明してくれた。この疑問はまだ解けていないのでこれからことあるごとに振り返ろうと思う。
    「現代は思想ではなく文明の対立時代になっており、その観点でみると世界の諸問題が少し見えてくる」も確かに。

  • 自分が思っていたのと違うという少し違和感のある読了感だった。

  • 39098

  • 小学生中学生で、もっとも重要なことが教えられていない。
    道徳。人の道。
    してはいけないこと、すべきこと、そういうことがちゃんと教えられていないのが、今の日本の教育の大きな欠陥です。………

    そんなところから、始まる授業の記録です。
    中学校3年生に向けて、半年間に渡って続けられたそうで、
    読みながら、本当にうらやましくなりました。

    …もうひとつ大事な徳があります。それは忍辱(にんにく)です。忍辱は忍耐とはちょっと違う。忍辱とは辱(はずかし)めを耐えろということ。皆さん、侮辱されたり、軽蔑されることがあるだろう。それに耐える。これは大変です。そういう忍辱が足りないために、電車のなかで席を詰めてと言われたのに腹を立てて人を殺したということが最近あった。これは忍辱がゼロなんだ。
    人生には、失敗して死にたいと思うことが必ずあるよ。そのときに暴発して犯罪を犯したり自殺をしたりするのは忍がたりない。じっと耐え忍ばなくちゃならない。そういうときが人生には何回かある。そのときには忍んで、辱めに耐える。これが大事です。

    こんな言葉を14歳でもらえたら、人生違ったものになるよね。

    授業は聴けずとも、本は読める。
    何歳からでも 人生は立て直せる。

    中学生向けの授業がベースなので、
    とても平易な言葉で、例えも豊富で分かりやすいです。
    なにより、子どもたちに伝えたいんだ!という愛情を感じる言葉がいっぱいです。

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著者プロフィール

哲学者。『隠された十字架』『水底の歌』で、それぞれ毎日出版文化賞、大佛次郎賞を受賞。縄文時代から近代までを視野に収め、文学・歴史・宗教等を包括して日本文化の深層を解明する〈梅原日本学〉を確立の後、能を研究。

「2016年 『世阿弥を学び、世阿弥に学ぶ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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