薩英戦争 遠い崖2 アーネスト・サトウ日記抄 (朝日文庫 は 29-2)
- 朝日新聞社 (2007年10月10日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (440ページ)
- / ISBN・EAN: 9784022615442
作品紹介・あらすじ
薩英戦争、四ケ国連合艦隊による下関遠征-幕府、薩摩、長州との緊迫した駆け引きと闘いが繰り広げられる。通訳生サトウによる、息づまる従軍の記録。倒幕派の伊藤俊輔(博文)や井上聞多(馨)らとの出会いと交友。英国公使オールコックは帰国し、新たにパークスが上海から着任する。
感想・レビュー・書評
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★2010年74冊目読了『薩英戦争 遠い崖-アーネスト・サトウ日記抄』萩原延壽著 評価B
圧倒的な軍事力により英国の勝利に終わった薩英戦争から下関戦争を経て、薩摩、長州が開国に向けて諸外国に対して好意的に変わり、西洋文明の力を利用して富国強兵へ大きく舵を切っていく時期を描く。
興味深いのは、英国が自国利益のために、日本の開国を幕府に迫っていくその論理と政策であり、またその圧倒的な極東における貿易支配力と情報収集力。英国は、この本の主人公とも言えるアーネスト・サトウの個人的友人を武器に、幕府のみならず薩摩、長州等の雄藩の要人とも交友を重ね、日本国内における討幕運動、攘夷運動など裏面まで立ち入った情報を元にしっかりと戦略的に日本に食い込む力を存分に発揮していた所に大きな驚きを感じる。伊藤博文、井上馨、西郷隆盛、木戸孝允など明治の元勲とも幕末から個人的な付き合いを継続していた、その慧眼ぶりには当時の大国の底力を痛感させられる。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
「薩英戦争」編読了^^; 歴史は多方面から検証する。
それを実感致しました。開国を「ペリー来航」一行で片付けては行けないのをこの本読んでわかりました。 -
薩英戦争、いよいよ開戦、そして戦後処理とともに外国船を砲撃した下関砲台の4か国連合艦隊の攻撃・占領へ。戦いはわずか数日であるが、そのまえの英国本国とオールコック公使との書簡を通じた心理戦には攻める側にも大きな葛藤があることを示めすものである。そしれ快勝にもかかわらず英国・日本の距離のために誤解の本国召還でオールコックは離日するであった。
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薩英戦争 と 四ヶ国連合艦隊の下関遠征 の直後から、薩摩藩・長州藩それぞれからの英国への接近・親和の動きが面白い。
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幕末当時のイギリスとフランスのせめぎ合いが面白い。当時、フランスのロッシュが巻き返しを図るも、対日貿易の約85%をイギリスが占めていた事実に驚く。(フランスは約8%)
仮にフランスが幕府側についたとしても、この貿易の比率の高さが、イギリスの本気度を高めていたのだと思う。
また、アーネスト・サトウのように戦略的に日本語を話せる外交官を育てたこともフランスのスタンスと異なり、イギリス外交の懐の深さを感じる。 -
2007.12.21