期待と回想 語りおろし伝 (朝日文庫 つ 12-1)

著者 : 鶴見俊輔
  • 朝日新聞社 (2008年1月11日発売)
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  • Amazon.co.jp ・本 (654ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784022615596

作品紹介・あらすじ

私は不良少年だった-。15歳で留学したアメリカで新しい哲学運動と出会い、逮捕され交換船で帰国。バタビアで戦争を体験する。戦後の「思想の科学」「べ平連」での活動、読書の魅力、同時代の知識人など、豊富な話題を自在に語る。日本を代表する哲学者の対話による思索的な自伝。

期待と回想 語りおろし伝 (朝日文庫 つ 12-1)の感想・レビュー・書評

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  • 著者の自伝的回想だが、学問的な回想で、プラグマティズムの話から広がる哲学の話。戦後の思想史が垣間見えて興味深かった。

  • 鶴見俊輔の思想は、母親との関係に始まり、それに終わる。すべての著作は、どれも母親に対する返答だとさえ言っている。むしろそれでしかない。にもかかわらず、著者にとってはごく私的な一連の著作が普遍性を勝ち得ているのはなぜか、と思いながら読んだが、読み進むにつれてそれが次第に明らかになってくる。

    それは鶴見俊輔が何より「たった一回しか経験できない生」に重きを置いているからだろう。伝記を多く書いているのもうなずける。
    哲学というと、個人を超越し、抽象し、最後に人類普遍のエッセンスに辿り着く、みたいなイメージだけれど、鶴見俊輔は逆だ。
    ひたすら個人的事情にこだわり根を下ろし、その上で世の中の現象を、歴史を、眺めてゆく。抽象を語る際にも具体物を必要とする。それこそが氏にとっての「哲学」だ(一般的な語法からすれば、「思想」といった方が近いかもしれない)。
    一個人の人生=思想。
    そして、鶴見氏の評価する思想はみな、深いレベルで、どれだけ時代が激変しようが一貫性がある(たとえ、一見して行動に矛盾があるとしても)。
    「深いレベルで」というのは無意識においてということで、氏自身が鬱病を3回経験して、それはいわゆる哲学的理性でどうこうできる話ではなく、無意識の怖さを人一倍知っているがゆえに、彼にとっては「転向」も一概に定義できない。

    本作で著者は、哲学とユーモアは相容れないと語っていた。それでいくと著者は哲学者ではないのかもしれない。と同時に、著者自身、どこかドンキ・ホーテ的な滑稽さがあり、大江健三郎に似た匂いがした。

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