- Amazon.co.jp ・本 (393ページ)
- / ISBN・EAN: 9784022615657
感想・レビュー・書評
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東電社長「原発をやめろ…だと? いっそのこと、東京を大停電にしてやろうか」
今の状況を予言したかのような出だしから始まる物語である。
もう原発はダメだ!こうこう、こうだ。ひど過ぎる…
じゃあ代替はどうする?
地熱こそそれになり得るポテンシャルを秘めてるけど、こんなに問題がいろいろあるんだ!
原発についての情報はかなり正しい。地熱についてはほとんど知らなかったので勉強になった。
ストーリーが平坦なのでお話としてはどうかなというところはあるけど、個人的に、御室と高山の人生の絡みが感動。
陰謀を秘めた詭弁に魂が宿り、いつかそれに情熱を燃やしていった後の運命。想いの交錯。泣ける。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
外資系ファンドの野上妙子は、地熱発電を運営する会社の再建を任される。地熱発電に命をかける老研究者、それを政争に利用する政治家、欧米からの執拗な圧力など、さまざまな思惑が交錯する中で、地熱ビジネスは成功するのか―ドラマ「ハゲタカ」の著者が描く大型経済情報小説。
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発電の話。仕組みなどの難しい話が多かったが、全般わかりやすかった。
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名言めいたものが各所に。
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2010年12月 03/101
地熱発電の話。
研究者の想いや、事業を再建させる主人公の想い、政治家や経営者達のそれぞれの思惑が絡んで行く。この交錯感がたまらない。
地熱発電の現場をとても見てみたくなります。工場見学熱を掻き立てる作品。 -
ハゲタカの作者 真山仁さんの作品
コールドバーグ・キャピタルの野上妙子は地熱発電の会社の再建を任される。
電力の主力になろうとしている原子力と比べて、コストがかかるといわれる地熱にこだわる上層部に翻弄されながらも妙子は地熱ビジネスに光明を見出す。
企業再生ビジネスの泥臭さを感じるとともにそのやりがいがあるようにも思えた。ビジネスの裏に政治あり、一企業のみを見ていても事業はうまくいかない。特にインフラ産業というものは政治が介入してくる分野なのだなと感じた。
企業再生の外科的措置として主に財務的リストラ、人的リストラ、不採算事業の切り離しがある。
また各発電方法ごとの発電単価(1キロワットアワーを発電するのにかかるコスト)
原子力(5.9±数円)、地熱(16円)など非常にへ~と思うようなデータも多数出てきて、電力事業に対する興味が出てきた。
本書で登場する地熱発電の前に
発電についてのメモ
すべての発電は動力を何で得るかが違うだけで、水を熱した蒸気の力でタービン(大きなモーター)を回すことで発電される。(蒸気を発生させるのが火力であるか、原子力であるかの違いだけ)
およそ地下2000~3000mにはマグマによって熱せられた地熱貯留層と呼ばれる高温高圧の層が存在する。
この地熱貯留層の温度は200℃ほどあるのだが、ここに存在する熱水を生産井と呼ばれる管より利用することで蒸気が発生する。
この蒸気から不純物などを除いてタービンを回すことで発電を行う。さらに地下より得た熱水は冷却して還元井を用いて地熱貯留層へと戻す。これによって半永久的に動力を得ることができる。
夢のような動力であるが、このようなマグマ層が存在するのが、国立公園内に存在することや、環境省などによる景観保護など種々の規制によって動きにくいこと、ランニングコストはかからなくても開発コストがかかる(地層の調査なども含めて)ことからあまり注目されていないという背景があるらしい。
また発電所一基あたりの発電量も原子力が100万KW、火力50万KWに対して地熱5万KWと大変低いことも背景にある。
新エネルギーに興味ある人はぜひ読んでみてください。 -
投資ファンドが再建先に行って奮闘する姿を見ることができる。
地熱発電所を建設するためにさまざまな方法を使って話を前に
進める。外資系ファンドのダイナミックなビジネスが垣間見れた。 -
わくわくしながら読めたのは良かったね。
エネルギー関して、全くの無知だったので、好奇心が駆り立てられて良かった。
エネルギーの可能性。
これは勉強にもなるね。
エネルギーについて学んでみたくなった。
そして、ビジネスをする時には新しくルールを作って、一気に攻める。
昨日を守るリスクから解放されるためにも強引さは必要だと感じだ。
「対案のない批判なんぞ不毛の極致だからね。」
これは最低条件。
そして、新しくルールを作る。
それも強引にでも。
でないと上を突破するのは不可能に思える日々この頃とを移し合わせていました。 -
テレビの世界、実は政治が握っている。テレビの役割とは。視聴者としてテレビとどう向かい合うか、考えさせられる。
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地熱発電?ナニソレ?と思ってましたけども、そこは流石の真山さん。
ほほー、そうだったのか。知らなかった。なるほどねぇ~。
てな具合に、地熱発電ってどんなもん?ってことがスッと入ってくるかんじ。主人公が地熱発電なんて言葉しか知らない、っていう設定で、主人公に感情移入しながらお勉強出来る。
ビジネスとして云々、っていうよりも、男のロマンとかプライドに共感しながら熱中して読んだ。相変わらずどれも真山作品はページを開けば止まらなくなる。
繰り広げられる人間ドラマも変わらず魅力的だけども、今回は身近な"電気"について、思いもしなかった事が多々学べた。エコだなんだと騒ぐ前に、この作品を読んでみて欲しい。