新聞と戦争 上 (朝日文庫)

  • 朝日新聞出版
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  • Amazon.co.jp ・本 (456ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784022617019

作品紹介・あらすじ

満州事変から太平洋戦争へと向かうなか、新聞はなぜ戦争協力の深みにはまっていったのか。朝日新聞が負の歴史に初めて真正面から向き合った、日本ジャーナリスト会議大賞受賞のノンフィクション。貴重な当時の紙面や写真もふんだんに使用、上巻には1章から11章までを収録。

感想・レビュー・書評

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  • 八章の「社論の転換」が恐らくこの連載の肝であり、確かに読み応えある。満州事変をきっかけに対外協調路線から国策に追従する拡大路線へ朝日が社論を転換した経緯や要因、言論機関として他の方策は無かったのか、事実に即してかなり客観的に分析されている。
    これを読んで、将来日本がこのような道を歩むときがきたら、ほぼ間違いなく朝日も他のマスメディアも、前回と同じように再び道を誤るだろうと、改めて確信した。

  • 朝日新聞が戦時中になぜ戦争協力の報道に走ったのか?身内の秘密として隠され、社内で先送りにされていた真実を検証した本。指導部の判断ミスで、日本人二百四十万人が犠牲となった第二次世界大戦。その悲惨な悲劇を繰り返さないため、そして朝日新聞が情報を隠蔽し、戦争を煽るような社説の論調を2度と繰り替えなさいなめ、自戒と反省の念をこめて、この本は執筆された。上巻では社説の転換について書かれ、そのターニングポイントとなった出来事が満州事変からだと告白している。政治家をないがしろにして軍部の独裁を非難している箇所がそれまであったが、満州事変以降、軍部による鉄道の破壊という真実を隠し、偽りの報道をした。そこから戦局は悪化し、朝日新聞も戦争協力の咆哮へ突き進んで言ったと書かれている。当時、軍部による情報統制はあったが、もう少し、戦争を回避する報道ができたのではないかと、当時の情報を元に検証している。安倍内閣によって、他国と戦争をできる国へと日本がシフトチェンジしようとしている昨今。秘密保護法によって情報が隠され、徐々に自由が失われつつある。日本そのものが民主国家でなかった戦前の軍事国家に戻りつつあるのだ。情報が統制されていったプロセスを書いたこの本は、安倍内閣への警鐘という役割もあるのだ。

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