ルポ 資源大陸アフリカ 暴力が結ぶ貧困と繁栄 (朝日文庫)

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  • 朝日新聞出版
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  • Amazon.co.jp ・本 (352ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784022617187

作品紹介・あらすじ

石油、レアメタルなど豊富な資源の眠るアフリカ大陸。急成長の裏で、経済格差は拡大し暴力の嵐が止まない。それは一体何故か?武装勢力や人身売買組織の首謀者インタビュー、内戦中のスーダン密入国など危険も顧みず敢行した取材による傑作ルポルタージュ。

感想・レビュー・書評

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  • 著者は2004年からの4年間、ヨハネスブルクを拠点にサハラ以南を担当した毎日新聞特派員です。南ア、モザンビーク、ナイジェリア、コンゴ(旧ザイール)、スーダン、ソマリアを取材し、暴力や内戦、そしてその背景にある資源の問題、そして資源を通して我々がアフリカの暴力にいかに関わっているのかが赤裸々に語られます。
    しかし、単なる事実の羅列ではなく、紛争地帯に乗り込んで、危険を顧みず暴力の当事者に取材するリアルな姿が迫力満点です。
    アフリカという遠い国々の暴力が、我々の日常に結びついている。アフリカがぐっと身近になるとともに、自分が暴力の当事者ではないのに、実は関係者である事実におののくのです。

  • 資源の豊富なアフリカ大陸。その資源を基に徐々に経済発展し、人々が豊かになって来ているように見えるアフリカ。
    しかし皮肉にもそのことが内戦、人種差別、格差増大、犯罪の多発、汚職の蔓延、果ては人身売買まで行われているという。その現状を現地取材を基に克明に記した本。
    もとは2009年発行の本だが、現状も大きく改善されているとは思えない。

  • 以前「blood diamond」というDVDを観た。極めて現実に近く、観ておくべきと言われたからだ。内容はその名の通り、ダイアモンドというお金を生む資源をめぐる争いで、資本主義の名の下に人生を翻弄された人たちの物語だ。内戦、虐殺、レイプ…。アフリカに対するイメージとして、血で血を洗う暴力の連鎖というのを植え付けるには十分だった。その前は「Darwin's nightmare」というたしかビクトリア湖に棲む、金を生む外来魚に人生を狂わせられ、どうしようもない貧困の連鎖に巻き込まれた人たちのルポルタージュの映画だった。
    本書の内容もそこ期待を裏切ることなく、内戦、犯罪、貧困。それに加え政治経済の実態、武装組織の資金源、そこに到る経緯の歴史的背景などを著者が命を削るような取材から得た情報で記されいる。
    特に、賄賂で国境を簡単に越えれたり、犯罪を見逃してもらえたりすることには、一体法律とは誰のための何のためのものなのかと思ってしまう。法律を守っていては生きていけないのならば、その法の恩恵は誰が受けているのかと思う。一部の特権階級だけなのか。しかし、公務員には賄賂なしで生活できるだけの十分な給与を与えねば、秩序がなくなるのは間違いなさそうだ。資本至上主義のような現実を見るようで恐かった。
    印象に残っているワードがいくつかあって、「金持ちは貧乏人のことを何も知らないが、貧乏人は金持ちの生活のすべてを見ている」「格差が拡大すると犯罪などの"暴力"が増える」これはアフリカでは強盗等犯罪につながりやすいが、その「妬み」や「不満」「劣等感」の表現方法は国によって現れ方が異なるとぼくも思う。日本においては著者の指摘する通り、ネットでの言葉の暴力であったり、いじめ、さらには自殺という形で現れているのではないかと思う。
    そして、アフリカでは巨大な格差から生じる絶望や憎悪が犯罪となって社会に染み出し、結局は富裕層の暮らしをも根底から脅かす事態となっている。産油国ナイジェリアの犯罪組織は世界を蝕み、無政府国家ソマリアの混乱は海賊の出没という形で国際社会を揺さぶっている。カネがものを言う世界を考え直すべき時期がまさに今なのではないかと思う。すべては周りまわって、何らかのカタチで返ってくる。そんな風に感じてならない。
    最後に、自身が犯罪の被害に遭って恐い思いをしたにも関わらず、著者のアフリカでの任期が終わり帰国時に「日本に帰りたくない」と長女に言わせたアフリカの魅力に興味を持った。少しアフリカとの距離が縮まった、そんな気がした。

  • 読みやすい。データも細かすぎず、各国、三ヶ月にも渡る長い取材をうまくまとめてある。
    取材で大変だったことも多かったと思うが、そのような細かく具体的なことが省かれていた。
    そのリアルさを代償に、ルポにありがちな冗長性や筋の曖昧さもなく、各国を概観しやすくなっている。
    また、その国の事情に関係する他の国にも取材に行きグローバルなつながりをきちんと見せているあたり、
    (取材費と自由度の面で)流石NHK。

  • アフリカ大陸における暴力と犯罪、それに於ける資源の利用への構図
    読んでいて暗澹たる気持ちになるが、アフリカの状態を知ることが出来る

  • アフリカといっても、それぞれの国で問題とその原因が様々にある。異常な格差、人種差別、民族の歴史的な軋轢、官憲の腐敗、さらには先進国の資源開発も治安の悪化を助長しているケースもある。
    本を読んだあと、分かった気になったり、単純化してしまうことがあるが、この本を読むと複雑さを認識してもっと勉強する必要があると気づかされる。
    日本で生活していても、資源・暴力を通じてアフリカとつながっている。知らなければいけないことがたくさんあるな。

  • いつか最新版が出てほしい。

  • かなりの良書。著者のジャーナリスト魂には感心した。
    数年前の記事だが、新鮮な情報も多かった。
    ・南ア、モザンビーク、鉱業による富が格差、そして犯罪率に
    ・コンゴのItriの金鉱山と南ア企業の話
    ・ナイジャーデルタの地元政府の腐敗、その手下である武装勢力
    ・ベンバ氏、コンゴのナショナリズム
    ・スーダン武装勢力とディアスポラの支援

  • この本から学んだことは数多くある。大きな2つを挙げると、「真のジャーナリズムとは」「アフリカの暴力とは」。
    著者もあとがきで書いていたが、現在の日本の記者クラブを批判する声は大きい。記者クラブから解き放たれ、著者のように、行くべきところに行き取材をする姿勢に感動した。
    また内容に関して。紛争や殺人など絶対にいけないとはわかっていても複雑な状況の下、起こってしまう悲劇。もちろん先進国である日本が関係ないわけはない。治安のいい日本に住んでいては実感がないのだが、こういう現実をしっかり認識することはたいへん重要であると感じた。

  • 第一章だけ読んだところだが、あまりの凄まじさに驚き眠気が覚めてしまた。

    日本の大手メディアにもまだこういう記者がいたのかとうならされる。

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