学力と階層 (朝日文庫)

著者 : 苅谷剛彦
  • 朝日新聞出版 (2012年8月7日発売)
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  • Amazon.co.jp ・本 (344ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784022617347

作品紹介

「学習資本」の階層差がますます拡大する日本の教育。「出身階層」という社会的条件の違いが子どもたちにもたらす決定的な差について警鐘を鳴らす。90年代以降、迷走を続けた教育政策を豊富なデータとともに検証。学力問題の第一人者が説く処方箋。

学力と階層 (朝日文庫)の感想・レビュー・書評

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  • この本の逸脱な所は、統計調査から精緻な分析を行い、
    そこから導きだされたファクトを世に知らしめたことです。

    この本の前半から中盤部分では、統計分析から、日本は既に「階層化」していると喝破し、
    「親の学歴は、子の学歴や学習へのやる気」に多大な影響を与えているとしています。
    出版されて、だいぶ経ちますが、このファクトを知った時は、かなり衝撃的でした。
    「何となく、そうだろう」と思っていたことが、はっきりと社会科学的に証明されたからです。

    また、この著作の後半部分は、より衝撃的な指摘を行っています。
    それは、「今後、日本社会は、【学習能力】が資本になる」ということです。
    そして、その学習能力の資本が、社会のあり方と人間形成に深く関わるようになるとの指摘です。

    つまり、学習資本主義社会の出現です。
    学習能力とその成果で人的資本形成とが社会を形作る要となるということです。

    10年以上も前に予言されたことが、今、まさしく現実になっています。
    恐らく世界の先進国と呼ばれる国で、学習資本主義が出現し、学習資本の獲得が、
    個人が、社会的経済的に上昇しうる(成功する)必要条件になっています。

    つまり、今後ますます、学習資本を持たないものは、
    社会で増々不利な立場になるということです。

    この点から考えて、多くの日本人が置かれている状況は非常に厳しいと言わざるを得ません。
    まず人口減少・少子化・超高齢化・生産年齢人口の減少(毎年1%減る)に始まる日本社会の構造的な問題と、
    それに伴う移行期的混乱です。経済規模を維持するのも厳しい状況になっています。
    労働者の数が、長期にわたって確実に減ることが予想され、また、消費者自体も減るので、
    企業経営も、抜本的な変化が求められるようになりました。
    これから増々、求められる仕事のレベルが高くなり、また過酷な競争社会になります。
    今、必要なのは、そういう社会で求められる、学習能力です。

    では、学習能力を日本人は身につけているのでしょうか?
    答えは、、ますます身につけなくなっています。
    それは、日本の大学生の学習時間が先進国とダントツに低いことにもはっきり表れています。
    また、高校生を対象とした調査で、将来への希望のなさ、悲観さも、先進国でダントツに高い状況です。

    質でも量でも、学習能力を持たない学生が、日本社会では、以前も今も、
    (不謹慎な言い方ですが)量産され続けているのが、現状です。

    学習能力の獲得は、かなり早い時期から準備をし、育て、発展させなくてはいけません。
    しかし、現状、日本の教育では、学習能力を獲得するのは、極めて困難になっています。
    1人でも多くの日本人が、学習能力を獲得し、学び続ける意欲を持って、この時代に対応できるように、
    変化し続けなくてはいけません。

    その意味でも、この著作は、「考えるきっかけ」を与えてくれる、
    ランドマーク的著作となっています。

  • 学力階層間における、経済的、文化的要因。教育基本法改正の是非。

    子供の学力レベルが、経済的及び文化的環境に左右されるというのは自明な話ではある。当然、家庭の環境によって子供の学力が制限され、ひいては将来の収入にも繋がってくるというのだから、対策が講じられるべきであるとは思うが、その一方で家庭内の状況に介入することは不可能であり、手詰まり感もある。
    経済的格差が文化的格差の要因にもなっているのであるから、手を打つべき(そして手を打つことができる)のは、経済的な側面だけであろう。その他の分野に直接的な対策をとるのは難しいように感じられる。

  • what以上にhowの勉強に

  • 酒井 穣さん

  • 消化不良のまま読み終わった。統計資料については、素人の私は著者の分析を信じるしかない。そうは言ってもなあ、と思うことがなくもない。教員の年齢構成は分かった。人件費がかかるということ、今後大きな世代交代が起こるということも分かった。けれど、それでどうすればよいのかという著者の声は伝わってこない。教員の勤務実態もアンケートからある程度分かる。それで、サボる教員にはどう対応すればよいのか(今読んでいるゲーム理論の本にちょっと答えらしきものがある)、もともと著者は教員に対してあまいのではないか、などなど、著者がどういう意見を持っているのかがよく分からなかった。大学受験の仕組みにも問題はあるのだろう。履修と習得の違いも分かった。けれど、ではそれでどうしていくべきなのか。短絡的な答えを求めてはいけないのだろう。教育はそんな単純な原因と結果ではすまされない。そうは言っても、何か指針がほしい。どうも、こういった社会学系の調査報告では、著者自身の考えを読み取ることができずに、消化不良に終わることが多い。もっとも、森毅に(思想的に)育てられた私は、教員にそんな期待をしているわけでもないし、本書も単なる事実の羅列と割り切って読んでおけばよいのかもしれない。

  • この本を手に取った理由は、
    「学ぶことをあきらめようと思った」から。

    ドンナになぞっても血肉にならない人が自分なんだと、気持ちを整理するため、手元に置いた。

    何度繰り返しても覚えてないし、比べることもできないから理解もできない。そして先へ進めない。
    復習しすぎて意味をうまく考えることができず、作業になる。そんな堂々めぐりの、発展性もないから、気持ちが折れる。

    思考停止。

    甘えといえばそうだけれど、「やろうやろう」というニート思考な愚図には、勉強という抽象的なものは、「最悪な落とし穴」だった。

    自分のペースで生きるということが、「学ぶこと」によって破壊されている・・なんて、中学生の黒歴史みたいな考えがあと追いかけてくる気がするくらいにはグダグダしていたから。

    いつだってこれからと思う、場違いな自分を少しでも正面から向き合いたい、壁になる本であってほしい。

    そんな本。

  • 学力階層間における、経済的、文化的要因。教育基本法改正の是非。

    子供の学力レベルが、経済的及び文化的環境に左右されるというのは自明な話ではある。当然、家庭の環境によって子供の学力が制限され、ひいては将来の収入にも繋がってくるというのだから、対策が講じられるべきであるとは思うが、その一方で家庭内の状況に介入することは不可能であり、手詰まり感もある。
    経済的格差が文化的格差の要因にもなっているのであるから、手を打つべき(そして手を打つことができる)のは、経済的な側面だけであろう。その他の分野に直接的な対策をとるのは難しいように感じられる。

  • 勉強したくなる

  • 通読すると”はじめに”や「解説」に書かれているような著者の主張は、ぼんやりとだが分かる。集められた論文には良く分かるものもあれば、何を言っているのかさっぱり分からないものもあった。

    義務教育において、教育機会の均等は、そのスタート地点(学習能力、学習機会)は全員同じが前提条件であった。そしてこの前提条件について誰もが疑問を呈してこなかった。しかし、著者はこの前提条件に疑問を持ち、実証データを用いてそれを証明した。家庭環境(親が大卒か否か)や支給される教育機会(学校だけかプラス塾か)によって→はじめに、解説参照。

    家庭環境により努力することを諦めてしまう。それが連鎖して階級を形成する。

    自分の場合を考えると家庭環境的に裕福とは言えなかったが、周りに努力することを諦めてしまった人はいなかったように思う(もちろん見た目に死に物狂いで努力している人もいなかったが)。自分も努力をすれば良い学校、会社に行けると漠然と考えてはいたが、たいして努力もしなかったが、勉強がまったく分からないわけでもなかった。あの時代にも格差はあったが、生活範囲内の社会を見ればまだ全体的に貧しかったように思う。だから親も頑張ればと子に期待をかけられたのかもしれない(期待に添えたとは言えない今現在だが)。または両親がその当時終わりつつあった教養主義への信奉をまだ持っていたせいかもしれない。

    参照書評:http://book.asahi.com/ebook/master/2013041800002.html

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