旅の途中 ジャーナリストとしての私をつくった39人との出会い (朝日文庫)
- 朝日新聞出版 (2013年1月4日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (496ページ)
- / ISBN・EAN: 9784022617484
作品紹介・あらすじ
後藤田正晴と出会い「人物論」を信じなくなったこと。年々「教えること」に熱心になり忙しくなるという小澤征爾との共通点。新聞、雑誌、テレビと多方面で活躍した著者が、人生の座標軸となった個性的な面々を描きながら、自らの生き方と矜持をつづる。
感想・レビュー・書評
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「ニュースステーションより遅い時間にやっているニュース番組で、ちょっと小難しい話をするオジサン」
ざっくり言うと私の中の筑紫さん像はこの程度でした。どんな話題でも会話が成立しているのを見て漠然と「この人凄いなぁ」と思っていた記憶があります。
そんな筑紫さんが接してきた数多の人々を紹介しながら、人との関わり合いを通して自分を表現することを試みたのがこの本、とのこと。
筑紫さんって、人の何倍もの時間を生きていたのかもしれないなと思う…そんな密度です。読んでいて楽しかった…。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
自伝を書いてくれと頼まれた筑紫が考えたのが,「自分と出会ってきた人とのかかわりを書くことで,自分の生きてきた一部分を示していく」というやり方だった。筑紫の言葉を借りると「他人様に読んでもらうほどのことはやっていない。それでも強いて何かを書くとすれば,自分が出会ってきた他人様のことしかないだろう―というものだった」。
他人様との貴重な出会いを導いてくれたのは,ジャーナリストとしての指名と言うよりも,文字通り,好奇心の旺盛さのなせるわざのような気がする。多士済々な面々との出会いは,その度に筑紫の懐を大きく大きくしてくれたようだ。
こんな本を読むと,「わたしの出会ってきた人は,どんな人だったのだろうか」と気になってくる。名前だけでも挙げてみると,少なからず,今の自分を導いてくれたことに気づくだろう。
既に個人となった筑紫の旅の中間報告です。 -
なんと幅広い人脈なのだろう。筑紫さんのお人柄がわかります。
どれもこれも印象深いエピソード盛りだくさんだが、特に頭に残っているのは、 豊平良顯氏の言葉。
「一方に圧倒的な権力を持つ統治者がいて、他方に基本的な権利を奪われている被統治者がいる。その双方の言い分を平等に並べて伝えることのどこが公正なのか。圧倒的に弱い立場に新聞が立つことが、この不均衡を少しでも改めることに役立てば、それが公正というものではないか。」
折りしもこれを読み終えた日の週刊金曜日は筑紫哲也さんの特集。 -
新聞、雑誌、テレビと謂う3種類のメディアのなかで、であった人々。それぞれ個性的で時代を築き上げた人々。
筑紫哲也の幅広い人間関係から、戦後の昭和から経済成長の時代そして、混乱の平成までが人との出会いと交友で語られている。
私個人的には、氏の戦後の沖縄についての携わり方が参考に。