忘れられない一冊 (朝日文庫)

制作 : 週刊朝日編集部 
  • 朝日新聞出版
3.21
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本棚登録 : 138
感想 : 17
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  • Amazon.co.jp ・本 (200ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784022617583

作品紹介・あらすじ

【文学/日本文学】石川直樹氏が南極で読んだSF、辛酸なめ子氏が性のめざめを覚えた本、北村薫氏が父から受け継いだ一冊、ブックディレクターの幅允孝氏が子どもに読ませている絵本……。各界の読書家たちが披露する、とっておきの一冊とは?

感想・レビュー・書評

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  • シンプルでいて
    なんて素敵な、
    そして本好きの心をくすぐるタイトルなんやろ(笑)


    本が好きであれば
    どんなに沢山の本を読もうとも
    決して忘れることのできない
    特別な本との思い出は
    誰にもあるんじゃないかな。


    自分にとってのそれは
    中学時代に物語の楽しさと
    ミステリーの醍醐味を教えてくれた
    アガサ・クリスティーの
    そして誰もいなくなった』と
    『ナイルに死す』、
    (いやぁ~ベタやなぁ)


    そして高校時代に読んだ
    レイモンド・チャンドラーの
    『長いお別れ』。


    特にチャンドラーの小説は
    幼い頃に両親をなくし、
    強くなるために
    試行錯誤していた自分の蒼い心に
    猛烈に響いてきたのです(笑)


    松田優作や石橋陵や
    当時自分が憧れていたロックスターの殆どが読んでいた
    チャンドラーの小説。

    男を魅了するそのワケは、
    男とはなんぞやの理想型が
    余すことなく描かれていること。
    (つまり日本の侍にも通じる『痩せ我慢の美学』)


    そしてカッコ悪いことこそが
    カッコいいという
    逆説的な美学と

    詩的でストイックな文体に散りばめられた
    宝石のような名言の数々なのです。
    (日本の正当なチャンドラーの後継者は、個人的には大藪春彦でも北方謙三でもなく実は春樹さんだと思う)



    と前置きが長くなったけど(笑)
    この本、
    様々な著名作家たちの
    『忘れられない一冊』にまつわるエピソードが
    1人2ページの簡潔さで
    82人分綴られてます。


    印象に残ったのを挙げると、
    藍川京が官能小説家へと転身するキッカケとなった
    「雪の記憶」、

    冲方丁が人前で泣きながら読んだ
    「鈴の鳴る道」、

    写真家の川内倫子が魅せられた
    佐渡の海の写真集
    「NAMI」、

    タレントの清水ミチコが
    先生から薦められ夜通しハマった
    パール・バックの「大地」、

    辛酸なめ子が
    思春期に性描写に興奮した(笑)
    「王妃マリー・アントワネット」、

    夢破れシスコをさ迷う園子温を
    日本に帰ろうと決意させた
    「J・コクトー詩集」、

    辻村深月のお気に入りの鞄を壊した(笑)
    小野不由美の「屍鬼」、

    東直子が病院の待合室で息をひそめて読んだ
    星新一のショートショート、

    松本隆の作詞家としての原点となった
    ボードレールの「悪の華」、

    三浦しをんが小学生の頃夢中になった
    ウン○を食べる話の作者は誰だ!?(笑)
    など
    バラエティーに富んでます。



    それにしても
    著名人たちの本にまつわる話が読める企画本って
    「また来やがったか~」っと思いながらも
    ついつい手を出しちゃうし(笑)、

    読んでる間中ニヤニヤが止まらなくなるから
    ホンマ危険なんやけど(汗)、

    本好きなら
    抗えないですよね(^_^;)
    ↑まんまと出版社の思うツボ

    • 円軌道の外さん

      アセロラさん、遅くなりましたが、
      コメントありがとうございます!

      そうなんですよ(^o^)
      好きな作家の読書遍歴や本棚って
      ...

      アセロラさん、遅くなりましたが、
      コメントありがとうございます!

      そうなんですよ(^o^)
      好きな作家の読書遍歴や本棚って
      その人のプライベートな素の姿が透けて見えてくるので興味津々だし
      こっそり覗いてみたくなりますよね(笑)


      てか、ご紹介いただいた
      「作家の読書道」というサイト最高に面白くて、
      すっかりハマってしまいました(笑)(^ー^)

      好きな作家のインタビューにも
      よだれタラタラやし!


      いい情報ホンマにありがとうございました!
      重ね重ねですが、
      今年もよろしくお願いします♪


      アセロラさんにとって
      今年が良い年になりますように!

      2014/01/12
    • 円軌道の外さん


      shuwachoさん、コメント遅くなり
      申し訳ない!(。>A<。)

      あははは(笑)
      読書好きにとってこの手の本は
      もう条...


      shuwachoさん、コメント遅くなり
      申し訳ない!(。>A<。)

      あははは(笑)
      読書好きにとってこの手の本は
      もう条件反射的に惹きつけられますよね(^_^;)


      「読みたい本」リストがたまっていくのも
      読みたい本が見当たらないよりかは
      幸せなことだと思うし、

      ああ~、この本いいなぁ~とか、
      コレは共感するだろうなぁ~とか、
      まだ未知の読みたい本のことを考える時間って 
      何事にも代え難い幸せな時やと思います。


      それにしても
      高橋源一郎さんが
      チャンドラーのハードボイルドと
      春樹さんの作品の共通点を述べていたとは、
      ホンマ驚きました(笑)(^^;)

      確かに「長いお別れ」と「羊をめぐる冒険」は
      僕と鼠の関係性が
      マーロウとテリー・レノックスの関係とダブってきますよね。

      どちらの作品も二人の関係性は同性愛的な匂いもするとの声もあるけど、
      自分は純粋な男同士の友情と絆を描いた
      正統派ハードボイルド小説だと思ってます(^^)

      ではでは、今年もよろしくお願いします!

      shuwachoさんの
      今年一年が良い年になりますように!



      2014/01/12
    • 円軌道の外さん

      ひゃあーっ!(汗)
      kwosaさん、コメント遅くなって、
      すいません!(。>A<。)


      おっ、しをんさんのこの話、
      kwo...

      ひゃあーっ!(汗)
      kwosaさん、コメント遅くなって、
      すいません!(。>A<。)


      おっ、しをんさんのこの話、
      kwosaさんも御存知やったんですね(笑)(^ー^)
       
      そうなんです!
      作者は芥川龍之介か
      はたまた谷崎潤一郎かで悶々としていたみたいやけど(笑)
      最新の追記が載っていて
      谷崎で落ち着いたみたいです(^^;)

      意外とこういう下ネタって
      いろんな人が書いてたりするから
      記憶がゴッチャになるのもムリはないと思うなぁ~

      確か三島や乱歩でも似たような描写があった気がするし…(笑)


      ブックガイド的なものって
      キリがないのは分かってても
      目次を見て好きな作品が載っていると
      ついつい読んでまうんですよ…(;゜д゜)

      本に関する本っていうだけで
      嬉しくなってまうし(汗)


      ということで
      重ね重ねですが、
      今年もよろしくお願いします!

      あっ、自分の残酷な天使のテーゼのレビューにも
      コメント返してるので、
      また読んでみてくださいね♪

      kwosaさんの今年一年が
      良い年でありますように!



      2014/01/12
  • 私は何になるだろう?

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    「「週刊朝日」の読書欄「週刊図書館」の名物連載が文庫オリジナル版で待望の書籍化! 題名を忘れてしまっても、読み終えていなくても、たとえ失くしてしまっても……、忘れられない「本」がある。

    各界の著名人が綴る、大切な思い出に寄り添う「本」の話。

    本書を読めば、あなたにとっての大切な一冊にも、きっと出会える――。

    (登場著者名 50音順)
    藍川京 青山南 阿刀田高 安部龍太郎 新井素子 荒井良二 有栖川有栖 生島淳 井上荒野 井上章一 内澤旬子 冲方丁 海野弘 大竹聡 太田治子 大林宣彦 岡田利規 奥野修司 角幡唯介 金原瑞人 川内倫子 菊地秀行 北村薫 桐山秀樹 車谷長吉 小林エリカ 最相葉月 島田裕巳 清水ミチコ 志茂田景樹 辛酸なめ子 鈴木邦男 園子温 平安寿子 高野秀行 高橋順子 谷村志穂 旦敬介 辻村深月 出久根達郎 戸梶圭太 中島京子 中島誠之助 中野京子 長野まゆみ 中村文則 なぎら健壱 西部邁 芳賀徹 蓮見圭一 秦建日子 幅允孝 林あまり 速水健朗 東直子 久田恵 平松洋子 伏見憲明 別役実 星野博美 穂村弘 前田司郎 万城目学 松浦弥太郎 松田哲夫 松田美智子 松本隆 黛まどか 三浦しをん 宮下奈都 マイク・モラスキー 森達也 森永卓郎 森まゆみ 森山大道 諸田玲子 山折哲雄 山川静夫 山田太一 山本譲司 吉田篤弘 吉田豪」

  • このエッセイは、凄い。たいていは、おすすめの本の単なる紹介。でも、忘れられないの一言のおかげで、思い出の一コマが差し出され、推薦本とならず面白い。いやぁ参りました。

  • 各界の著名人82人の“良くも悪くも”「忘れられない一冊」のエピソードをまとめた本。表紙とタイトルだけで読み始めてしまったので、期待値を高くしすぎてしまった。各人のベスト1ともいえる本を知れると思っていたので、読んでもいない本を紹介されたのは拍子抜けだった。また各エピソードごとに本のタイトルと著者を冒頭に示してくれていたら親切だったように思う。辻村深月、中村文則、三浦しをんのエピソードは純粋に楽しめた。

  • 誰にでも思い出の1冊となる本があるのだろう。私にもある。

    それは中学校の通学途中にあった、街の小さな本屋さんで出会った。
    あの頃、夢中で読んでいたのはミステリーやサスペンスだった。
    学校帰り、いつものように文庫の棚を眺めていたら、突然、ある
    タイトルが目に飛び込んで来た。

    『敗れざる者たち』。現在も版を重ねている沢木耕太郎の作品である。
    だが、当時はタイトルの意味さえ分からなかった。それでも手にして
    いた漫画雑誌を平台に戻し、タイトルに惹かれた文庫を購入した。

    それまで読んでいた小説とは違う、ノンフィクションとの衝撃的な
    出会いだった。思い返せば私のノンフィクション志向はこの作品が
    きっかけだったのかもしれない。

    作家、タレント、評論家、画家、映画監督。各界の著名人もそれぞれ
    が「忘れられない一冊」を持っている。そんな本にまつわるエッセイ
    を集めたのが本書だ。週刊誌の連載記事だったが、こうして1冊に
    まとめると、それぞれの思い出も十人十色で面白い。

    伴侶となる人との間を繋いだ本もあれば、亡き父を思い出すよすが
    となる本もあり、どうしても読めないが本棚の片隅に鎮座している
    本もある。若かりし日の恋人との苦い別れの時期を思い出させる
    本の思い出なんて、ほろ苦いね。

    ひとりにつき、ほぼ見開き2ページの短いエッセイなので、自分が
    興味のある著名人だけを拾い読みするのも可能。

    そして、こういう本にまつわるエッセイを読むと登場する作品に
    興味がわき、読みたい本リストが増えるという罠にかかるのだ。

  • 大学院同期の方の紹介本。シュールな出会い、切ない出会い、クスリと笑える出会い。本と出会うということが、まるで人との出会いのよう。まるで言霊のように、その人の一部が本に宿るかもしれない…とか色々なことを考えてしまう一冊。買いたい本が山ほどできました。

  • 笑えるエピソードから、人生を決めた一冊まで、様々な物語とともに紹介されている。
    これまでの読書生活の中で、面白い!と思う本の多くは人からの紹介。ということで、次の本のリサーチのため、手に取る。

  • 様々な人が紹介する様々な本。どれも個人にとっての思い出と分かちがたく結ばれているため、おもしろそうな本を探すための指標というのではなく、ある一人の人を知るための一編という意味では面白い。

  • 他人の物語がここまで退屈に感じる事に、どうしてこうなってしまうのか、自分でも驚く。本そのものの良し悪しではなく、評者の人生に偶然関係した思い出の1冊を紹介しているだけなので、その本に対する想いみたいなものが伝わってこないし、その人とその本の関連性が感じられず、どの本にも興味がわかないというか、どうでもいい話のオンパレードだった。ブックガイド的なものを期待すると外す可能性大(生島氏の話はツライとは思ったが、だからと言って津波の本を読みたいとは思わない)

  • 2ページで綴る思い出の一冊。名文多数。

  • 彼女の短いメッセージ。
    ケンカ、ぐちゃぐちゃ。
    その21歳のストーリーに自分が重なってしまう切なさ。
    もう、30歳なのに。

  • 登録番号10536 分類番号019.9 ア

  • 約80人ものエッセイなので、中には日頃あまり好きでない方も知らない方もいて、好きでない方の文章はやっぱりつまらなく、好きでなかった。

    改めて読んでみたいと思った本が4冊。
    芳賀徹「私のマドレーヌ」が、本がどうこうというよりエッセイとしてダントツよかった。

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