考え方のコツ (朝日文庫)

著者 :
  • 朝日新聞出版
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感想 : 80
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  • Amazon.co.jp ・本 (208ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784022618122

作品紹介・あらすじ

仕事の最大の目的は社会の発展に寄与すること。そのためには「知ること」より「考えること」を"自分自身の新しい学び"として体得することが重要である。著者のキャリアをベースに、日々の仕事と生活に、変化と成長をもたらす35のコツを説く。『暮しの手帖』編集長が説く「仕事」と生活の指南書。

感想・レビュー・書評

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  • 1.著者;松浦氏は1965年東京生まれ。文筆家、書籍商。「暮らしの手帖」元編集長。暮らし・仕事の楽しさ・豊かさ・学びに関する執筆や雑誌連載・講演会等の活動を行う。著書多数。信条は「正直・親切・笑顔」。30代の頃は、アパートの家賃すら払えない生活。週3日は本を売り歩き、残りの4日間はアルバイトを経験したという苦労人。
    2.本書;松浦氏は書いています。「新たに学んだり、発見した働き方、今こそと思う仕事に対する新しい気持ち、そういった、仕事において自分を高めるために書き出しておいたメモをまとめたもの」、「“考え方のコツ”は、自分自身で習得しなければならない」と。仕事と生活のヒントを考察。5章→35項目の構成。第一章;思考術 第二章;想像術 第三章;コミュニケーション術 第四章;時間管理術 第五章;グローバル術。
    3.個別感想(心に残った記述を3点に絞り込み、感想と合わせて記述);
    (1)『第一章;思考術の“思考を書く事で視覚化する”』より、「頭に浮かんだ事を文字にする事で、考えを視覚化していきます。頭の中で思考しているよりもずっとスムーズだし、前に進んでいける実用性があります」「“考えのかけら(単語や走り書き、キーワード)”をひたすら白い紙に書いていくと、だんだん自分の頭の中の景色が視覚化されます」
    ●感想⇒見聞きや読んだ事を文字化するのは思考の第一歩です。私は、印象的な事を文字化し、思考に使います。仕事で、“帰納法的思考(推論構築)”と“演繹法的思考(問題解決)”という2つのやり方で蓄積した文字群を活用。A3サイズ位の不用紙(エコ)を使います。帰納法は、文字群の似たものを括り、妥当性等の推論を立てる方法。もう1つは、演繹法。白紙に数個の箱(①狙い ②現状 ③あるべき姿 ④現状×あるべき姿のギャップ ⑤解決策)を作り、文字群を埋めていきます。自分なりに論理性を判断し、解決策を考え、できる事から実行。ポイントは、あるべき姿の妥当性です。釈迦に説法ですが、読書は人間形成にとても有益です。読むだけでは勿体ないので、一言でも文字化し、思考に使ったり、振返ったりすると、きっと新しい気付きがあるでしょう。
    (2)『第二章;想像術“自分の都合よりも相手の幸せを選ぶ”』より、「こちらの都合で物事を判断する習慣は、きっぱりと払拭したい。その為にも想像力を働かせて、仕事のその先にいる人が本当に嬉しいかどうかをイメージするよう、努めています」「“自分がこうだから”ではなく、“もし自分だったら”と仮想して行動する」
    ●感想⇒上司に口うるさいほど言われました。「何事も相手の立場になって考える事だ」と。会社では、“カスタマー・ファースト(お客様第一)”を基本に仕事をする事を求められました。しかし、私のような凡人には「自分の都合よりも相手の幸せを選ぶ」というのは、理解できても実践するのは容易ではありません。譬えとして、不適切かも知れません。信号のない横断歩道を渡ろうとする際、すぐに止まってくれる車は少数です。私は、子供が横断歩道を渡ろうとしている時、必ず車を止めます(大人の時も止まります)。その子の親になったつもりになれば当然です。「相手の幸せを選ぶ」とは、こうした事の積重ねと考えます。
    (3)『第三章;コミュニケーション術“バランスをとる事”』より、「良きコミュニケーションをとる為に一番してはいけない事は、人を妬み、羨む事です」「嫉妬を遠ざける王道は、どんな人にも感謝する事」
    ●感想⇒「人を妬み、羨む事をしてはいけない」は理解できます。しかし、私は場合によって、“羨む” 事は、あっても良いと考えます。“羨む”気持ちを前向きに捉え、「自分は負けない、羨む相手以上に成功してみせる」というように、自分を鼓舞する道具に使うのです。私も、そうした気持ちで仕事に取り組んできまいた。例えば、上司や先輩に経験では勝てませんでしたが、読書では負けないと考え、努力しました。ある日、人づてに聞きました。「彼はよく勉強している」と。まだ半人前の若い頃の事ですが、嬉しくて高揚したのを覚えています。羨むライバルは必要だと思います。
    4.まとめ;松浦さんの人生哲学は、「社会の発展のために寄与する事が、仕事の最大目的である」です。その為のキーワードは、「何でも知っている人ではなく、何でも考える人になれ」と言っています。私達はわからない事があると、すぐにインターネットで調べがちで、考える事を放棄しています。問題が起きたら“現地現物”と言って、実態を注視して考えさせられたものです。こうした自分で考える積重ねが社会発展に繋がる、と思います。前述しましたが、松浦氏はアパートの家賃も払えない時を経験した苦労人です。それだけに、なおさら著者の前向きな指摘は示唆に富み共感出来ます。(以上)

    • アル野パカ夫さん
      どこかで、何でも知っている人になろうとしていた事に気が付きました。それよりも大切なのは、何でも考える人になる事ですね。これからさらに情報が溢...
      どこかで、何でも知っている人になろうとしていた事に気が付きました。それよりも大切なのは、何でも考える人になる事ですね。これからさらに情報が溢れ簡単に手に入るようになるからこそ、自分で考える事が生きてきますよね。本、読んでみます。ありがとうございます。
      2023/06/11
    • ダイちゃんさん
      アル野パカ夫さん、今日は。ダイです。貴重なコメントを頂き、ありがとうございました。饒舌なレビューを読んで貰った上に、イイネまで頂き、嬉しく思...
      アル野パカ夫さん、今日は。ダイです。貴重なコメントを頂き、ありがとうございました。饒舌なレビューを読んで貰った上に、イイネまで頂き、嬉しく思います。お礼まで。
      2023/06/11
  • 読み終えて今後の人生に活かしたいと思ったのは"前向きで未来志向"という考えです。後向きな考えでいても良いことは一つもないし、そんな自分についてきてくれる人もいないでしょう。批判は愚痴はあるけれど自分の中でうまく消化し、周囲には幸せを運べる人でありたいと思えました。弥太郎先生の文章はスッキリしていて読みやすく、芯はあるけれど優しさがある、そんな印象です。

  • 穏やかな語り口で読みやすい。

    ・時間の使い方は3つある、と心得る。
    消費の時間
    浪費の時間
    投資の時間
    その上で、今この時間が何の時間なのか、
    を把握してみる

    ・食わず嫌いをせずまずやってみて
    試してみた上で選ばない、というのだっていい。

  • 考える上での『時間』の作り方。
    考えるという行為は『ながら』では良いアイディアは浮かばない。
    時間の使い方・体の整え方・人との付き合い方。

    彼のワールド満載です。
    弥太郎さんの著書を見て思うのは、ストイックで厳しい人だなということ。

    全部は真似できないから、できそうなことから始めてみよう。

  • 松浦弥太郎さんの言葉は柔らかくすっと心に入ってきます。この本も、こうしてみようという事がたくさんでした。ネガティブに傾きがちな自分なので、「いつも幸せな自分だと考える」ことを心に留めて、感情をコントロールしようと思います。まずはここから始めます。何度でも読んで、少しずつでも実行します。

  • 松浦さんの本を初めて読んだけど、すごい好き。
    自己啓発本って大体「こうあるべきだ」みたいに強い口調でキチンと書かれてるけど、松浦さんの本はやさしくゆるくモチベーションを上げてくれる。
    少し年上の仕事ができる人に教えを乞うている感じで、アドバイスがしっくり自分の中に入ってくる。
    他の著書も読んでみたい。

  • ・積極的に「考えるための時間」を確保し、落ち着ける「考えるための環境」を整え、しかるべき手順を踏まなければ、アイデアを生み出すことはできません。

    ・午前中の1時間はあらゆることを自分の頭の中で整理し Much”を加えた5W2Hがふさわしいと思います。

    ・今でもカフェでお茶を飲んでいるとき、無意識に人や状況を観察していることがあります。「この人はどんなことをしていて、今どんなことを考えているんだろ

  • 『暮しの手帖』の編集長である著者が見出したアイデア術、仕事術についてつらつらと書かれている本です。本書全体に通底して「自分の頭で考え抜くことの大事さ」という著者のメッセージが込められています。「知識が思考の邪魔をする」とも言っており、なまじ聞きかじった知識で物事を判断せず、自分できちんと検証しなければならないと言っています。この下り、ショーペンハウアーの『読書について』でも同様のことが書かれていたことを思い出しました。孔子先生も「学びて思わざれば則ち罔し」なんて言葉を残していますね。仕事や日々の生活を送る上で見習うべき姿勢が多く書かれています。

  • 仕事とはこなしたりスピードアップさせたり追いかけたりするものではなく、日々質を高く楽しく無理をせず続けられる自分のフォームを作るもの。こうあるべきという理想を追うのではなく、自分が自分らしく仕事をするための働き方を、それぞれが工夫し発見し環境と調和を図りながら磨いていくこと。量よりも質が大切。常に前向きで未来志向であることはとても大切。そのためには、知ることよりも考えることをしなければならない。なんでも知っている人ではなく、なんでも考える人になる。1日2回。午前中と午後に「考える時間」を確保する。

  • 2023/12/10

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著者プロフィール

松浦弥太郎(まつうら・やたろう):東京生まれ。アメリカの古書店にインスパイヤーされてm&co.booksellersを立ち上げる。『暮しの手帖』編集長を経て、現在は会社経営、執筆・編集活動、映像、コンサルタント、商品開発、メディア出演など、枠を超えた活躍を続けている。著書に、『仕事のためのセンス入門』、『センス入門』、『ほんとうの味方のつくりかた』、『僕の考える投資について』、『期待値を超える』など多数。

「2022年 『それからの僕にはマラソンがあった』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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