- Amazon.co.jp ・本 (312ページ)
- / ISBN・EAN: 9784022618351
作品紹介・あらすじ
川崎での少年時代が「ヒガシ」をつくった。40代になって初めて明かす自身のルーツ、運命の出会いと別れ、ジャニーズでの生活、30年ぶりの故郷再訪で見た原風景-。ちょっぴりせつなく、心あたたまる、秘話満載の自伝的エッセー。文庫版あとがきに「五年後に思う」を加筆。
感想・レビュー・書評
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少年隊東山紀之の作られ方。40歳を超え、自身で半生を語るエッセイ。2009年から1年半続いた週刊朝日の連載を2010年に文庫化。今回、あとがきに「5年後に思う」を加えて再リリースされた。結婚し、父になったヒガシの思いが加筆されている。
祖父がロシア人、幼き時に両親離婚、川崎市のコリアンタウンで育った極貧の少年時代…ジャニーさんとの運命の出会いから、芸能界の大御所とのエピなど、かなり面白く読める。これまでヒガシにはクール、無表情、完璧主義、ナルシストのイメージがあったが、不器用、アガリ症の一面も描かれ、親しみも湧く。私が好きだったカッちゃんこと、植草克秀の性格は、まさに見たままだったこともうれしくなる。
ただし、半生を振り返るだけじゃない。全編を通し、伝わってくるのは差別ない世の中への願い、反ヘイトの精神。ルーツを、あの時代の猥雑な川崎に生まれ育ったことを明かしたヒガシの、弱者に対する温かい視線、力強いメッセージが印象的だ。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
素直な文章で綴られ又東さんの少年時代のモノクロフォトも掲載されていて読みやすいエッセイに仕上がっています。
川崎での少年時代、ジャニー喜多川さんとの運命的な出会い、初めて語るおいたち、ジャニーズでの生活、芸能界での出会いや別れ等々、どの章も興味深く、時に東さんの真っすぐな文章に感動したり感心したりしつつ読み進めました。
想像していた通りのきちんとされた方と言う印象でしたが、その陰にはおいたちから始まる人知れずの苦労や挫折があったのだと知りました。
これからの更なる活躍を応援したくなる様な1冊です。 -
ルポ川崎の舞台ともなった桜本の出身とのこと。貧しいとはいえ、リーマンショック後のBADHOP世代とはまた別の雰囲気がある。親や教師による暴力が肯定されていて理不尽に殴られまくったり、在日への差別が今よりもあからさまであったり、バブル景気に踊らされて借金を負う親など時代特有の経験も語られる。川崎は様々な問題を抱えた地域ではあるが、逆に問題が可視化されているからこそ社会運動が進んでいる地域でもある。川崎で生まれ育った経験が著者にとって多文化共生の原点になっている。
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図書館の返却本の中から、ふと手にしました。
正直好きでも嫌いでもない東山さん。
子供の頃は恵まれていたわけではなく
苦労もされていた事を初めて知りました。
目上の人をきちんと敬ったり後輩を可愛がったり
何より真面目で努力家なお人柄がわかり
素敵な方なんだなと思った。
紅白の裏話や知ってる芸能人のお話も出てきて
ミーハー心もくすぐられ楽しかったです。 -
ヒガシのトップに君臨するための努力と意識の高さが垣間見えた。
ヘイトスピーチ対策法に罰則規定がないことから、いくつかの自治体が上乗せ条例を出し始めたという新聞記事から、以前、床屋で読んだ週刊誌のヒガシのコラムを思い出し、本になっていることを知った。そのような上乗せ条例を出している自治体のひとつがヒガシの住んでいたカワサキであり、ヒガシが差別を受けていた外国籍の方からいつも助けられていたことが描かれている。 -
東山さんのこれまでの人生。
自分に何かを残してくれた、教えてくれた出来事を明るい文体で描いている。
読むほどに、つい大好きなグループに当てはめて考えたり、ジャニーズ事務所の昔の姿を知ることが出来たのは楽しかった。
特別だと語る後輩「TOKIO」とのエピソードも面白い。
三人というグループで、植草さんが緩衝材としての役目を果たしていると読んで、つい最近あるトーク番組で見た少年隊のエピソードを思い出した。
芸能界が厳しい世界だということは何となくわかる。
その中で、ずっとアイドル事務所に所属しながら活躍を続けてきた東山さん。
結婚前に書かれたエッセイなので、当然「結婚したら」という仮定で書かれていることもある。
何よりも面白かったのは、芸能界やジャニーズ事務所内で生きていく中で学んだ多くのことが書かれていたこと。
いままさに活躍しているジャニーズ事務所所属のアイドルたちにも共通する、たくさんの心構えやプロ意識がわかりやすく理解でした。
常に先を見据え、努力を怠らず慢心せずに前に進む。
言うのは簡単だけれど、実践するのはかなり難しいはずだ。
ストイックという言葉はきっと東山さんのような人のためにあるのだろう。
努力は人を裏切らない。
そう信じたくなるエッセイだった。 -
P300
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東山紀之『カワサキ・キッド』(朝日文庫)読了。
今の大学生には役者としてのヒガシしか馴染みがないのでしょうかね。
それにしても、運命的出会いがあるということを実感する。まさに偶然がもたらしたシンデレラ・ボーイ。生活の貧しさは、昭和のあの当時はいわば当たり前だった(今は別の意味で貧しい)。だから働いて生きていく方法としてジャニーズに入るのは必然だった。
覚えている方は少ないだろうが、1986年の紅白歌合戦。白組司会は加山雄三。
白組トップバッターの少年隊の曲紹介で、思わず出た言葉、「少年隊で仮面ライダー!」
これにはテレビの前で驚いたが、少年隊の面々もかなり驚いたらしい。このあたりの出来事と感想を素直に書き綴っているのが面白い。
これまでいわゆる芸能人が書いた自伝はあまり読んでいない。「ゴーストライターが書いている」というウワサがあったから。矢沢永吉『成り上がり』、山口百恵『蒼い時』ぐらい。
しかし、たとえゴーストライターが書いているとウワサされても、文章それ自体よりも内容が面白ければ、それもまた良しかなと思う。知らない世界を知ることができるのだから。
とはいえ、自分の論文を誰かに書いてもらおうなんて、これっぽっちも思ってませんけど。(笑) -
ジャニオタとして、健人担として読みました。
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少年隊の東山さんの自伝。
以前から本書の存在は知っていたのですが、読むには至りませんでしたが、ある日書店の店頭で目についたので、これもめぐり合わせと思いまして読んで見ることにしました。
こちら側から見ると華やかな芸能人の皆さんですが、その中にはいわゆるスターの立場までたどり着くまでに過酷な経験をされている(前座時代とか以前の幼少期を含めて)方も多いようで、著者がまさにそのケース。
以前から、著者はどこか華やかさとは対照的な陰のある一面を持ち合わせているように感じていましたが、本書を読むことでその理由が分かったような気がいたします。
今年の一冊目にふさわしい、インパクトある一冊でした。
付箋は13枚付きました。 -
麻木久仁子さんの書評(HONZ 2015.8.24)
http://honz.jp/articles/-/41737 -
ヒガシの舞台を観に行きたくなった。