非常時のことば 震災の後で (朝日文庫)

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  • 朝日新聞出版
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レビュー : 6
  • Amazon.co.jp ・本 (620ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784022618627

感想・レビュー・書評

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  • 「3.11」は、特別な意味を持つ数字の組み合わせになっています。

    いわゆる「東日本大震災」が起きる前までは、
    「3.11」は、個人的に誕生日だとか、記念日とかでない場合、
    その前日の「3.10」と、その翌日の「3.12」と、
    それほど変わらない位置づけの日だったと思います。

    それが、日本の歴史の中でも「あの日」として刻まれる特別な日になってしまいました。

    その特別な日が、今年も近づいてきています。
    1年に1度、この日を迎えることになりますが、
    年を重ねるたびに、何かが少しずつ変わっているように思います。
    変化は、あの震災に対する自分の受けとめ方かもしれないし、あの時感じていたことを鮮明には思い出せないような記憶の薄れかもしれません。

    そんなことをつらつらと考えていた時に、
    長野県上田市に遊びにいくことがあり、
    大好きなブックカフェNABOの棚で、視界に飛び込んできたのが、この本。高橋源一郎さんの著書「非常時のことば 震災の後で」です。

    あ~ぁ、私、たぶん、この本に呼ばれているわ。
    と思ってしまいました。

    本書は、震災の前と後で、変わったもの(変わらないもの)について触れており、自分が「考える」こと、自分が「書く」こと、おそらく、それは、自分が「生きる」ことについて、改めて、考えさせられる本でした。

    「非常時」は、震災ばかりでありません。
    ある時、ある場所では「戦争」であり、「水俣病」などもあります。
    この本では、石牟礼道子さんが、水俣病の関係者、地域の人々について丁寧に聞き取りをされて綴られた文章の「美しさ」についても解説されています。
    先日、お亡くなりになったニュースを耳にしたこともあり、石牟礼さんのお仕事の素晴らしさを、高橋さんの解説でよりよく理解できたことも、「あぁ、やっぱり、私は、この本に呼ばれたのだわ」と思った理由です。

  • 髙橋源一郎らしくない明晰さに欠けることばの羅列は、本文で述べられている通り意図されたものなのだろう。一歩一歩、絞り出すように呟くように書かれているように感じた。しかし、「あの日」に漢字は違和感は徐々に忘れ去られたようにさえ感じられる。どのようなことばが「あの日」の、あの雰囲気を後世に伝えることができるのだろうか。

  • 震災後にいままで目を背けていた世界の歪みを意識せざるをえなかった、という旨以外は全くピンとこない文の集まりだった。

  • 3.11以降、ことばはどう変わったのか。

    様々な文章からことばを引いてきて、そこから見える世界について考えよう、という本。
    冒頭、非常時だから咄嗟の「ことば」が出てこなかったという筆者。これほどの人から「ことば」が出てこない、あるいは分かっていたけれど考えて来なかったことがあるんだな、と痛感。

    今尚、空白に向かって言葉を吐き出し続けているように思える人さえいる、原発事故。
    結局あれは何だったのか、本当のところを明らかにされないから、悲しいかな私たちはそれを安心と受け止めているような所がある。
    遠い国の世にも不思議なおはなし、なんかでは決してないのにね。

    川上弘美の「神様」と「神様2011」の違いなんかも挙げていて、何かの時に再読するかもなー。
    レビューにメモしておこう。

    とても読みやすく、伝わることを第一に?考えられたのかな、という一冊なので、たくさんの人に手に取って欲しいと思う。

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著者プロフィール

1951年、広島県生まれ。81年『さようなら、ギャングたち』で群像新人賞優秀作を受賞しデビュー。『優雅で感傷的な日本野球』で三島賞、『日本文学盛衰史』で伊藤整文学賞、『さよならクリストファー・ロビン』で谷崎賞を受賞。

「2018年 『作家と楽しむ古典 土左日記 堤中納言物語 枕草子 方丈記 徒然草』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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