カツベン! (朝日文庫)

著者 :
  • 朝日新聞出版
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本棚登録 : 11
レビュー : 3
  • Amazon.co.jp ・本 (308ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784022619938

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  • 「活動弁士」という未来では消えてしまう仕事に
    情熱とプライドを持って勤しんだ若き青年の物語。

    あまりに内容が薄かったので
    映画でもう一度見たいと思った。

    時代背景、当時の生活環境や文化など何一つわからない、「小説」というくくりで見ればかなり手抜きな作品だった。


    俊太郎の、「活動弁士」への熱意ももちろんだが
    山岡の抱えていた闇の方にわたしはより興味を抱いた。

    自分たちの仕事はいずれなくなっていく。
    必要とされなくなっていく。
    聴く人の邪魔になっているのではないか。


    それまでプロとしてプライドを持って
    第一線で活躍した男の、本音な気がした。

    (今、振り返って見て
     少し笠井さんと重なる部分があった。)


    活動弁士たちはその後、どうなっていったのだろう。

    映画でそれぞれのディティールを
    拾ってくれることを願う。

  •  映画の原作本と映画のストーリーが違うということはよくありますが、本書は映画の脚本をもとにノベライズされており、基本的に映画に忠実。
     映画には描かれていなかった細かな設定まで描かれています。
     栗原梅子(黒島結菜)が茂木貴之(高良健吾)と知り合ったきっかけ(大したことない出来事ですが)とか。
     浜本祐介(成河)は映画版でも青木館の縁の下の力持ちとして比較的活躍されていました。
     ノベライズ版では映画版よりもう少し詳しく描かれています。
     昔はフィルムを手で回していたんですね。
     この映画では昔の活動弁士を描いているわけですが、昔の映写技師も描いているわけです。
     あと、安田虎夫(音尾琢真)の不幸な生い立ちも。
     映画の冒頭では一人の弁士が話すのではなく、複数の弁士が声を当てて話す上映形態が先に出てきました。
     この形態についても説明されていて、「声色弁士」「台弁士」というそうです。
     旅回りの役者が演じたそうですが、今でいう声優ですね。


     映画では橘重蔵(小日向文世)は杖で安田虎夫の脚を叩いていましたが、ノベライズ版では何と頭を叩いています。
     いずれにせよ、直前まで笑顔で話していたのが突然激怒して暴行しているのですから、こういった闇世界の人間の恐ろしさを実感させられる行為です。つくづくそういう世界とは関わりたくないと思いました。
     橘重蔵の映画観が分かるセリフもあります。これも映画には出てきません。
    「わしゃ、ほんまは活動写真なんて好かんのや」
    「写真に撮ったもんなぞ、しょせんはにせもんやろ?それより見世物小屋で、客の目の前で演じる芸、あれこそがほんまもんやと思うんや……けど、琴江が活動好きでなあ」
     
     ライブが本物!一理あります。しかしその後
    「この町にはタチバナ館だけあればええんや」
    と続くのはやはりヤクザ者の発想です。独占禁止法違反です。色々な流派が競い合うからこそ発展するのです。
     
     映画でもこのノベライズ版でも不可解というか残念なのは、山岡秋声(永瀬正敏)です。
     今は酔っ払いでも最後には活躍する見せ場があるのかと思っていましたが、少々不完全燃焼に終わりました。
     最後近く、青木館のフィルムが滅茶苦茶にされた時、一番最初に立ち直って
    「明日は予定どおり、小屋を開けてくれ」
    「ばか!なんのために俺たちがいると思ってる!?」
    と発言していよいよ眠れる獅子が目を覚ましたか!と期待したのに、後は国定や浜本に丸投げしていつも通り酔っ払ってるんですから。
    内藤四郎(森田甘路)が失敗していよいよ後がなくなった時、
    「あきらめるな。俺が出る」
    と立ち上がろうとする時、国定天聲(成田凌)がようやく間に合って登場というわけです。
     もちろんこの映画は国定天聲こと染谷俊太郎が主人公で活躍する物語なのだから、最後に染谷俊太郎が活躍する場面があるのは当然です。
     山岡秋声が最初から張り切って活躍したら染谷の見せ場がなくなります。
     だから仕方ないといえば仕方ない展開なのですが、山岡秋声が復活して活躍する場面も見たかったですね。
    (警察の真似をして安田を騙す場面も、すぐにばれてしまったし。)
     だから最後、青木館の立て直しの件では山岡先生も協力してほしかったです。
     その後青木館残党の方々の必死の説得で山岡先生が翻意し、活動弁士として復活する展開を希望します。

     あと、物語の舞台となった町の地図がほしいですね。
     青木館とかタチバナ館とか川とか露店とか丘とか原っぱとか駅とかの位置関係はどうなってるんでしょうか。方向音痴の私には全然理解できません。
        https://diletanto.hateblo.jp/entry/2020/01/18/200853

  • 周防正行監督の映画「カツベン!」の脚本をもとに小説化されたもの。小説化にあたり、変更があるとのことです。

    読みやすかったです。
    ある場面では、登場人物のセリフ、状況の変化が、イキイキと描かれていて、映画をみているような気持ちになりました。

    活動写真は1回しか見たことがありませんが、このストーリーそのものが活動写真のストーリーなのかもしれないと思いました。

    解説は、著者と周防監督との対談。映画をみる人にとっては、いいガイドブックになると思います。

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