イタリアの引き出し (朝日文庫)

著者 :
  • 朝日新聞出版
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本棚登録 : 167
感想 : 11
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  • Amazon.co.jp ・本 (208ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784022620200

作品紹介・あらすじ

近所の高校生たち、海辺の風景、贈り物のベゴニア、特製薄焼きパン……ミラノやヴェネツィアの街角で、バールで、散歩の途中で著者が出合った鮮やかな一瞬一瞬を季節の彩りと共にスケッチした随筆60編。端的な文章で描かれた、多様な色と音の詰まった宝箱。

感想・レビュー・書評

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  • 文庫本の帯の副題に「イタリア各地に出かけては拾い集めた宝物のかけら60編」とある。比較的大きな活字を使い、ページの余白を大きくとった200ページ足らずの文庫本に、筆者の見た60のイタリアの光景が文章として収まっている。
    内田洋子はエッセイの名手であるが、この本以外の内田洋子のエッセイには、「ストーリー」がある。が、この本は、イタリアの断片的な「風景の描写」が基本である。「第二日曜日の音」という題のエッセイが収載されている。毎月、第二日曜日に、ミラノの中心にあるディアツ広場に古書市が立つのであるが、その市の日の広場を、2ページで描写したものである。ミラノという都市の繰り返される1日が生き生きと描写されていて、それは視覚的に訴えてくるようでもある。
    私自身は、いつものストーリーのあるエッセイの方が好きであるが、「風景の描写」にも味があることはよくわかった。

  • 内田さんならではのイタリアの視点が楽しい。一度は住んでみたい。

  • 行ったことがなくても、その街の景色や人々の声、匂いを感じることができるのが、いい作品だなあと思う。
    街を愛する気持ちが伝わってくるお話だった。

  • 日々の暮らしの中に散りばめられているステキなことをピックアップして書かれている。
    文章の持っていき方、落とし方、長さ、とても読みやすかったし、感じやすかった。

  • 本から良い匂いが漂ってくる
    鼻孔をつくほどの

  • 住んでいないと分からないことはたくさんあって、その中に文化の本質はある。
    イタリアの普通の生活では見落とし勝ちで当たり前なことを知ることは好奇心を呼び起こさせてくれるなあ。

  • イタリアの生活の中での穏やかな日常を語るエッセイ、60編。
    単行本では写真が掲載されたそうですが、文庫版は無し。寂しい。
    1~5ページの短いエッセイには、様々な出会いがあふれています。
    ミラノ、ヴェネツィア、ニース・・・街角で、市場で、訪問して、
    出会ったのは、四季の折々の風景、食、多くの人々。
    ほんの日常の中、生活の一瞬にある優しさや穏やかさ、
    ちょっとした気遣いの情景に、心癒される感じになります。
    老若男女問わず、多くの結びつきが生まれていくのが、羨ましい。
    異国という場所で、著者の人柄もあるけど、女子学生との交流、
    いつもの席に案内してくれる給仕がいるレストランがあるのは
    素敵だなぁと思いました。
    でも待てよ?日本のうちの近所だって、挨拶を交わせる人がいる。
    行きつけの店では店主さんと情報交換したり、季節の移ろいを
    感じることも出来る。SNSでの出会いで繋がりも増えた。
    それらを大切にというメッセージもあるのかしらと、深読み。

  • イタリアの日常が切り取られたエッセイ。何でもない風景のはずなのに、なんか素敵だよね、イタリアって。

  • p.2020/9/25

  • 『世界の車窓から』『音のソノリティ』といった5分ほどのブリッジ番組が好きだ。ワンテーマをコンパクトに見せる裏側に、何日にも亘るリサーチや撮影の手間があったことを感じさせる。
    いつも短いエッセイが見事な内田洋子さんが、ミラノの四季をもっと短く、ひとときごとに切り取ったのが本書。「犬と散歩する速度」で見る、歳時記、風景、人。ときに見開きで終わっちゃうほど短い1篇1篇が、長くこの街で暮らし仔細に観察してきた人ならではの視点が感じられ、まさにあれらのミニ番組のようや豊かさ。
    「ずっとファンです」と著者にご挨拶して、どの本が好きかと問われたときに、すぐ答えられなかったことが悔やまれる。口だけと思われたかなあ。だって本当に、全部好きなんです。

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著者プロフィール

ジャーナリスト

「2022年 『ベスト・エッセイ2022』 で使われていた紹介文から引用しています。」

内田洋子の作品

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