人口減少社会という希望――コミュニティ経済の生成と地球倫理 (朝日選書)

著者 :
  • 朝日新聞出版
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感想 : 27
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  • Amazon.co.jp ・本 (280ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784022630018

感想・レビュー・書評

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  • やっぱり広井さんは素晴らしいと思う。
    私もできることなら、そのようにありたい。

  • 必要なタイミングで自分の前に現れてくれた本。「自己実現」に対しての「世界実現」というキーワードに「おっ!」と視界が広がった感覚を覚えました。もっとも地域の人口減少の問題から始まって宇宙論の人間原理まで取り上げる視点は多岐に渡り、まさにマルチユニバース状態を呈していますがそれこそが魅力でした。どんどん脈絡がないテーマに脈絡が生まれてくるところが、遺伝情報とは違うネットワーク知みたいなもの?本書を手に取った理由もレトリカルな書名にあるのですが、それは奇をてらったものではなくストレートなテーマだったりします。ということでタイトルって大切ですね。まずは興奮のままに。

  • 本書を手にするまで、人口減少社会をいかに生き抜くのか、すなわち人口減少、少子高齢化社会を負のイメージでしかとらえたことが無かった。タイトルを見て驚き、手に取った。
    ポスト成長時代を定常社会と位置づける。そこではローカル、コミュニティを重視し、人間本来のあり方を追求する。環境政治、緑の福祉国家を構想し、地球倫理の可能性を模索する。
    地球倫理とは、個別全体的な世界観。すなわち、グローバルな視点とローカルな視点、両者を包含する。
    著者は科学哲学史の専攻者であった。本著後半には、地球倫理と科学史、宇宙に対するエコロジカルな認識観へと思考が飛翔していく。圧倒されながら読み進めた。内容をより深く理解するには、まだ時間がかかりそうだ。もし講演などあれば、ぜひ聴いてみたい。

  • コミュニティ経済の生成と地球倫理
    ◾経済行為
    ①交換→市場
    ②互酬性→共同体(相互扶助、コミュニティ)
    ③再配分→政府
    ◾成長・拡大経済から、定常経済(コミュニティ経済)へ移行
    ◾グローバル化から、ローカル化へ
    ◾グローバル化:大都市圏で指向
    ◾ローカル化:中小市町村で指向
    ◾人手不足、資源余り→人手余り、資源不足
    ◾付加価値戦略、ローカル化戦略
    ◾FEC自給圏:内橋克人

    ◾分散型コミュニティの再生
    【コミュニティ醸成型の空間構成】
    ①コミュニティ単位:鎮守の森、神社、寺、学校、福祉施設は、公有地で
    ②再生エネルギー(発電所)の分散配置等→雇用創出、低炭素化
    ③買い物難民→コンビニ、道の駅他
    ④都市政策と社会保障政策のリンク
    ⑤歩いて移動できる地域、公共交通機関
    ⑥都会型限界集落(団地)にも対応
    ⑦高齢者が、ゆっくり座れる場所
    ⑧自動車乗入れの制限
    ⑨道路優先(コミュニティ分断)から、コミュニティ優先の空間構成へ!
    10.多極集中!
    ◾環境政治:3大政党+緑
    ①保守主義政党:共助
    ②自由主義政党:自助
    ③社会民主主義政党:公助
    ④環境政党
    ◾ストック(住宅)による社会保障
    ◾消費税による社会保障
    ◾『労働生産性』重視から、『環境利用効率性』へ
    ◾『事後対応(フィードバック)』から、『事前対応(フィードフォワード)』へ

    ◾病める米国
    ①研究開発予算の60%が軍事費
    ②残りの40%の大部分を医療開発に当てているが、米国人の平均寿命は、主要先進国中で、最低。
    いびつなピンポイント研究
    ③刑務所入所率は、ダントツ一位!
    ◾研究テーマは、誰が決めるのか?
    ◾統合医療
    ①病気は、環境に対する個体の適応 の失敗により、生ずる。
    ◾幸福
    古来の日本人の精神的拠り所(3つのエコロジー)→江戸時代まで
    ①神道:自然、神々←明治以降の俄造りの国家神道とは、異なる
    ②仏教:精神、心
    ③儒教:倫理、社会規範
    これからのに日本人には、神仏儒に加え、地球倫理が必要!
    ◾地球倫理

    以降、抽象的過ぎて、理解不納!

  • 人口減少はまさに始まったばかりであるが、将来予測、そして社会の展望としてコミュニティの存在の必要性を改めて感じさせられた。後半はエコロジーを考える上で、古事記やスピリチュアルなども積極的に取り上げ地球倫理について述べている。著者がこれまでに出版した書籍の総括的な位置づけのようなので、他の本もあたってみたい。

著者プロフィール

広井 良典(ひろい・よしのり):1961年生まれ。京都大学人と社会の未来研究院教授。専攻は公共政策、科学哲学。環境・福祉・経済が調和した「定常型社会=持続可能な福祉社会」を一貫して提唱。社会保障、医療、環境、都市・地域等に関する政策研究から、ケア、死生観、時間、コミュニティ等の主題をめぐる哲学的考察まで、幅広い活動を行っている。著書『コミュニティを問いなおす』(ちくま新書、2009年)で大佛次郎論壇賞受賞。『日本の社会保障』(岩波新書、1999年)でエコノミスト賞、『人口減少社会のデザイン』(東洋経済新報社、2019年)で不動産協会賞受賞。他に『ケアを問いなおす』(ちくま新書)、『ポスト資本主義』(岩波新書)、『科学と資本主義の未来』(東洋経済新報社)など著書多数。


「2024年 『商店街の復権』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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