選書920 東大で文学を学ぶ (朝日選書)

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  • 朝日新聞出版
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  • Amazon.co.jp ・本 (320ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784022630209

作品紹介・あらすじ

【文学/日本文学評論随筆その他】東大生に人気の授業を単行本化。『罪と罰』は残酷な物語でありながら何故読み継がれているのか。谷崎潤一郎はどのように『源氏物語』をもとに『夢の浮橋』を書いたのか。小説家だからこそ読み解ける小説のつぼ。学生の課題リポートも掲載。

感想・レビュー・書評

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  • 谷崎潤一郎が好きな私は,この表紙の顔に出会えば買わざるをえない.最後の谷崎潤一郎の「夢の浮橋」論だけ読む.「夢の浮橋」は源氏物語の最後の帖だが,その題に込められた源氏物語との二重構造を読み取る手際はさすがプロ.感心させられた.

  • 谷崎はどうしても好きになれないんだけど,こういう解釈を聞くと,読んでみようかと思う.
    何よりすごいと思ったのは,巻末の東大生のレポート.

  • 芥川賞や紫綬褒章を受賞(章)している一流小説家の東大での講義録。「近代小説とはなんぞや」ということを大テーマに、ドストエフスキーの『罪と罰』や、『源氏物語』、谷崎潤一郎の『夢の浮橋』などを取り上げ、著者独自の分析を試みている。
    なかなか難解な内容で、「ほんまかいな」と思うような解釈もあったりしたが、小説家が小説を分析するというのは面白い試みだと感じた。最後に、東大生の本授業を要約したレポートが16篇収録されているが、同じ授業を要約しているのに、それぞれに個性があり、かつ、本質を突いている内容で、東大生の知性が垣間見えて興味深かった。

  • 小説とは何か、文学とは何かと今までに問われ答えに窮していたが、この本のおかげで少しは答えられるようになったと思う。名作の名作たる所以はそのオリジナリティにあるのではなく、古典から脈々と受け継がれる人間の内面の物語、筋書きのパスティーシュの巧みさにあるのだ。

  • 源氏物語を読んでみたくなった。
    古事記→旧約聖書、源氏物語→新約聖書という著者の解釈が秀逸。

  • プルーストて嫉妬の文学だったんすね。

  • 『東大で文学を学ぶ』
    辻原登

    ……小説の中から何かを教えてもらうとか、教訓を得ようとか、そういうことをしてもほとんど意味がありません。……小説は、われわれの見る夢である。たとえそれが現実と似ていても夢である。……ですから、小説というものは頭で読んでもわからない。背筋で読む。(p78)

     小説に意味を求めない。頭で理解しようとしない。背筋、それはプロットとも考えられる。夢を見る器官と同じところで小説は読むということ。

     ここで、『古事記』を『旧約』に、『源氏』を『新約』になぞらえてみるのも面白い。(p225)

     はっとさせられる。なるほど。

  • 古代中国の「志怪」と言われる伝奇小説群、「遊仙窟」、「古事記」、ドストエフスキーの「罪と罰」、源氏物語、谷崎の「夢の浮橋」を解題。小説が何ゆえ、通俗小説ではなく、文学作品なのか、ルカーチ「小説の理論」、横光利一の小説論「純粋小説論」などからの展開も興味深い。「純文学とは偶然を廃すること!」(横光)とは確かに通俗小説化の印象を避けるためには重要だと思う。「偶然はたちまち感傷に変化してしまう」そして「純文学作家達は真理性とか必然性という概念にしばられ、客観的世界と思いながら実は不具な抽象的世界に這入りこんでいる」(小林秀雄)とは言いえて妙。感傷の何が悪いの!ということか。大賛成。現実に世の中では偶然は多くあり、それが感動を多く招いている。そして文学では父殺しが隠された共通のテーマだという。なんと源氏物語でさえ。それを谷崎「夢の浮橋」を対比させることにより、納得できる。最後に和歌を「五 七五 七七」ではなく、「五七 五七 七」と詠むことで歌の力が出てくるとの言葉。(P242)これからはぜひ試してみよう。

  • どこを読んでもおもしろすぎる。ひさびさに楽しい講義を聴いてる感じだ!感謝!

  • やはり谷崎はすごい。

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著者プロフィール

辻原登
一九四五年(昭和二〇)和歌山県生まれ。九〇年『村の名前』で第一〇三回芥川賞受賞。九九年『翔べ麒麟』で第五〇回読売文学賞、二〇〇〇年『遊動亭円木』で第三六回谷崎潤一郎賞、〇五年『枯葉の中の青い炎』で第三一回川端康成文学賞、〇六年『花はさくら木』で第三三回大佛次郎賞を受賞。その他の作品に『円朝芝居噺 夫婦幽霊』『闇の奥』『冬の旅』『籠の鸚鵡』『不意撃ち』などがある。

「2023年 『卍どもえ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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