- Amazon.co.jp ・本 (472ページ)
- / ISBN・EAN: 9784022630278
作品紹介・あらすじ
【社会科学/政治】日本の保守は中国、韓国、東南アジアとどのように向き合ってきたのか? 戦後70年を来年に迎える今、保守のアジア観、アジア政策の歴史を綿密に検証し、和解と反発の間を揺れ動く姿を描く。好評旧著『和解とナショナリズム』全面改稿の決定版テキスト。
感想・レビュー・書評
-
「保守のアジア観」と「日本のアジア観」、裏話的なものも含めた事実関係(「戦後」でもない閔妃暗殺まで)、筆者の意見や体験、これらが混在して整理されていない印象を受け、書名から予想していた内容とはやや異なった。本文のみで400頁と選書にしては大部で、内容は豊富なのだが。
書名に沿った「戦後保守のアジア観」について言うと、本書では、初期はA:「脱亜」の吉田茂、B:「大アジア主義」の岸信介、C:「小日本」の石橋湛山、その後はa:贖罪意識の強い竹下・大平・宮沢系、b:安倍総理に代表される岸信介の流れを汲むアジア解放史観に近い系列、に分類(ただしaがAの流れだとはしていない)。そして日韓で歴史教科書や慰安婦問題の収拾にあたったのはaである一方、bの系列が権力の中心にいることが「日中冷え込みの大きな要因になっている」と単純化している。
しかし、本書出版後だが、引き続き安倍政権下の2015年末には日韓慰安婦合意がなされたとともに、17年秋から日中関係は改善基調にある。すなわち、政治指導者の思想と、その時期の政策や外交関係は、前者が後者に与える影響はあるとは言え、一応分けて考えるべきではないか。政策や外交関係には国内外のより多くの要素が関係してくる。筆者も、小泉総理の靖国参拝に「どんな哲学があったのかは今もわからない」としているが、対中韓関係を悪化させたのは事実だ。また「アジアとの関係や健全な歴史観を大事にするはずの民主党政権のもとで、中国や韓国との関係がすっかり悪化してしまった」と書いてもいる。
筆者はCが好きで、次いでa、Aの順、そしてBとbは好きではないことはよく分かった。詳細をみるコメント0件をすべて表示