例外小説論 「事件」としての小説 (朝日選書)

著者 :
  • 朝日新聞出版
2.40
  • (0)
  • (0)
  • (3)
  • (1)
  • (1)
本棚登録 : 47
レビュー : 5
  • Amazon.co.jp ・本 (374ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784022630414

作品紹介・あらすじ

【文学/日本文学評論随筆その他】「例外」は普遍性と個別性との間の不均衡から生まれる。小説においても例外状況は現出し、多くの優れた「例外小説」がある。筒井康隆から円城塔、舞城玉太郎、伊坂幸太郎まで、二項対立と分断を脱却し「小説」の本質に迫る、文芸批評の新しいかたち。

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
  • 2018/10/8購入

  •  巻末のあとがきを見てもらえば分かるのだが、佐々木敦が今まで書いてきた書評や文庫本解説といった、コンパクトだが膨大な数の作品論を一冊にまとめたもの。現代文学の32人の作家、60作の作品論を収める。この数の多さは素直にすごい。
     〈例外小説〉なるものを提唱してはいるものの、それほど構える必要はない。強いて言うなら主に90年代以降にデビューした作家あるいは発表された作品のうち、何かしら変わった小説を挙げるというか、そんな感じだ。佐々木敦自身が、それほど〈例外小説〉という単語を本書以外の場で強調して使っている場面は見かけないし、便宜上、大仰な名前で格好をつけた程度に過ぎないのだろう。
     といって本書を腐しているわけではない。佐々木敦は今現在において信頼に足る文芸批評家の一人であることは他の著書の評判から明らかであるのだし、卓越した批評眼は本書でも十二分に発揮されている。
     
     扱われた作品のうち、既読の作品が多いなら、佐々木敦がなした解釈と自分の解釈を比べて楽しめるだろうし、見たことも聞いたこともない作家および作品が多いなら、その人にとって本書は非常に優れたブックガイドとして役立つであろう。
     
     個人的には、本書を通読して、未読である古川日出男と磯崎憲一郎に興味が湧いた。
     それとやはり、現代の純文学を考える上で重要なのは、保坂和志の周辺つまり、柴崎友香、山下澄人あたりなのだなあと改めて。滝口悠生もそうだが、人称の問題は大変ホットな話題だ。
     
     Amazon等に目次が掲載されているものの、一部省略されているため、ここで対象として扱われた全作家、全作品を列挙しよう。
     ■Part1 例外SF論
     円城塔『Self-Reference ENGINE』『プロローグ』、伊藤計劃『ハーモニー』、円城塔×伊藤計劃『屍者の帝国』、北野勇作『かめくん』、法条遥『リライト』『リライフ』、筒井康隆『世界はゴ冗談』『モナドの領域』
     ■Part2 例外エンタメ論
     伊坂幸太郎『マリアビートル』『夜の国のクーパー』『アイネクライネナハトムジーク』、阿部和重『クエーサーと13番目の柱』、阿部和重+伊坂幸太郎『キャプテン・サンダーボルト』、桜庭一樹『ブルースカイ』、浦賀和宏『時の鳥籠』、小野不由美『残穢』『営繕かるかや怪異譚』、綾辻行人『奇面館の殺人』、矢部嵩『魔女の子供はやってこない』
     ■Part3 例外文学論
     古川日出男『サマーバケーションEP』『MUSIC』『南無ロックンロール二十一部経』『冬眠する熊に添い寝してごらん』、絲山秋子『ダーティ・ワーク』『妻の超然』『離陸』、桐野夏生『東京島』『ポリティコン』、多和田葉子『雪の練習生』『献灯使』、奥泉光『その言葉を/暴力の船/三つ目の鯰』『東京自叙伝』、星野智幸『夜は終わらない』『呪文』、金原ひとみ『マザーズ』、戌井昭人『まずいスープ』『どろにやいと』、鹿島田真希『ハルモニア』、岡崎祥久『ファンタスマゴーリア』
     ■Part4 例外文学論 その2
     保坂和志『未明の闘争』/ジョンたちのこと/スノーノイズ/『朝霧通信』、柴崎友香『ドリーマーズ』『週末カミング』『春の庭』、磯崎憲一郎『世紀の発見』『赤の他人の瓜二つ』『往古来今』『電車道』、山下澄人『緑のさる』『ギッちょん』『砂漠ダンス』『ルンタ』、木下古栗『ポジティブシンキングの末裔』、黒田夏子『abさんご』、滝口悠生『寝相』、福永信『三姉妹とその友達』、間宮緑『塔の中の女』、藤野可織『爪と目』 以上である。

  • 序文を読んで一本の長い論考なんだと思ったら、文庫解説や書評をまとめた本だった。途中までそれに気づかなかったのは、確かにその序文で言うような「例外小説」を取り扱った書評が多く一種のカラーがあるからだと言えるが、「なんだただまとめただけの本だったのか…」と気づいたときはがっかりした。序文でちゃんと説明すべきでは?
    文庫解説などで一部容赦ないネタバレもあるので注意。ただ解説を読んで面白そうだなと思う本も多くあった。現状それらに手を出せるのはかなり先になってしまいそうだが…。
    巻末に納められた「はじめての小説論」に関しては、著者の主張にほとんど賛同することができなかった。

  • 佐々木敦「例外小説論」
    http://publications.asahi.com/ecs/detail/?item_id=17774 … 読んだ、おもしろかった!筒井康隆、円城塔、伊坂幸太郎、阿部和重、桐野夏生、保坂和志などなど30もの作品を取り上げて、作品毎に例外の定義説明がある。メジャー/マイナーの対比ではない。小説とは何か(つづき

    ジャンル分けできなかったり実験的だったり小説の通念からはみ出ていたり、例外の理由も作品ごとに異なる。だからこその例外。堀江敏幸の本を読んだときのように、扱われている全部の作品を読みたくなる。いい人見つけた。そういえば堀江敏幸もこれは小説なのエッセイなの?思う作品があるなあ(おわり

  • 佐々木敦「例外小説論」http://publications.asahi.com/ecs/detail/?item_id=17774 … 読んだ、おもしろかった!筒井康隆、円城塔、伊坂幸太郎、阿部和重、桐野夏生、保坂和志などなど30もの作品を取り上げて、作品毎に例外の定義説明がある。メジャー/マイナーの対比ではない。小説とは何か(つづき

    ジャンル分けできなかったり実験的だったり小説の通念からはみ出ていたり、例外の理由も作品ごとに異なる。だからこその例外。堀江敏幸の本を読んだときのように、扱われている全部の作品を読みたくなる。いい人見つけた。そういえば堀江敏幸もこれは小説なのエッセイなの?思う作品があるなあ(おわり

全5件中 1 - 5件を表示

著者プロフィール




「2017年 『筒井康隆入門』 で使われていた紹介文から引用しています。」

佐々木敦の作品

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

有効な左矢印 無効な左矢印
村田 沙耶香
滝口 悠生
恩田 陸
ミシェル ウエル...
夏目漱石
中村 文則
有効な右矢印 無効な右矢印
ツイートする