ともに悲嘆を生きる グリーフケアの歴史と 文化 (選書982)

  • 朝日新聞出版 (2019年4月10日発売)
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感想 : 7
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  • 本 ・本
  • / ISBN・EAN: 9784022630827

作品紹介・あらすじ

【文学/日本文学評論随筆その他】超高齢社会をむかえて、喪失体験と悲嘆は身近だ。宗教学の泰斗がフロイトやエリクソンなどの理論から物語、詩歌、映画を題材に、自助グループなど現場との密接な対話を重ねて、グリーフケアの歴史と文化をたどった、待望の初の基本書籍。

感想・レビュー・書評

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  • 「この世界の片隅に」や唱歌「故郷」など身近な題材もあり読みやすかった
    「故郷」は介護施設などでも定番曲のイメージがあるが社会の変化により受け止められる歌詞の意味が再解釈されたとの部分はおもしろいと思った

  • グリーフワークの歴史などをざっと学びたければオススメ。個人的にはグリーフワークの宗教的意味合いを考えたいと思う種と、内村鑑三の心霊の自由と寛容に関する考察の種をいただいた。

  • 序章
    戦争と災害の後に  喪失と悲嘆の記憶が力となる  悲嘆が分かち合われる場・関係

    第1章 悲嘆が身近になる時代
    JR福知山線脱線事故  スピリチュアルケアの知識と経験  『悼む人』の悼む作法  水子供養の背後の悲嘆  無念の死・見捨てられる死  公認されない悲嘆  悲嘆を分かち合う場と関係を求めて

    第2章 グリーフケアと宗教の役割
    災害支援と仏教僧侶の活動  悲嘆に寄り添う仏教の実践  移動傾聴喫茶カフェ・デ・モンク  震災で見えてきた伝統仏教の力  岡部健医師の歩み  「お迎え」による安らぎ  死をめぐる宗教文化の再認識  

    第3章 グリーフケアが知られるようになるまで
    フロイトと「喪の仕事」  心にとっては「いる」が、現実には「いない」  子どもの愛着と喪失  母親を失った子どもの心理  あいまいな喪失  なぜ、喪失がつらく、長引くのか

    第4章 グリーフケアが身近に感じられるわけ
    悲しみを分かち合う文化の後退  悲嘆の文化の力とその回復  喪の段階と喪の課題  意味の再構築という枠組み  「遺された親の会」  死生学とホスピス運動(死の臨床)  グリーフケアと文化

    第5章 悲嘆を物語る文学
    文学者としての内村鑑三  『基督信徒のなぐさめ』と悲嘆の文学  『後世への最大遺物』のスピリチュアリティ  特定宗教の枠を超えて  悲嘆文学としての先駆性

    第6章 悲しみを分かち合う「うた」
    復活した(?)「故郷」  故郷から遠くへ去った子ども  ロンドンデリーの歌  アリランの歌詞  吉本隆明「大衆のナショナリズム」  「大衆のナショナリズム」の底上げ?  悲しみを分かち合うことの困難

    第7章 戦争による悲嘆を分かち合う困難
    八月一五日の悲嘆の分かち合い  軍人・兵士の死をめぐる不協和音  戦没学生の遺した文書――『はるかなる山河に』  『きけわだつみのこえ』の刊行  『新版 きけわだつみのこえ』での復元  反戦、殉国、戦争責任・・・・・・  悲嘆の共同性と共生という課題

    第8章 悲嘆を分かち合う形の変容
    死者・先祖への信仰とお盆行事  死霊・祖霊信仰こそ日本の固有信仰  『先祖の話』で問おうとしたこと  仏教寺院と悲嘆をともにする文化  「寺院消滅」の時代  悲嘆をともにする活動としてのグリーフケア

  • 面白かった。
    沢山の文学や歌を引用して悲嘆を解釈、解説してくれて、読みやすく、感じやすかった。
    私の好きなあのお話やあの曲を、悲嘆という側面で改めて嗜みたいと思った。

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著者プロフィール

宗教学者。東京大学名誉教授。大正大学客員教授。龍谷大学客員教授。上智大学グリーフケア研究所元所長。

「2024年 『経済安保が社会を壊す』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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