人事の三国志 変革期の人脈・人材登用・立身出世 (朝日選書)

著者 :
  • 朝日新聞出版
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  • Amazon.co.jp ・本 (408ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784022630841

感想・レビュー・書評

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  • マニアックだが面白かった。

  •  この書籍は、人事制度に関してスポットをあてた、解説書です。人材登用の特徴としては、曹操が「唯才主義」、劉備の「情義と志」、孫縁が「地縁血縁」と分析されています。つまり、なぜ魏が勝ち、蜀は破れ、呉は、自滅したのかと、権力と名士の関係軸を更に深堀し、人事制度を知らなくても楽しめ、古今、個々の人々の繋がりが組織や運営に直結することを再認識できる、今までにない見方の書です。構成としては国のかたち、制度、社会が大きく変わるなかで、時に熱く、時に冷酷な人事による、乱世を生きた英雄たちの変革期の「身のふり方」に迫まった書です。この書籍から、仕事のヒントを得られるのではないでしょうか。

    京都外国語大学付属図書館所蔵情報
    資料ID:635574 請求記号:222.043||Wat 分館 閲覧室

  • 三国志のドラマを見ながら読了。それぞれの国の人事、その背景にある考え方がよくわかった。

  • 名士層の確率の説明
    孝廉、僻召、徴召といった制度の説明
    曹魏:曹操は漢王朝簒奪のために儒教の相対化を図り、新たな価値観として文学を重視。曹丕は名士層を代表する荀彧の後を継ぐ陳羣とのせめぎ合いの中で、九品官人法により儒教的価値観を制度内に抱え込むことになる。
    蜀漢:劉備集団ははじめ義兄弟的な個人的情義に基づき名士を軽視していたが、荊州名士閥に属する諸葛亮を登用することで名士層の支持を取り付ける。ただし、その後も関羽張飛の重用は変わらず。益州入り後、蜀漢政権は荊州層がトップに立ちながら地元益州層との融和を図り政権を運営。調整力に欠ける姜維の指導で政権は分裂していく。
    孫呉:孫堅ははじめ情義軍事集団として台頭、孫策は江東名士層と対立したが、孫権の代で融和を図る。魯粛の画した天下三分の計によって江南に政権確立後、江南を一天下とする小中華思想によって正統性を主張し後の六朝に続く地位を築いた。
    西晋:曹魏を襲った司馬氏は、司馬懿が名士層を代弁することで支持を確立。また司馬炎より後は婚姻する家を名族に限定する身分的内婚制と、五等爵制によって名士層を皇帝が秩序づける政策により、名士層を皇帝を頂点とする貴族制度を築き上げ名士層を取り込み相対化した。

  • 最近はまった三国志の背景が分かった。
    堅そうだが読みやすかったし面白かった。

    三顧の礼は当時の常識だとか、曹操の血縁重視など意外な話も多い。
    儒教の上下関係の厳しさはちょっと想像しづらい。

  •  三国志を、人事や社会背景の面から分析した本書。

     新鮮で面白かった。

     特に、当時の「名士」という特定階級が如何に勢力を誇っていたのか、を初めて理解した。

     三国志序盤の袁紹・袁術の強大さも、その後の曹操の勃興も、更には司馬懿の簒奪も、一本の筋・流れが見事に通る。

     もし、「名士」が「名士」として残っていたのなら、その後の専制帝国制は大いに異なったものになっただろう。

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著者プロフィール

早稲田大学教授

「2018年 『中国時代劇で学ぶ中国の歴史 2019年版』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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