ようこそ地獄、奇妙な地獄 (朝日選書)

著者 :
  • 朝日新聞出版
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感想 : 6
  • Amazon.co.jp ・本 (320ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784022631091

作品紹介・あらすじ

ドSな鬼、滑稽な閻魔王、図々しい亡者????平安から明治まで、「地獄」を辿ると見えてくる、切なくも面白い日本人の性(さが)。近年やってきた空前の〝地獄〟ブーム。しかし、私たちの祖先は、仏教とともに「地獄」の存在を知って以降、常に地獄を身近に感じながら生きてきた。ある時代の人々は死後の地獄堕ちを心底怖れ、時代が下ればパロディのネタにした人々もいた。地獄堕ちを免れるためのガイドブックや地獄行き体験のエピソードを記した紀行文、文字が読めずともひと目でわかる鮮やかな地獄絵????地獄の様子はさまざまな説話や絵図に写し取られ、残されてきた。本書ではぜひ、これら古典文学や絵画をひもときながら三途の川までの道のりを同行し、閻魔王を紹介する地獄巡りにご案内したい。そこには日本人が辿ってきた時代の空気、世相、死生観がありありと映し出されている????。【構成】はじめに????ようこそ地獄第一章 仏教が運んだ輪廻と地獄第二章 極楽往生のガイド、『往生要集』『往生要集』が説く六つの世界 八層の地獄熱い地獄と冷たい地獄第二章 地獄に堕ちるは因果応報罪の報いのサンプル集 膳臣広国の場合 大和国の瞻保の場合石川の沙弥の場合田中真人広虫女の場合罪の意識のバリエーション藤原敏行の場合藤原永手の場合変容する罪の解釈??妄語の場合紫式部堕地獄伝説罪の意識のみなもと源氏供養の時代 女たちの「罪」??邪淫の場合第三章 地獄は何処に?地獄に「堕ちる」というだけに 吉志火麻呂の場合地獄の底へ直行、親不孝の罪証言者が語る地獄へのアクセス山上に生まれた地獄――立山地獄と温泉の話 山岳信仰と山中他界観「あの世」と「この世」を分かつもの 「三途の川」をめぐる奇妙な話 第四章 地獄のお役所仕事魔王は何者か「中陰の旅のスケジュール何より大切な「後世を弔う」十王も地獄もヴィジュアルが大事いざ、裁判 冥官たちは合議制?あの世の使者は「お役所仕事」小野篁冥官伝説 獄卒からは逃げられない第五章 地獄なんか怖くない獄卒たちのノルマ 衣女の場合「お地蔵さん」と地獄 地獄の探検 「地獄」ネタコメディ 日本の武将オールキャスト 第六章 パロディ化した地獄地獄を笑いとばせ地獄だって世知辛い? この世の地獄????災害 …応挙の『難福図巻』病と地獄 暮らしの中でファッションとしての地獄 …地獄太夫が語るもの さいごに????奇妙な地獄

感想・レビュー・書評

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  • ようこそ地獄、奇妙な地獄 星瑞穂著 朝日選書 1870円 : 書評 : 本よみうり堂 : エンタメ・文化 : ニュース : 読売新聞オンライン
    https://www.yomiuri.co.jp/culture/book/review/20210814-OYT8T50156/

    「ようこそ地獄、奇妙な地獄」星瑞穂著|日刊ゲンダイDIGITAL
    https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/book/295540

    朝日新聞出版 最新刊行物:選書:ようこそ地獄、奇妙な地獄
    https://publications.asahi.com/ecs/detail/?item_id=22959

  • 時代の移り変わりにより、地獄の受け止め方に大きな違いがある。特に江戸時代になり戦乱が収まったことは、人々の死生観にとってエポックな出来事ではなかったか。

  • 日本人の中の「文化」としての地獄の話。

    仏教の教えの中の地獄をただ解説するのではなく(基礎知識としてもちろんわかりやすく解説されているが)、奈良時代から現在までの日本人にとっての「地獄」がどのように変遷してきたか。それは死生観や世相、現世をどのように受け止めているかの変遷でもある。また、日本人はなぜ、長い歴史の中で「地獄」に興味をもっているのだろうーそれは強烈なインパクトや興味ーという変わらないものもあることを締めくくりで筆者は述べる。

    ここでいう地獄はインドや中国のそれとは違い、日本で独自の発展を遂げる。例えば日本人の山中他界観から、山に地獄があるという考えなど、仏教以外の影響を受けている。
    また、亡者を裁く十王の「十王信仰」も、古代中国で道教の影響を受けながら誕生、発展した。そして「地蔵十王経」は仏典の一つではなく日本で独自に作られたもの。
    ほか、説話で、人間が地獄行きを免れるために獄卒に牛を捧げるくだりがあるが、これも仏教以外の民俗信仰も紛れ込んでいると考えられている。
    なので「日本人の地獄文化」を学んだ、というのが私の感想。

    ちょうど「鬼灯の冷徹」など地獄アニメも流行ったので帯の煽り文句を見てそれを思い出した人多そう。友達と地獄好きと話していたことを思い出し、それは自分含め今も多くのひとを魅了しているのだなあと感慨深い気持ちになった。

    ○読んで「へええ!」と思ったこと。
    ・親孝行を説く説話。今まで親孝行をしないとあるいは親不孝をすると地獄に落ちる。とそのまま受け取っていたのだが、説話の趣旨としては、「親孝行をすることで極楽往生できるよ」と教えている。一番身近で実践しやすい善行を示しているのだという考え方。

    ・法要について。遺族は死者が地獄に行かないよう何度も、しかも時間をかけて供養する。しかし研究者の見方ではこれはむしろ生き残った者たちが法要を行うことにより仏教と深く結び付くようにするためであると。そして死者への思いを深くする機会を創出し、遺族のグリーフケアの役割も担っていると。

    ・昔は文字の読み書きできる人が少なかったので、文章よりも絵で訴えかけることに重きを置いた。そのため地獄の絵がたくさん残っている(そして文章の方はあっさり)。

    ・閻魔の庁など、あの世の地獄は中国風になる傾向がある。十王や閻魔王は中国の道教を源にしているため。また、「この世」ではない世界を描くとき、地獄だけではなく、浦島太郎の竜宮城なども中国風になっている。日本人にとっては身近な外国が中国であり、日本ではない=異界であることがわかり、かつその情景が想像できる。

    ・江戸時代になると「今は辛い世だが死んだら極楽にいきたい」から、この世の暮らしに重きがおかれ、現世利益が強くなる。浄瑠璃や狂言でも、おもしろおかしく描かれるようになり教訓めいたものは減る。それは普段の暮らしに希望が持てる人が増えたのだということ。つまり威厳がなくなったとかいう衰退ではなく良い変化なのだと知った。

    ・今、過去を学ぶ意味ー全盛の悪行が現世に、の一例として身体障碍、ハンセン病などが「因果応報」として受け止められてきた。信仰と切り離して、「迷信」をこの先残さないようにすることは、過去と正しい知識を持つ私たちの役割である。

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  • 910-H
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