「ヤングケアラー」とは誰か 家族を”気づかう”子どもたちの孤立 (朝日選書1031)

  • 朝日新聞出版 (2022年8月12日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (360ページ) / ISBN・EAN: 9784022631213

作品紹介・あらすじ

小学生の15人に1人が「家族の世話」を担い、社会問題として顕在化してきたヤングケアラー。メディアでは身体的な疾患や障害をもつ家族の介護をする子どもがクローズアップされることが多いが、実際には、精神疾患の母親をケアするケースも多い。介護や家事労働だけが「ケア」ではないのだ。長期脳死の兄の「身代わり」として親の前で頑張って見せる子、母親の薬物依存を周りに言えない子、ろう者の母親の手話通訳をするうちに「私」が消えていく子、母親を責めるようだからと自身をヤングケアラーだと認めたがらない子――。本書では、家族をケアする子どもたちが体験する孤立を「語り」から考える。彼ら彼女らの言葉に丁寧に耳を傾け、ディテールにこだわって分析を重ねていく。すると、これまでほとんど知られることのなかった、ヤングケアラーたちの複雑かつあいまいな体験や想い、問題の本質が浮かび上がってくる。また、そこから、どのような「居場所」や支援を必要としているのかも見えてくる。【本書の目次】序章 「ヤングケアラー」への問いと出会う――〝心配する〟子どもたち第1章 兄の身代わりで空っぽになる自分 ――長期脳死の兄と麻衣さん第2章 言えないし言わない、頼れないし頼らない ――覚醒剤依存の母親とAさん第3章 気づけなかった罪悪感と「やって当たり前」のケア ――くも膜下出血の母親とけいたさん第4章 通訳すると消える〝私〟 ――ろう者の母親とコーダのEさん第5章 理不尽さと愛情 ――覚醒剤依存の母親とショウタさん第6章 母親の所有物 ――うつ病の母親とサクラさん第7章  学校に行かせてくれた「居場所」 ――失踪した母親、残された弟と無戸籍の大谷さん第8章 〝記号〟が照らす子ども、〝記号〟から逃れる子ども終章 孤立から抜け出すためのサポート【著者略歴】村上靖彦(むらかみ・やすひこ)1970年東京都生まれ。大阪大学人間科学研究科教授・感染症総合教育研究拠点(CiDER)兼任教員。2000年、パリ第7大学で博士号取得(基礎精神病理学・精神分析学)。13年、第10回日本学術振興会賞。専門は現象学。著書に『母親の孤独から回復する 虐待のグループワーク実践に学ぶ』(講談社選書メチエ)、『在宅無限大 訪問看護師がみた生と死』(医学書院)、『子どもたちがつくる町 大阪・西成の子育て支援』(世界思想社)、『交わらないリズム 出会いとすれ違いの現象学』(青土社)、『ケアとは何か 看護・福祉で大事なこと』(中公新書)など多数。

みんなの感想まとめ

家族を支える役割を担う子どもたち、いわゆるヤングケアラーの実情とその複雑さが描かれています。著者は、彼らの声に耳を傾け、具体的な事例を通じて、一般には知られていない孤立や苦悩を明らかにしています。家族...

感想・レビュー・書評

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  • ヤングケアラーとされた(されている)人々の語りから、定義だけではわからない、必死に生きる子どもたちの姿が浮かんでくる。
    まさに事象である。

  • とんでもない環境に置かれた子どもたちが多くいることを知れた。感情がグラグラ揺さぶられるが、全体を通してテーマの割に明るい口調と雰囲気のためメンタルにダメージが来るわけではない。もしかして自分はヤングケアラーなのだろうか、と思っている人が見るとピンとくるものがあるかもしれない

  • ここ数年来に知られるようになった「ヤングケアラー」。何冊か類書を読んでいるが、本書はその中でも異色というか、深く問題を掘り下げ、またヤングケアラーだった人、サバイバーと言ったらよいのか、その人たちからの聞き取りをまとめたものなので、実情がより具体的であり、またその支援も具体的である。事例の方々は、よくこんな過酷な状況を生き抜いてきたなという人たちばかりである、本書に登場する人達は、西成にある「こどもの里」に関わっている人たちであり、こどもの立場に立って、包摂する場があったからこそ今があると言って良いと思う。全国津々浦々なかなかこのような場はないと思うが、参考にはなる。また子供への支援ではあるが、親の支援も並行いや強調して行うこと、複数の居場所、複数の支援者、ピアサポートなど、一つ一つ納得できるものであった。ただ事例が重すぎて、うまく表現できない感想となった。

  • 「ヤングケアラー」とは誰か。
    タイトルのままであるけれど、個々人はそれぞれが別々の、親を含め複雑な事情を抱えている。

    子どものSOSが発せられる環境は、心身ともに安全安心を感じられる場所。
    西成のこどもの里。何人の子どもとその親を救ってきたのだろう。伴走型支援。地域で子どもを育てる。子どもを育てるということは、その親もサポートするということ。子どもの不安、親の不安。

    家族を気遣う。孤独。
    尊重されることの尊さ。

    この支援のあり方は、日本の子供だけでなく、外国人ファミリーにも必要なんだろうな。見えないだけで、色んな困難を抱えた人が多くいる。生活ではなく、生きる困難。心身の健やかさを保てない困難。

    ヤングケアラーについて、曖昧で無責任だった認識が、ドカンと変わる。

  • 「ヤングケアラー」というと、身体的介護や家事労働をする子ども、という一般的なイメージがあるが、それだけではないむしろそれ以上に、精神的な病を抱える親や薬物依存の親等の支えとなっているこどもが多いとのことで驚くばかりだった。親がそういう状況だと自分からSOSを出して助けを求めることはより困難になる。また、そういう環境で育つとそれが当たり前の日常になって、助けを求めるという発想にならないようだ。
    そこで重要なのが、そんな子どもを地域で支え続けてくれる大人の存在だ。そんな大人がいる居場所だ。日頃から居場所と繋がっていることで、SOSにも気付きやすくなる。

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  • 【配架場所、貸出状況はこちらから確認できます】
    https://libipu.iwate-pu.ac.jp/opac/volume/559953

  • 国立女性教育会館 女性教育情報センターOPACへ→
    https://winet2.nwec.go.jp/bunken/opac_link/bibid/BB11532077

  • 【貸出状況・配架場所はこちらから確認できます】
    https://lib-opac.bunri-u.ac.jp/opac/volume/790641

  • ふむ

  • ヤングケアラー当事者の声を丁寧に掘り下げた一冊。

    読むのが苦しくて、何度も挫折して、ようやく読み終えました。
    ヤングケアラーと呼ばれるご本人に世界はどのように見えていたのか、ご本人の言葉からだからこそ湧き上がる感覚、浮かび上がってくる情景があり、読むことができて本当によかったです。

    記号としてのヤングケアラー。
    ヤングケアラーとネグレクト、どちらの視点から見るか。
    社会の中で起きていることとしてみていくことなど、わかりやすくまとめられていて、ヤングケアラーの理解と整理の助けになりました。

    ヤングケアラーの統計やデータを見るというマクロな視点と、個別に詳しく見ていくミクロな視点と。
    両方の大切さと必要性を改めて実感することのできた本でした。

  • 367-M
    閲覧

  • 昨今話題のヤングケアラーについての一冊。実際に家族の介護や様々な体験をした人々のインタビューからヤングケアラー当事者がどのようなことに苦しみ、それに対してどのような支援を受けたことでその苦しみを乗り越えられたのか解析しながらヤングケアラー支援に必要なことを考察している。
    精神科の専門家が書かれていることもあり、ド素人の私には時々難解な箇所もあったが全体的には非常に分かりやすく、またヤングケアラーの生々しいリアルが描かれていた本だと感じた。
    「ヤングケアラー」と聞いて『ああ、両親が共働きで祖父母の介護や兄弟の面倒を見ている未成年のことだな』という認識しか私はこれまで持ってこなかった。

    これも全てが間違いではないが、本書に紹介されているヤングケアラーは、例えば母子家庭で母親が覚醒剤を使用し、その母親のために日常生活もまともに送れなかった女性。寝たきりになってしまった母親に対して、過度に責任を感じ一人でずっと家族を背負おうとしてきた男性などが登場する。家族全員が聴覚障がいのある一家の中でただ一人健常者(コーダ)として生まれた女性の話は特に印象的だった。

     家族が大変な時は皆で助け合うべきだ。もちろん、それも大事だ。しかし片親や親がいない、どこにも逃げ場のない状態の子どもにそれを求めることは間違っているように思う。幼い頃からヤングケアラーとなってしまった子どもは自身がそうであるとも気づけない。また家族から自立する手段もなく、孤立しやがて自身も鬱や精神的に追い詰められていってしまう。

     本書で紹介されているヤングケアラー達は、過酷な状況下で苦しみながらも、親身に支えてくれたNPO法人の支援員の方や友人達などの協力でやがてまともな生活を手に入れて家族から自立していく。孤立した子どもを支援するためにはただ相談窓口を開いておけばよいのではなく、積極的に支援する場所とスタッフが重要なのだということが本書を読んでいてよくわかった。

    家族というものは単純なものではない。改めて考えさせられる本でした。

  • 岐阜聖徳学園大学図書館OPACへ→
    http://carin.shotoku.ac.jp/scripts/mgwms32.dll?MGWLPN=CARIN&wlapp=CARIN&WEBOPAC=LINK&ID=BB00629081

    小学生の15人に1人が「家族の世話」を担い、社会問題として顕在化してきたヤングケアラー。メディアでは身体的な疾患や障害をもつ家族の介護をする子どもがクローズアップされることが多いが、実際には、精神疾患の母親をケアするケースも多い。
    介護や家事労働だけが「ケア」ではないのだ。
    長期脳死の兄の「身代わり」として親の前で頑張って見せる子、母親の薬物依存を周りに言えない子、ろう者の母親の手話通訳をするうちに「私」が消えていく子、母親を責めるようだからと自身をヤングケアラーだと認めたがらない子――。
    本書では、家族をケアする子どもたちが体験する孤立を「語り」から考える。彼ら彼女らの言葉に丁寧に耳を傾け、ディテールにこだわって分析を重ねていく。すると、これまでほとんど知られることのなかった、ヤングケアラーたちの複雑かつあいまいな体験や想い、問題の本質が浮かび上がってくる。また、そこから、どのような「居場所」や支援を必要としているのかも見えてくる。
    (出版社HPより)

  • 第4章
    通訳すると消える"私"
    ーーろう者の母親とコーダのEさん

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著者プロフィール

村上 靖彦(むらかみ・やすひこ):1970年、東京都生まれ。基礎精神病理学・精神分析学博士(パリ第7大学)。現在、大阪大学人間科学研究科教授・感染症総合教育研究拠点CiDER兼任教員。専門は現象学的な質的研究。著書に『客観性の落とし穴』(ちくまプリマー新書)、『ケアとは何か――看護・福祉で大事なこと』(中公新書)、『「ヤングケアラー」とは誰か――家族を“気づかう”子どもたちの孤立』(朝日選書)、『子どもたちがつくる町――大阪・西成の子育て支援』(世界思想社)、『すき間の哲学――世界から存在しないことにされた人たちを掬う』(ミネルヴァ書房)、『摘便とお花見――看護の語りの現象学』『在宅無限大――訪問看護師がみた生と死』(医学書院)ほか多数。

「2024年 『となりのヤングケアラー』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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