津田梅子 (朝日文庫 お 19-1)

著者 :
  • 朝日新聞出版
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  • Amazon.co.jp ・本 (264ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784022640130

作品紹介・あらすじ

明日、私の人生の新しいページがめくられます。どうか素晴らしいものでありますよう…。日本最初の女子留学生としてアメリカに11年滞在し、帰国直前にこう記した津田梅子。生涯独身を通しつつ教育に身をささげ、津田塾大学を創設した彼女の、人と時代を描いた読売文学賞受賞の伝記文学の白眉。

感想・レビュー・書評

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  • 僅か7歳で明治政府の留学生として渡米し、18歳で帰国した津田梅子。米国時代の養父母ともいえるランマン夫妻、特にアデリン・ランマン夫人との間の30年、数百通に亘る手紙のやり取りに、梅子は、日本では吐露出来ない想いを込めた。如何にして日本の女性に教育の機会にを与えられるか、自分はどう生きるべきか、と。米国教育を受け、言葉も生涯にわたり日本語よりも英語を母語とした梅子が、日本の中に世界を観て女性教育の開拓者となる。壮大な物語である。手紙と著者の解説が交互に展開し、大変に解りやすくリアルである。アデリンはもとより、米国留学仲間の大山捨松や女子教育の先駆者下田歌子、また伊藤博文や森有礼、モリス夫人、アンナ・ハーツホンなど、そして父津田仙など日米両国で梅子を助ける人々も随所に描かれており魅力的である。

  • 日本で初めてアメリカへ留学し、帰国後に津田塾大学の前身である女子英学塾を開いた津田梅子の話。アメリカのホストマザーに宛てた私信を紹介しつつ、梅子の考えや行動を考察している。
    印象に残ったことは色々とあるが、

    「目に見える形あるものは消失しても、生きている人間の中に培われているものは消失しない」

    という梅子の信念にはズシンと来た。この信念があったから、関東大震災で塾が燃えてしまったと聞いたときも梅子は取り乱さなかったという。梅子の教育の理念でもあったのかもしれない。

  • 大学新入生に薦める101冊の本 新版 (岩波書店/2009) で気になった本。

  • 梅子の私信を通じて梅子の留学後から大学創立までを描いている。
    その当時男性と比べ、地位の低かった日本女性を教育で高めようと津田塾を創立する。
    日本女性の地位に低さを本当に残念に思っている様子が伝わってくる。
    また、当時の日本の状況が再現され、その頃の気配や世の様子も伝わってくる。
    伊藤博文や大山捨松との交流も興味深い。

  • 私は、縁があって津田梅子の留学先Bryn Mawr 大学の近くに住んで、フィラデルフィアの大学、そして大学院で看護学を学んだ。現在も隣の州、ニュージャージーに住んでいる。本書では、日本女性の社会的レベルの向上を目指し、教育に一生を捧げた梅子の行き方が如実に語られている。さらに、アメリカで学び、日本に帰ってきて、学びが生かされないことに苦しむ梅子の気持ちや学校設立までの困難な様子など、彼女の知られていない面も垣間見ることができた。現在の自分の人生と重ねあわせながら、梅子のような偉大なことはできないまでも、私が日本にできること、またはアメリカにできることを思案する一助となったように思う。

  • 津田塾大学を創設した明治時代の女傑の生涯を描いた著。梅子の後輩の著者が、本人がアメリカ留学時代に世話になったランマン夫妻に当てた私信を元に彼女の自伝として完成したもの。常に欧米と日本の両者の間にニュートラルに視点を置き冷静かつ誠実に物事に当たり、数多の逆風をものともせず、日本の女性の教育に生涯心血を注いできた梅子の生き様に、信念を掲げ、意志を貫くことの大事さを感じました。

  • 100625(a 100718)

  • 日本で女性初の留学生として7〜18歳までアメリカに渡った津田梅子の話。あの時代に、しかも幼くして長い間家族と離れ、異国の地で勉強したとはすごいとしか言いようがない。帰国後は女性の教育のために一生を捧げた。同じ女性として尊敬する。本人の手紙から帰国後の葛藤がうかがえる。

  • 尊敬の女性。彼女の創立した津田塾大は、憧れでした。女性しか行けないので、受けませんでしたが・・・

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著者プロフィール

1930年、東京生まれ。津田塾大卒。68年、処女作『三匹の蟹』で群像新人賞、芥川賞を受賞。代表作に、谷崎潤一郎賞作『寂兮寥兮(かたちもなく)』、野間文芸賞作『啼く鳥の』、川端康成文学賞作『赤い満月』など。小説の他にも、詩、エッセイ、評論、翻訳など幅広い著作を生み出している。芥川賞など数々の賞の選考委員もつとめた。

「2005年 『大庭みな子全詩集』 で使われていた紹介文から引用しています。」

大庭みな子の作品

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