時代の風音 (朝日文芸文庫)

  • 朝日新聞出版
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本棚登録 : 256
レビュー : 21
  • Amazon.co.jp ・本 (260ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784022641397

作品紹介・あらすじ

20世紀とはどんな時代だったのか-。21世紀を「地球人」としていかに生きるべきか-。歴史の潮流の中から「国家」「宗教」、そして「日本人」がどう育ち、どこへ行こうとしているのかを読み解く。それぞれに世界的視野を持ちつつ日本を見つめ続けた三人が語る「未来への教科書」。

感想・レビュー・書評

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  • 宮崎駿、司馬遼太郎、堀田善衛という豪華な御三方の鼎談集。

    言い出しっぺの宮さんは書生という立ち位置で、主に司馬さんと堀田さんが語られています。
    宮さん目当てで買いましたがこれは良書ですね。面白い。

    司馬さんも堀田さんもいったいどれだけ物知りなの?と驚きの連続でしたが、とくに司馬さんの知識量...はんぱない。
    日本史は勿論のこと、世界史までもが、まあさらさらぽんぽんと、出るわ出るわで。
    世界史に疎くても、興味がなくても、へぇ~。ほぉ~。とするする読めてしまいます。
    話したいことと、伝えたいことの違いをよぉく理解してる、頭の良い大人という印象。作家としては勿論、ひととしても貴重な方だったのですね。
    堀田さんはちょっと毒のあるユーモアなおじさんといった印象で、なんて素敵な企画なんだ!と感激しました。

    「敗戦を終戦という言葉で濁す」
    「言葉で巧みに本質をすり抜けるようにできている」なんていうのは、福島原発の汚染問題なんかにも通ずるものがあるし、
    「国是(憲法)というものをいたずらにいじってはいけない」というお言葉も説得力がある。
    宮さんが熱風で書いていたのはここと繋がっているんでしょうね。
    宮さんにとって、このお二方にお会いできたこと、直接お話ができたことがどれだけ糧になっていることだろう。

    以下、備忘録。
    「子供は大人の父である。子供にすべてがある。」
    「ガウディのあの変なお寺ですが、なんで日本人はあれがすきなんですかね。」
    「陸がやせると海もやせる。」
    「家と人間がいっしょに年をとっていくのを見ると、日本は捨てたものではないと思うんです。」
    「世界で、いちばん公害問題で地球規模で心を痛めているのはオランダでしょう。」
    「二酸化炭素が増えれば地球があったかくなって、北極の氷などが融けて海面の水位が上がればオランダは水没して国がなくなります。」

    中でもとくにいいなと思ったのは、司馬さんが宮さんの映画を絶賛している文章で
    「ときには絵画は負けたかなと思うことがあります。」
    「人間が立体的で、絵の中で風が吹いてきたら、女の子のスカートがふわっふわっとなってふくらんでいく。それで風という目に見えない空気の動きを表現している。」とおっしゃっています。
    宮さんが一方的に敬愛しているのではなく、両想いなんですね。素敵。

    ほかにも食べ物の文化...ジャガイモがヨーロッパを救ったなど、とっつきやすい話題もあり、飽きずに読み進められたのもよかった。

  • 堀田、司馬、宮崎の三者の鼎談を収録した書。1997年出版。西洋、ロシア、イスラムと日本の歴史・文化の違いを、博識な3人が止めどなく語り合っていて、内容がとても深い。

  • 2013.4.22 読了

  •  とある作家さんにすすめられて読んだのだけれど…難しい!笑 みなさん、歴史に詳しくなくても楽しい、というレビューが多いけれど、私には楽しさが今イチ分からず…。なんとなく楽しいかな? くらい。

  • 堀田善衛、司馬遼太郎、宮崎駿の3人が、歴史、国家、宗教、日本人などのテーマについて語った本です。

    アメリカとソ連のイデオロギー対立が終焉した後、アメリカとイスラム圏の対立が表面化したことを受けて、世界にはまったく異なる時間の中に生きている国々があることが改めて明らかになったことへの驚きが語られています。イスラムやインド、中国を理解するためには、東西対立のような同時代的な視点で見るよりも、それぞれの文明がこれまでたどってきた歴史から見ていく方が、はるかに見通しがよくなるのではないかという気がします。

  • 堀田善衛と司馬遼太郎の博識・博学の二人ががっぷりと四つに組んでの対談。宮崎駿はもっぱら聞き役。
    知識の拡がり、深さ共に素晴らしく、歴史認識、国家の行く末、宗教、果てはイスラムからアニメーションまで、縦横無尽の如く議論が尽きない。

    この中で、司馬遼太郎が、戦車隊の隊長として終戦を迎えた時に思ったのが、「なんでこんなばかな国にうまれたんだろう・・・(略)・・・昔の日本は違っただろう。しかし22歳のときだから、日本とは何かなんぞわからない。もの書きを始めてからは、少しづつわかってきたことどもを、22歳の自分に対して手紙を出しつづけてきたようなものです」
    それに対して堀田善衛が、「それは司馬さん、私なんかも完全に同じですよ」
    私は戦後生まれだけれども、この二人の言葉を聞いた時、思わず涙が出て来た。

    もう一つ、後世になって過去を見た時に、その時代の感覚というものは非常につかみにくいと言う例を幕末や戦前の例を挙げている。そして司馬は「そういう時代に対して、私は非常に寛容です」と。
    朴 槿惠(パク・クネ)もこういう感覚を見につけてほしい。

  • 面白い取り合わせの対談。散漫な印象だが読後スッキリとする。

  • ほとんど堀田善衛と司馬遼太郎の対談で、宮崎駿は書生という立場で、ほぼ聞き役、たまに発言という感じ。

    話題は古今東西を自在に飛び回る感じ。ヨーロッパ、アジア、中東を中心に世界中の地域の数千年分のあらゆる知識が詰め込まれてるのかと思えるほど。

    自分の知識不足が恨めしいばかりだけど、知識がなくても読みやすく面白く読める。話し言葉であることの効用も大きいと思う。註釈も豊富。

    学校での歴史教育だけではなかなか多面的な見方が学べないということに改めて気づかせてくれる。敗者にも歴史があり、少数民族にも歴史がある。

    本書を読んで、宮崎駿作品の中に司馬遼太郎や堀田善衛が含まれていることが確認できた気がする。

  • 97年1刷めが発行された堀田善衛さんと司馬さんと宮崎監督の座談会。私はなんにも知らないに等しいとうちのめされ、また、こんな先輩がいることに感謝しました。

  • 堀田善衛、司馬遼太郎、宮崎駿 3者の鼎談。出版当時大興奮しました。

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プロフィール

アニメーション映画監督。1941年、東京都生まれ。作品に「風の谷のナウシカ」「天空の城ラピュタ」「となりのトトロ」「魔女の宅急便」「紅の豚」「もののけ姫」「千と千尋の神隠し」「ハウルの動く城」「崖の上のポニョ」など。

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