美しき日本の残像 (朝日文庫)

  • 朝日新聞出版
3.90
  • (50)
  • (42)
  • (55)
  • (2)
  • (2)
本棚登録 : 417
レビュー : 58
  • Amazon.co.jp ・本 (307ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784022642400

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
  • Dear AREX,
    著書、拝読しました。
    あなたが日本で古民家、古美術、歌舞伎など、自分が「美しい」と感じたものや、そしてその元となっている日本の自然について、まるで“MY FAVORITE THINGS”を歌うように1つ1つ調度品にように丁寧に1冊の本に並べられていたため、「次は何が出てくるのかな」と最後までわくわくしながら読めました。

    日本の美に対するあなたのユニークな考え方が、時には「外国人だから」といって特殊扱いされるのは、残念でなりません。でも全く問題ではありません。あなたがもう少し長く日本に滞在していれば、あなたの独特な視点やこだわりは「オタク」のパイオニアとして高く評価されていたでしょう。
    また、あなたを「ちょっと変わったアメリカ人」と言うのも、違うなと思います。そういう人はMLBでのプレーにこだわる日本人野球選手を「ちょっと変わった日本人」と呼ぶのでしょうか?
    自分の生まれた国以外の文化に魅了され、それをライフスタイルとして貫き通すことを、そんな素敵な対象を見つけられてうらやましいとは思っても、変だとは少しも思いません。

    90年代にすでに、もう「美しき日本」は残像しか存在しないと考えたあなたは、今の日本を見たらどう思うでしょうか?
    確かに日本はどんどんだめになっています。日本の美は壊滅状態です。でも「徳不孤」です。いつかはあなたの感性への共感が日本に広がってあなたや多くの日本人や世界の人々を引きつける、本当の美しき日本となれたらいいですね。
    おそらくこの本の読者の多くは、単にノスタルジーにひたるだけではなく、「まだまだ日本には、こんなすばらしい美も残っていたよ。」と自分なりの美しき日本を追い求めたい欲求にとりつかれるでしょう。

    それではお元気で。一度、夜を徹して日本の古い民家で語り合いたいです。
    (2007/11/16)

  • 坂東玉三郎さんや司馬さんが寄稿されています。まだ読み始めたばかりですが、こういう方の文章に出会うと、奈良が好きと綴る自分の未熟さを恥じ入ると同時に、心が嬉しさでいっぱいになります。

  • アレックス・カーは怒っている。それがこの本から伝わってくる。


    著者は、エール大学で日本学を、オックスフォードで中国学を学んだ。
    来日後、1973年から徳島の祖谷で藁葺民家を再生させる活動を始める。
    変わり者のアメリカ人が見た「日本」。


    その日本に対して辛辣だった。

    :新しい建築物は、あまりにもお粗末で話になりません。
    :日本の一般の田舎は信じられないほど醜悪と化してしまいました。
    :京都は京都が嫌いなのです。

    コンクリートとパチンコの看板。電線と鉄塔に覆われ、画一的な家と蛍光灯。
    美しい日本はどこへいったのか。
    美しいものが壊されていくのが許せないらしい。特に京都に対して手厳しい。


    読んでいて「うんうん」と頷くことも多かった。


    読後に不安になったことがひとつ。
    何が本当に美しく、何がそうでないのか判断できる眼や感性を自分はもっているのか?ということ。
    美が失われた後の日本で生まれ育った者として、そう思ってしまった。

  • 20世紀に入って東洋における文化と自然の破壊は
    著しいものだと著者は力説する。
    ヨーロッパ諸国における産業革命はゆっくりとした変化であり、
    400年以上かかって築き上げてきたものであるのに対して、
    中国や日本では、それらがあまりにも急速に起こった。
    そしてそれは100%異文化によってもたらされたものである。

    著者は合理性や効率性が優先される現代社会において、
    こぼれ落ちた価値観を拾い上げる作業をしている。

    倫理からこぼれ落ちる感覚を大切にしている。
    ロジックが西洋的なら感覚は東洋的。
    言葉の巧みさでは全てを伝えられないことを理解している。

    日本の伝統文化がすべて分業制になっているのは、
    仕事・雇用を安定させるためというのも大きな理由なんだけど、
    その技術を他に持ち出されないようにするため、
    文化を容易に盗まれないために編み出された、と訊いたことがある。

  • 日本人が(忘れてしまったわけではなく)気に留めないような外の人の目線が祖谷を美しく彩る。読めばリアルを欲する良書。

  • 地方にめぐらされた電線、高速から見えるパチンコ店を見るたびに、この本を思い出す。

  • 自然の力を拝借しているという気持ちを常に持ち続けないといけないですね。

  • 最近クールジャパンとか言って得意気な日本が忘れてしまった感性を、外国人の著者が優しく懐かしむように書いている。「文人」とは?オックスフォード大学時代、学長から植民地の者呼ばわりされた事、野の花ならぬノーの花など、ユーモアあるエピソードも楽しかった。

  • 自分達がうつくしいと思っている田舎の風景も分明に侵食されたものというのがよくわかります。
    当たり前すぎて見えていないもの。
    HANDSの影響で(笑)電線というものがこんなに身の回りにあるんだというのも改めて気付かされました。

  • 日本人よりも日本に造詣と愛情の深い、異邦人から見た古き良き日本文化の残像について。著者は徳島県の山中にある祖谷渓谷に古民家を構え、そこから急速に失われつつある日本らしさを憂いている。

    最近になってクールジャパンという言葉が出てきて、日本文化を海外に輸出しようといった号令の下に、様々なソフト産業に対する投資が増えているが、70年代から美術品や古民家に対する投資と目利きを行なってきた著者にとっては、今やほとんど価値のある日本文化の形は残っていないと嘆く。

    我々現代の日本人にできるのは、その残像を現代のニーズに合わせて再び再構築していくことなのか。そんな問いかけをこの本を通じてされている。

全58件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

1952年米国メリーランド生まれ。1964年に初来日し、1966年まで父の仕事の関係で横浜の米軍基地に住む。1974年エール大学日本学部卒業。日本学を専攻、学士号(最優秀)取得。1972~73年まで慶應義塾大学国際センターでロータリー奨学生として日本語研修。1974~77年、英国オックスフォード大学ベイリオル・カレッジでローズ奨学生として中国学を専攻。学士号、修士号を取得。著書に、『美しき日本の残像』(新潮社学芸賞)、『ニッポン景観論』などがある。日本の魅力を広く知らしめる活動を展開中。

「2017年 『犬と鬼 知られざる日本の肖像』 で使われていた紹介文から引用しています。」

美しき日本の残像 (朝日文庫)のその他の作品

美しき日本の残像 単行本 美しき日本の残像 アレックス・カー

アレックス・カーの作品

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

有効な左矢印 無効な左矢印
ジェームス W....
村上 春樹
マーク・ピーター...
村上 春樹
深澤 直人
三島 由紀夫
J・モーティマー...
有効な右矢印 無効な右矢印

美しき日本の残像 (朝日文庫)を本棚に登録しているひと

ツイートする