理由 (朝日文庫)

著者 :
  • 朝日新聞社
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本棚登録 : 3145
レビュー : 240
  • Amazon.co.jp ・本 (630ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784022642950

作品紹介・あらすじ

東京都荒川区の超高層マンションで起きた凄惨な殺人事件。殺されたのは「誰」で「誰」が殺人者だったのか。そもそも事件はなぜ起こったのか。事件の前には何があり、後には何が残ったのか。ノンフィクションの手法を使って心の闇を抉る宮部みゆきの最高傑作がついに文庫化。

感想・レビュー・書評

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  • 読みたかった直木賞受賞作!!!!

    とても厚いのですね
    そしてとても濃厚な登場人物たちの生活。


    社会派ミステリーと言うよりは、「ドキュメンタリーの体を装ったインタビュー本」と言った感じでしょうか

    勿論フィクションで、全部が全部インタビューではないのですが
    流石直木賞。引き込まれるのです

    そして本当に重厚な登場人物たちの生い立ち。


    ストーリーは、高級マンションの一室での殺人事件。
    謎の3つの死体と、飛び降り死体。そして謎の重要参考人。

    防犯カメラに映った重要参考人が指名手配され、どうやらその人物が旅館に宿泊している模様。
    まず、その宿泊施設を運営する家族の物語から始まるのです


    事件自体に直接関係している人間は、数人なのですが
    その数人一人一人の家族、両親の話や大人になったり結婚してからの話。
    事件に繋がるまでの話。

    それがインタビュー形式でどんどん紡がれていくのです

    多分そう言う登場人物の歴史が7割。
    事件当日の描写は3割。

    クローズアップされる関係者の何倍も登場人物がいるのです。
    これはもうミステリーじゃないのですよね

    それぞれの家族とそれぞれの生き方、その小さな一つ一つの交差が事件に繋がっていく感じなのでした

    バブルが崩壊してからの社会の暗さとか、
    悩みを抱える家族の重さとか
    一人一人が生々しく文字になって生きている。そんな印象を受けたのでした。

    多分この本は、映画やドラマが面白いかもしれないのですね。
    たくさんの登場人物が織りなす家族と社会。
    ちょっと映画とか見てみようかな……

  • 再読だが内容は記憶の彼方。しかし感動したことだけは覚えている。あの時の文庫本をもう一度紐解いた。

    インタビュアーが引き出す各人の証言により物語は進む。とある高層マンションで起きた殺人事件。遺族、証人を含めた登場人物はあまりにも多く、混乱しそうなのだが、すべて頭の中に整理された形で入ってくる。これこそ著者の手腕なのだと思う。

    過ぎ去った時代を映し出す話でもあった。大きく分けて子ども世代、その親の世代、そして高齢者世代という3世代が特徴的に描かれている。中高年の世代は子供と親との板挟み。高度経済成長の担い手である彼らの中には、進学せずひたすら働いてきた人々が多い。そして十分な教育を受けた子供世代がそんな親を見下ろす。親は威厳を示そうと躍起になる。事件発生のきっかけの一つでもあることを考えると興味深い。

    また、中高年女性の姑と向き合う姿、親の介護の問題も印象的。20年近い時を隔てた現代もその状況は変わらない。ミステリーとしての真相に向かう過程も面白いが、人々の生きざまも読みごたえがある。

    宮部作品に特徴的な、登場人物に向ける温かな視線は、本作品でも感じることができる。特に子供世代に注がれる眼差しが優しい。思えば、彼らは今「責任世代」と言われる世代。あの当時すでに作者は彼らが担う責任の重大さに気づいていたのかもしれない。

  • レポート形式のミステリーが基本だけど、章ごとに時間が異なっていて、後に行われたインタビューの時間と、リアルタイムの時間が流れる。
    たくさんいる当事者の語りによって、別の当事者や事件の輪郭がみえてくる。一つの事件、一人の人に対して、誰もが違った感情を抱いている。

  •  結構古い本だが、偶然見つけて読んだ本。とにかく長かった。無人格の語り手によるルポ風の進行で、犯人がわかっている状況からさかのぼってストーリーが展開する、変わった構成のミステリーだった。刑事コロンボ風に少し似ているかも。
     細かい記述が週刊誌の記事的で面白い。非常に細かいので、途中だれそうになった。620pくらいの分量はやはり読み応え大。2冊分だし。

  • 宮部みゆきの直木賞受賞作。
    宮部みゆきが直木賞作家であることに異を唱える人は誰もいないと思いますが、この作品が受賞作であるのは意外です。犯人当てや超能力者同士の戦闘なんていう、作者がこれまで使ってきたエンターテイメント的な要素がほぼない作品だからです。

    ストーリーは、競売で落札された高級マンションに「占有屋」として住み着いていた一家が殺された「荒川の一家四人殺し」事件を、関係者の証言を聞き書きするという形で浮き彫りにするものです。

    マンションのローンが払えなくなっての競売、そして、それを妨害し、立退料をせしめる為の占有屋などは、バブル崩壊後にはよく聞いた話でした。そんな世相を背景としつつ、でも、中心にデンと座っているテーマは、家族なんだろうと思います。

    作中には様々な家族が登場します。住んでいた部屋を競売に掛けられた小糸家、それを買った石田家、石田の逃亡先の簡易宿泊所を経営していた片倉家、犯人と関係がありそうな宝井家、占有屋として住み着いていた部屋で全員殺された砂川家、ほんの脇役である隣人たちや管理人も、ただ事件について語るのではなく、「家族」とその事件の関わりについて語っています。

    犯人の家族に対する考え方、そして、ラスト近くの小糸孝弘の家族に対する考え方に対する答えを、「思いの外近い未来のどこかで、ごく普通の人々が、ごく普通に」答えることができる時期は来ているのでしょうか。この作品が書かれた平成8年から20年近くが経ち、バブル崩壊の疵痕もずいぶん癒えた今、答えることができる「ごく普通の人々」は、幸い少ないように思えます。犯人のような人物は、幸い今でも「全然異質な怪物みたいな人間」です。

    バブル崩壊直後、「失われた20年」が始まった頃は、経済だけではなく、人間の両親や家族の暖かさ(一方で面倒さ)までが「失われていくのではないか」なんて気持ちだったんだろうなあ、と今となっては一歩離れたところから思えるのは幸せなことです。

  • 個人的にこういうルポ形式が好きってのもあって、かなり入れ込んで読み進めることが出来た。内容が不動産にまつわる詐欺行為っていうのも、今絶賛物件探し中の自分の立場ともシンクロして、そういう意味でも興味深かった。かといって、ここに書かれているような危ない橋を渡るつもりはないけど。それにしても、”常人には何を考えているのか理解できない”系のキャラ描写、相変わらず絶品ですね。

  • 良い。
    随分前に読んだことを忘れていて、再読。
    バルブが弾けた後の時代を反映している。いまとなっては、少し懐かしい。
    多くの人のエピソードがこの作品の肝だと思う。時代が人々を翻弄する。当時は浮かれた人が多かった。

  • ノンフィクションの事件記録を読んでいるように、どんどん引きずりこまれる。

    誰にもその行動を選ぶに至った理由があって、その描写が淡々としているだけに物悲しさが増していく。

    最後まで読んで、冒頭にもどりたくなる。石田のおじちゃんのために泣いた女の子に泣いちゃう。

  • ヴァンダール千住北ニューシティ

    が覚えられない(´A`。)

  • 関係者の証言をつないでいく、ノンフィクションのようなスタイルで書かれたミステリです。

    超高層マンション「ヴァンダール千住北ニューシティ」の一室で、一人の男が転落死し、さらに彼が住んでいた部屋からは3人の遺体が発見されたところから、事件が始まります。

    事件のあった部屋に住んでいたのは小糸家のはずでしたが、その後、小糸家はローンを払えずにマンションを競売にかけられることになり、知り合いの不動産屋を頼って「占有屋」と呼ばれる人びとを部屋に住まわせていたことが明らかになります。

    ところが、「占有屋」としてマンションに入った砂川一家は、じつは本当の家族ではなく、それぞれ失踪していた人たちの寄り合い所帯だったことが分かります。さらに、マンションを競り落とした石田直澄という男が、事件当日マンションから逃げ出したことが分かり、警察は石田の行方を追い始めます。

    著者が、ストーリー・テラーとしてたいへん優れた才能を持っていることがよく分かる作品でしたが、家族についての著者の「思想」が、しばしば押し付けがましく出てくるところに少々辟易してしまいます。

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著者プロフィール

宮部 みゆき(みやべ みゆき)
1960年、東京都生まれ。1987年に「我らが隣人の犯罪」でオール讀物推理小説新人賞を受賞し、デビュー。
1992年『龍は眠る』で日本推理作家協会賞、1999年には『理由』で直木賞、2002年『模倣犯』で司馬遼太郎賞、2007年『名もなき毒』で吉川英治文学賞など、数々の文学賞を受賞。
大沢オフィス所属。日本推理作家協会会員。日本SF作家クラブ会員。直木賞、日本SF大賞、小説すばる新人賞、河合隼雄物語賞など多くの文学賞で選考委員を務める。
『模倣犯』や『ブレイブ・ストーリー』など、多くの作品がドラマ化や映画化などメディア・ミックスされており、日本を代表するエンターテインメント作家として人気を博している。

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